孔先生には十歳になる孫がいたが、怠け者で、勉強をしたがらなかった。そんな孫を老先生はいつもたたいていたが、孫はまったく改めようとしない。
老先生には、息子が一人いた。彼は自分の子供が老先生に打たれるたびに、心を痛め、子供に代わって泣きすがった。すると、老先生は怒って言った。「わしはお前に代わって子供を教育しているのだ。まさか間違っているとでも言うのか?」
ある雪の降る日、孫が外で雪遊びをしていた。老先生が中に入って勉強するように言ったが、まったく聞こうとしない。老先生は気分を害し、罰として、孫に服を脱がせ、雪の上に跪(ひざまず)かせた。
老先生の息子は自分の子供が凍えているのを見て、ひどく心を痛めた。泣きすがろうと思ったが、また老先生の不興を買うわけにもいかず、どうしたらよいか考えた末、いい方法を思いついた。彼は何も言わず、服を脱ぎ捨て、わが息子の隣に、跪いた。老先生が不思議に思って聞いた。「お前の息子は言うことを聞かないので罰を受けるのだ。どうしてお前までがそんなところにひざまずくのか?」
彼は答えた。「あなたは私の息子を凍えさせています。ですから、私もあなたの息子を凍えさせているのです。」
これを聞いた老先生は笑い出した。そして、二人に服を着させたということだ。
《中国笑話・謎話50選》
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