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郵便局が「ゆうゆうポイント」を開始、なぜ共通ポイントに乗らなかったのか佐野 正弘様記事抜粋<
日本郵政と日本郵便は、ポイントサービス「ゆうゆうポイント」を全国の郵便局で開始した。郵便局を訪れることなどでポイントをためると限定商品などに交換できる。なぜこのタイミングで、独自のポイントサービスを提供するに至ったのだろうか。
郵便局に行くとポイントがたまる
通信会社や銀行などを軸とした「共通ポイント」を巡る競争が激化している。消費者はお得さを求めて「ポイ活」に力を入れるなど、ポイントサービスは生活に定着した重要な存在となっている。そのポイントサービスに、日本郵政と日本郵便が参入する。
両社は2024年11月15日、郵便局独自のポイントサービスであるゆうゆうポイントを、2024年11月18日から提供すると発表した。ゆうゆうポイントは郵便局に訪れたりサービスを利用したりすることでためられる。郵便局が提供する「郵便局アプリ」と、日本郵政グループのサービスを利用するのに必要な「ゆうID」を用いる。
そしてもう1つはキャンペーンに参加すること。2024年11月から2025年3月まで、複数のキャンペーンが実施されるという。例えば毎月来局してゆうゆうポイントを獲得した利用者で1000万ポイントを山分けするキャンペーンなどがある。
現状ではポイント獲得の手段は少ないが、2025年春には「ゆうパック」を送ったり、郵便局で商品を購入したりすることでもポイントがたまるようにする。これらの対応が進めば、ポイントをためやすくなるだろう。
またゆうゆうポイントのWebサイトで家族を登録しておけば、ためたポイントを家族間でシェアする仕組みも用意している。家族で獲得したポイントをまとめて使うことなども可能だ。
ゆうゆうポイントはあくまで郵便局に限定したサービスである。共通ポイントのように他社のサービスでポイントを獲得することはできない
郵便局がポイントで提供したい価値とは
では、たまったポイントは何に使えるのだろうか。真っ先に思いつくのは共通ポイントのように、郵便局での支払いに充てることだ。もちろん対応する予定だが、開始時期は2026年春とかなり先
それまでの間ポイントは何に使えるのかというと、郵便局限定の商品などと交換できるという。具体的には、記念切手シートや、郵便局のキャラクター「ぽすくま」のグッズなどを用意している。「ふるさと小包」など郵便局のカタログ通販で人気の商品も用意するとしている。ポイントを使って、国内外の有名ブランドの家電やキャンプ用品などを獲得できる抽選に参加することもできる
ただ共通ポイントを中心として、ポイントのお得さを巡る競争は非常に激しくなっている。オリジナルグッズと交換というだけでは、ポイントをためる動機として弱いと感じてしまう。
そもそも、日本郵政はゆうちょ銀行をグループに抱えており、同社が提供する「ゆうちょPay」や「JP BANK」などでもポイントサービスを既に提供している。このような状況で、なぜ郵便局独自のポイントが必要なのだろうか。
これについて日本郵政本社の杉崎猛DX戦略部部長は、郵便局を訪れる顧客との関係構築が目的だと説明する。共通ポイントは提供事業者が価値を決めるので、基本的には1ポイント当たり1円分以上の価値を提供するのは難しい。
だが郵便局独自のポイントサービスであれば、それ以上の価値が得られる商品やサービスを提供できる可能性がある。郵便局を訪れる顧客に幸せを感じてもらう価値を提供することが、独自ポイントを用意する狙いだと考えられる。
それ故ポイントで提供するのは一般的な商品にとどまらない。家族や友人と特別な時間を過ごしたり、地元や地域との結びつきを強めたりする体験・参加型のイベントを提供することも検討しているという。地域に根差した郵便局だからこそ提供できる価値に重点を置いたポイント活用を目指す意向だ。
一方で、ゆうちょ銀行が提供するサービスのポイントプログラムとの連携に関しては、今後検討していきたいとするにとどめた。現時点で具体的な計画があるわけではないようだ。ゆうゆうポイントは顧客と郵便局との関係を強化する位置付けなので、当面は独自でサービスを展開する。
決済で利用できないのにサービスを開始した理由
共通ポイントの利用が大幅に拡大している現状、企業独自のポイントサービスは成功事例があまり多いとはいえない。ただ日本郵政と日本郵便は、独自調査から郵便局を訪れる人には独自ポイントのニーズが高いと判断した。
両社の調査によると、郵便局で独自ポイントを提供することに対し「期待できる」「分からない」「期待できない」という意見がいずれも3割で拮抗していたという。だが郵便局に月2回以上訪れる人や、カタログ通販を目的に来訪する人などに絞ると、5割から7割に近い人が「期待できる」と答えた。両社が重視する、普段から郵便局を利用する人の期待値の高さが、ゆうゆうポイントの提供に結びついていることが分かる。
ただここまで触れてきたように、サービス開始時点ではポイントをためたり使えたりする手段がかなり限定されているので、サービスが見切り発車なのではという印象を少なからず受ける。郵便局での支払いでためたり使ったりできるなど、もう少し環境を整えてから提供したほうがよかったのではないだろうか。
日本郵政本社の石井大樹DX戦略部部付部長は早期提供の理由について、ポイントをためるには時間がかかること、そして郵便局ならではの商品を好む顧客が確実に存在することを挙げている。希望者はいち早くポイントをためて利用できるように、全ての準備が整う前にサービス提供したほうがよいと判断したようだ。
郵便局も昨今のデジタル化や郵便料金の値上げ、さらには少子高齢化による人口減少などによって、利用者が減少傾向にある。その維持のために既存顧客との関係を強化し、利用の継続につなげたいというのがゆうゆうポイントの狙いであることは確かだ。
だがお得さによらない価値を提供することに、消費者がどれだけ興味を示すかは未知数だ。ターゲットとなる顧客に適切な価値を提供できるかどうかが、成否を大きく分けることになるだろう。
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