被団協がノーベル平和賞を受賞した。それなりに慶賀すべきこととは思うが、ノーベル賞受賞が手放しで素晴らしいこととの報道には違和感がある。ノーベル賞はあくまで欧米の価値観で選定されているものであり、そのことに対する批判精神を持つべきと思う。
いつもは日本へ原爆投下については日本の第二次世界大戦での戦争責任への反省と言う言葉とセットで論評する韓国のマスコミも、被団協のノーベル平和賞受賞に対してはあまり批判的には書いていない。これは韓国も日本と同様にノーベル平和賞の権威に比較的無条件に服することがあるせいか?
被団協の人たちの原爆の被害を語り伝えようとの努力は評価する。しかし核戦力をどうなくそうかとの方策提言についてはこれもまた違和感がある。隣国へ正規軍を入れその領土を奪おうとする意志と能力がある国が日本のすぐそばにあり(ロシアのこと)、またウクライナがもし核を持っていればロシアはウクライナへ侵攻しなかっただろうとの予想はほぼ事実だろうと思われることがその理由だ。
地政学が大好きな軍事オタクのようになってただ核武装すればことが収まるわけではないだろう。また核拡散防止条約は核兵器保有国には核兵器の低減義務があるにもかかわらずそれが実行されずに核兵器の言保有国以外の核兵器保有開始が妨げられている片務条約であることは間違いない。この条約の欧米偏重は目を覆うばかりだ。
日本の核兵器禁止運動をしている団体・人々には今の世界の核兵器の状況を踏まえたうえでの核兵器を低減・禁止する説得力のある方策の提案をしてほしい。(2024/10/13)