日々雑感

トランプに投票したアメリカ人てどんな人なのだろう?

2022年3月15日時点でウクライナの情勢は見通し定かではないが、アメリカ大統領がトランプでなくて良かったとはつくづく思う。もし2020年のアメリカ大統領選挙でトランプが再選されていたら、いまごろ世界はどんなになっていたやら。

2020年のアメリカ大統領選挙でトランプは約7000万票を獲得したと言われているが、一体どんな人がトランプに投票したのだろうとはずっと疑問に思っていた。日本からみてもおかしな人間に見えるトランプに約7000万人のアメリカ人が投票したということが理解不能であったが、バンディー・リー「ドナルド トランプの危険な兆候」(岩波書店)という本を近ごろ読んでその理由の一部を見つけることができ腑に落ちるところがあったのでここに書く。

この本は2017年時点でアメリカの精神医学者・心理学者がトランプの行状を分析してその危険性を指摘したものである。権威にひれ伏すわけではないが、それなりにアメリカの精神医学・心理学の責任のあるポジションにいる人間たちが、トランプは精神医学・心理学的に「危険」であるとあからさまに述べていて今更ながら驚いた。トランプがナルシストであるのは日本にいても理解できたが、この本では「自己愛性パーソナリティ障害」ではないかとまで述べているがさもありなんと感じた。

さて、トランプに投票した約7000万人のアメリカ人はどんな人かということだが、この本の中でトーマス・シンガーというユング派の精神分析医の述べている理由がそれなりの答えになっていると思う。トーマス・シンガーが言っているのは端的に言えばトランプはアメリカ白人の一種の化身だということだ。学者なので化身であるとは直接には書いてはいないが、その本意はそういうことだ。(ユング派の精神分析医らしくアメリカ人の集合的精神とトランプの人格が共鳴しているという風に書いてある。)

トランプの持っている軽度の躁状態・富・有名人としての地位(テレビ番組での成功のこと)・性的マイノリティ蔑視・ナルシズム・人種差別感覚はアメリカ白人の一種の理想形であり、アメリカの主流から滑り落ちるのではないかという恐怖感をもトランプとアメリカ白人一般は共有していてそれがトランプへの投票行動となっていると理解した。

今ははっきりとは言えなくなっているがアメリカ白人はその心の中で抜きがたく人種差別意識を持っていて、自分たち白人は(有色人種より)豊かであるべきでありアメリカの主人であるべきと感じていると思う。その2点が必ずしも安全とは言えなくなっている今、そうあるべきであると公言するトランプを支持するのであろう。(トランプの言説には勿論ある種のレトリックは使用されているが。)

トランプは今なおアメリカ共和党に影響力を持っていると聞く。民主党が良いとは言わないが、昨今、アメリカ南部にて黒人が投票しずらいような新法を作ったこと、共和党有利なようにゲリマンダーを加速していること、コーク兄弟等の富裕層上層によるいわゆる”ダークマネー”の影響力が大きいことなどを含めて、”アメリカ共和党はどうかしているのでは”と感じる。

次のアメリカ大統領選に共和党はほんとうにトランプを候補とするのだろうか?
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