彼は、私が言うのもなんだが、いい男だった。
くるくるとした二重の目、すっと通った鼻筋、八重歯の出る笑顔、
にくたらしいほどかわいいエクボ。まるで少年。
この若いベルボーイの全てが大好きだった。
私は朝食時、一人の時はいつも彼の仕事ぶりが伺える席に座った。
エレベータが見える位置、ロビーが見える位置、門が見える位置。
まるでストーカーである(笑)。
朝食後の珈琲を飲みながら、仕事中の彼とアイコンタクトで会話を交わすのが
私たちの日課だった。彼もときおりチラチラとこちらを伺いながら、
ふいに目が合うとにかっと可愛い笑顔を見せる。
とくにエレベーターの前でお客が降りてくるのを待つ彼の
横顔を眺めるのが至福の時だった。そこは距離が近いので、
お客が来ない時は会話が出来る。
そして、お客が来た時にキリッと仕事の顔に戻る瞬間を見るのも
好きだった。まっすぐに伸びた背筋、ぐんぐんと進む大きな一歩、
真っ白い手袋がお客を美しくご案内する。完璧だった。
そして、優越感にも浸った。
この、佇まいも顔も声も美しいひとりの若い青年に愛されている自分。
彼のたくましい腕に抱かれて、熱い口づけと愛撫をされている自分。
なにものにも代え難く、幸せだった。彼がいるだけで。
『なんで昨日は降りて来なかった?あなたを探したのに。』
こんなセリフも上手かった。
相手を優越感に浸らせる中国の男性は、私みたいに疲れた日本女性には
最高の癒しになるかもしれない。現にたくさん救われた。
やっぱり彼に会いたい。
もう、完全に日本人に戻ってしまった自分が恨めしい。
帰れないのだ、彼の元には。
全ての束縛が私の思考をあきらめさせる。
そう、このままで、いいのだ。
くるくるとした二重の目、すっと通った鼻筋、八重歯の出る笑顔、
にくたらしいほどかわいいエクボ。まるで少年。
この若いベルボーイの全てが大好きだった。
私は朝食時、一人の時はいつも彼の仕事ぶりが伺える席に座った。
エレベータが見える位置、ロビーが見える位置、門が見える位置。
まるでストーカーである(笑)。
朝食後の珈琲を飲みながら、仕事中の彼とアイコンタクトで会話を交わすのが
私たちの日課だった。彼もときおりチラチラとこちらを伺いながら、
ふいに目が合うとにかっと可愛い笑顔を見せる。
とくにエレベーターの前でお客が降りてくるのを待つ彼の
横顔を眺めるのが至福の時だった。そこは距離が近いので、
お客が来ない時は会話が出来る。
そして、お客が来た時にキリッと仕事の顔に戻る瞬間を見るのも
好きだった。まっすぐに伸びた背筋、ぐんぐんと進む大きな一歩、
真っ白い手袋がお客を美しくご案内する。完璧だった。
そして、優越感にも浸った。
この、佇まいも顔も声も美しいひとりの若い青年に愛されている自分。
彼のたくましい腕に抱かれて、熱い口づけと愛撫をされている自分。
なにものにも代え難く、幸せだった。彼がいるだけで。
『なんで昨日は降りて来なかった?あなたを探したのに。』
こんなセリフも上手かった。
相手を優越感に浸らせる中国の男性は、私みたいに疲れた日本女性には
最高の癒しになるかもしれない。現にたくさん救われた。
やっぱり彼に会いたい。
もう、完全に日本人に戻ってしまった自分が恨めしい。
帰れないのだ、彼の元には。
全ての束縛が私の思考をあきらめさせる。
そう、このままで、いいのだ。