鶏(2013-08-10発表)
哲学を学ぶある大学生が友人の家で酒を飲んだ。友人が彼に尋ねた。
「何を勉強しているんだい?」
「哲学だよ。」
「哲学なんか勉強して何になるんだい?」
大学生が答えた。
「哲学を勉強した人は、問題の見方が他の人と違うんだ。例えば、今、このテーブルの上にある鶏だけど、哲学を学んだことのない君たちからすれば、ただ具体的な鶏が一羽いるだけだが、哲学を勉強した僕からすれば、鶏が二羽になるんだ。つまり、一羽の具体的な鶏のほかに、抽象的な鶏がもう一羽いるんだ。」
質問した人が笑いながらも、すかさず言った。
「そりゃよかった。哲学を勉強したことないぼくは、この具体的な鶏を食べるから、君はその抽象的な鶏を食べたらいい。」
ケチな主人(2013-08-05発表)
みんなから「けちな奴」と影口されている男が、自分でもそれをよくないと思っていたので、一度客を招待して、ご馳走し、みんなの自分に対する見方を変えようと思った。
ある日、彼は、金も勢力もある客を5人招待し、肉饅頭をご馳走した。5人の客は主人が用意したフォークで食べ始めた。
けちな主人のことだから、準備した肉饅頭はさほど多くなかった。客が満腹にならないうちに、残り一つになった。主人が立ち上がり、一つ残った肉饅頭を指して言った。
「どうぞ遠慮せずお召し上がりください。」
しかし、みんな遠慮して食べようとしない。
その時、突然、灯りが消えた。主人は小僧に灯りを持って来るように言った。それから、主人の「ギャー!」っという叫び声が聞こえた。灯りで照らして見ると、主人の手が肉饅頭を覆い、その手に、5人のフォークが突き刺さっていたのだった。
気の長い人(2013-08-03発表)
気の長い人がいて、友達といっしょにストーブのそばに座っていたが、彼は友達の服に火が点いて燃えているのを見つけた。そこで彼は、ゆっくりと立ち上がって、言った。
「ひとつ言ってもいいかな? しばらく見てるんだけど、君に言おうかなと思って、でも、君が慌てるといけないから・・・」
友達が尋ねた。
「何だ?早く言えよ。」
「もし言わなかったら、君が気を悪くするかな?」
「早く言えよ、一体何なんだ?」
それでも彼はゆっくりと言った。
「君の服に火が点いて燃えてるんだ。」
友達はあわてて自分の服を見た。すでに服の一部分が燃えていた。
「どうして早く言わないんだ。」
気の長い男は笑って言った。
「他の人みんなが君のことをせっかちだって言ってたけど、本当だった。嘘じゃなかったよ。」
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