総合商社の一角を占める伊藤忠商事(8001)について観察した。2025年新春号の四季報によると当社は昭和24年12月に設立されたそうで、4年後には設立100周年を迎える老舗(?)でもある。僕は同社について何となく「繊維商社」という印象を持っていたが、それは誤解だったようで資料によると同社は8つのセグメントを持っている。なお以下で特に断りのない限り「資料」とは「第100期有価証券報告書」を指す。
資料5ページには繊維セグメントには「主要な関係会社」として「エドウィン」と「デサント」があげられている。巷間、両者ともに過去に経営問題があり伊藤忠商事が経営に参画するようになったと報じられているが、正直、株式投資に関心を持つ以前の僕にとって両社と伊藤忠商事の間にあったことなど関心があるはずもなく、ただ、資料を見て「伊藤忠は手広く商売しているなぁー」と思っただけだ。ちなみに僕が中学校1年生の時に親にせがんで初めて買って貰ったジーンズがエドウィンの製品で、気に入って膝に穴があくまで穿いていたことを覚えている。その他では機械セグメントで「ジャムコ」があることが目に留まった。僕は素人のくせに機械をみるのが好きで、だから、「ジャムコ」と見て自動車部品メーカーでトロイダルCVTの研究開発に深くかかわった「ジャトコ」と勘違いしてしまった(笑)。この「ジャムコ」という会社は旅客機のギャレーなどの製造には大変な実績のある会社のようで、同社の業績はボーイングやエアバスの業績と連動するかもしれない。ほかにも食料セグメントで「プリマハム」があるのには一驚した(笑)。今までハムというと日本ハムという感じだったが、これからはプリマハムも買うようにしようと思う(笑)。資料8頁から始まる子会社には「ファミリーマート」、「ほけんの窓口グループ」、「ヤナセ」と言った耳なじみのある会社が掲載されている。総合商社だから当たり前なのだろうが、手広く商売しているなぁーと思う。ちなみに同社はトヨタ自動車と組んでモンゴルで自動車の卸売りもしているそうで、元気いっぱいのようだ。
資料16頁によると当社の4,098人で平均年間給与は17,536,469円だ。この給与額が多いか少ないかは同業他社との比較もあるから何とも言えないが、総合商社の社員になることなど夢のまた夢だった僕としてはうらやましい限りだ。
資料37頁によると同社はイタリアの高級バッグブランド「ゲラルディーニ」、同じくイタリアのこちらはスポーツ用品ブランド「FILA」の国内展開を進めているとのこと。また資料38頁によると子会社ヤナセで電気自動車、フェラーリ等の取扱商品を拡充、デンマークで水素生産の世界最大手であるeverfuelに大阪ガスと共同で出資かるなど正に世界展開の様相。資料20頁には同社の「経営方針」として「利は川下にあり」と謳われているが、個別の投資案件を見ると「川上」と言われる事業にもしっかりと目配りをしているようだ。「川上」案件は育成に時間がかかるということなのかしらんとも思う。
資料2頁には「主要な経営指標等の推移」として令和元年から令和5年までの期間について連結経営指標等が掲載されている。この資料に掲載しされている数値をもとに計算すると同社は5会計期平均で毎年、約12兆3千億円の収益を上げている。ただよく見ると令和2年期の 約10兆3千円を底に回復基調にあり令和5年期は約14兆円の収益を上げている。令和2年期を100とすると令和5年期は約135になるわけで、V字とは行かないまでも右肩上がりにはなっているようだ。他方、当期純利益の5年間平均は7,151億円となる。「収益」を100として「純利益」を割ると令和2年の4.2%を底にして徐々に回復している。ただ、令和4年度、5年度の(「当期純利益/収益」)×100を見ると約6%で推移している。
同資料を読んで思ったのだが、同社は令和元年から5年までの間、「資産合計額」が一貫して増加している。つまり同社の財務体質は収益が低下しても強化されるという財務政策が選択されていることを意味するわけで、同社の投資先の魅力の原因の一つは手堅い財務政策にあるのかもしれない。