「おじさんの手」2013-11-30
パパとママが息子の丁丁を連れて、友人の李さんの家を訪問した。その帰り道。
ママ「ねえ、パパ、丁丁は今日とてもお行儀がよかったわよね。李おじさんがこの子の大好きなピーナッツをお盆いっぱいに持ってきた時、自分から取ろうとしなかったわ。本当にいい子ね。」
パパ「でも、後で李おじさんがピーナッツを両手いっぱいに取ってくれた時は、喜んでたよ。」
ママ「丁ちゃん、えらいわね。李おじさんがすくってくれるまで遠慮してたんでしょう!」
丁丁「違うよ、ママ!ぼくは遠慮してないよ。おじさんの手が僕の手より大きいってわかってたから、取ってくれるまで我慢してたんだよ。」
「同じ作文」2013-11-29
明君と聡君はとても近い親戚で、同じクラスで勉強していた。お兄ちゃんの明君はよく勉強していたが、弟の聡君は遊びが大好きで、宿題はいつも明君のを写していた。それで、先生はいつも彼をしかっていたが、聡君は何かしらの理由をつけて、弁解していた。
ある時、先生は子供たちに作文の宿題を出した。題は『私のお母さん』というものだった。
次の日の授業の時、みんな宿題の作文を出した。先生はみんなの作文を見た後、聡君を呼んで言った。
「君の作文は、どうしてまた明君とまったくいっしょなの?」
聡君が言った。
「だって、ぼくらのお母さんは一人だよ。違うのは書けないよ?」
「県知事、こどもをしつける」2013-11-27
昔、李という人がいた。彼には進宝という息子が一人いた。進宝が七歳のとき、李さんは彼のために先生をつけて、勉強をさせた。息子はとても聡明だったが、まじめに勉強しなかった。彼は先生を嫌っていて、いつも先生を怒らせていた。
ある日、授業のとき、進宝は「井」という字を書き、その字の真ん中に点を打って、先生に聞いた。「先生、この字はどう読みますか。」
先生はちょっと見たが、知っている漢字ではなかったので、答えられなかった。進宝は笑いながら言った。
「先生、井戸の中に石ころ一つ投げ入れたら、どんな音がしますか?『ドンとかポン』じゃありませんか?あなたは六十数年生きてきて、こんな簡単な字も読めないんですか。それで、どうして僕に教えられるんですか?」
こう言われた老先生はひどく気分を害した。それで、荷物をまとめて家へ帰ることにした。
帰途、老先生は悩んだ。ずいぶん多くの本を読んできたのに、今日は子供に聞かれて字が読めなかったことで、腹が立つと同時に情けなく思えた。それで、道端に座り込んで泣き出してしまった。
ちょうどそこへ、県知事が通りかかり、老先生にどうしたのかと尋ねた。老先生は事情を一通り説明した。県知事は聞いてからしばらく考えて言った。「すぐに進宝という子供を連れてきなさい。わたしが彼に漢字一字の読み方を聞いてみましょう。」
しばらくして、進宝が県知事のもとにやってきた。県知事は彼に言った。
「おまえはずいぶん賢くて、知っている漢字がたくさんあるそうだね。今から私が漢字の読み方を聞いてみるが、もし読めなかったら、おまえを竹の板で打つぞ。」
言い終わると、人に竹の板を準備させた。それから県知事は「肉」という漢字一字を書いて、その上に「竹」という字を書き加え、進宝に読ませた。進宝はちょっと見たが、知っている漢字ではなかったので、やはり答えられなかった。県知事は怒っていった。「引き連れて竹の板で打て!」 進宝は一度打たれてから県知事の前に連れ戻された。県知事は笑いながら言った。
「まだわからないのか?この字は上に「竹」があり、下に「肉」がある。さっき、竹の棒で肉を打ったが、どんな音がしたか言ってみろ!「パン」ではなかったか?」
進宝はここでようやく自分の過ちに気がついたということだ。
「豆を拾う」2013-11-26
昔、非常にけちな地主がいた。彼が家にいると、誰もおいしいものを食べることはできなかった。ある日、彼が外出した。妻は子供たちといっしょに家で、肉を買い、餃子を作り、まさに食べようとしたとき、隣の家の子が走ってきて言った。「君んちのお父さんが町から戻ってきたよ。」
みんなこれを聞いて非常に怖がった。この時、妻が言った。「あわてないで!いい方法があるわ!」彼女は小さな娘にお椀に入った豆を持って来させ、庭に撒き散らせ、子供たちにはみんな座らせて、餃子を食べさせた。
しばらくして、地主の主人が門の前に戻ってきた。彼は庭にばら撒かれた豆を見つけると、心を痛め、怒ってどなった。「誰が豆を撒き散らしたんだ?」それからしばらく待ったが誰も返事がないので、彼は豆を一粒ひと粒ひと粒、自分で拾い始めた。彼が豆を拾い集めている間に、家の中ではみんな餃子を食べ終わり、食器も洗い終わってしまった。
「マッチを買う」2013-11-24
おかみさんが店員にマッチを買いに行かせた。
「マッチ一箱買って来るんだ。どのマッチも必ず火がつくこと。もしも、一本でも火のつかないマッチがあったら、今晩は晩飯抜きだからね。」おかみさんがこう言った。
まもなく、店員はマッチを買って戻ってきた。おかみさんは実際にマッチを数本吸ってみたが火がつかない。ひどく店員を罵っていった。
「どのマッチも火がつくようにって言わなかったかい?」
「ええ、そうおっしゃいました」店員はまったくあわてず言った。「私は一本一本全部試してみました。みんな火がつきましたから、買ってきたのです。」
「凍える息子」2013-11-22
孔先生には十歳になる孫がいたが、怠け者で、勉強をしたがらなかった。そんな孫を老先生はいつもたたいていたが、孫はまったく改めようとしない。
老先生には、息子が一人いた。彼は自分の子供が老先生に打たれるたびに、心を痛め、子供に代わって泣きすがった。すると、老先生は怒って言った。「わしはお前に代わって子供を教育しているのだ。まさか間違っているとでも言うのか?」
ある雪の降る日、孫が外で雪遊びをしていた。老先生が中に入って勉強するように言ったが、まったく聞こうとしない。老先生は気分を害し、罰として、孫に服を脱がせ、雪の上に跪(ひざまず)かせた。
老先生の息子は自分の子供が凍えているのを見て、ひどく心を痛めた。泣きすがろうと思ったが、また老先生の不興を買うわけにもいかず、どうしたらよいか考えた末、いい方法を思いついた。彼は何も言わず、服を脱ぎ捨て、わが息子の隣に、跪いた。老先生が不思議に思って聞いた。「お前の息子は言うことを聞かないので罰を受けるのだ。どうしてお前までがそんなところにひざまずくのか?」
彼は答えた。「あなたは私の息子を凍えさせています。ですから、私もあなたの息子を凍えさせているのです。」
これを聞いた老先生は笑い出した。そして、二人に服を着させたということだ。
以上『中国笑話・謎話50選』から
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