昔、李という人がいた。彼には進宝という息子が一人いた。進宝が七歳のとき、李さんは彼のために先生をつけて、勉強をさせた。息子はとても聡明だったが、まじめに勉強しなかった。彼は先生を嫌っていて、いつも先生を怒らせていた。
ある日、授業のとき、進宝は「井」という字を書き、その字の真ん中に点を打って、先生に聞いた。「先生、この字はどう読みますか。」
先生はちょっと見たが、知っている漢字ではなかったので、答えられなかった。進宝は笑いながら言った。
「おやじさん、井戸の中に石ころ一つ投げ入れたら、どんな音がする?『ポン』じゃないの?あなたは六十数年生きてきて、こんな簡単な字も読めないんだ。どうして僕に教えられるんだい?」
こう言われた老先生はひどく気分を害した。それで、荷物をまとめて家へ帰ることにした。
帰途、老先生は悩んだ。ずいぶん多くの本を読んできたのに、今日は子供に聞かれて字が読めなかったことで、腹が立つと同時に情けなく思えた。それで、道端に座り込んで泣き出してしまった。
ちょうどそこへ、県知事が通りかかり、老先生にどうしたのかと尋ねた。老先生は事情を一通り説明した。県知事は聞いてからしばらく考えて言った。「すぐに進宝という子供を連れてきなさい。わたしが彼に漢字一字の読み方を聞いてみましょう。」
しばらくして、進宝が県知事のもとにやってきた。県知事は彼に言った。
「おまえはずいぶん賢くて、知っている漢字がたくさんあるそうだね。今から私が漢字の読み方を聞いてみるが、もし読めなかったら、おまえを竹の板で打つぞ。」
言い終わると、人に竹の板を準備させた。それから県令は「肉」という漢字一字を書いて、その上に「竹」という字を書き加え、進宝に読ませた。進宝はちょっと見たが、知っている漢字ではなかったので、やはり答えられなかった。県知事は怒っていった。「引き連れて竹の板で打て!」 進宝は一度打たれてから県知事の前に連れ戻された。県知事は笑いながら言った。
「まだわからないのか?この字は上に「竹」があり、下に「肉」がある。さっき、竹の棒で肉を打ったが、どんな音がしたか言ってみろ!「パン」ではなかったか?」
進宝はここでようやく自分の過ちに気がついたということだ。
《中国笑話・謎語50選》
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