中国の昔の話だ。
国王がある夜、夢を見た。目が覚めた後、その夢を忘れてしまったため、ひどく不機嫌になり、それが原因で病気になってしまった。国王は、大臣に命じた。「町へ行って笑い話ができる者を連れて来い。もし、その者が私を笑わせられたら、その者に金貨を百枚与える。もし私が話を聞いても笑わなかったら、その者を板で百回打ち、監獄に入れる」と。
大臣は町に出て、笑い話の上手な者を数人探してきた。しかし、国王は話を聞いても、笑うどころか、怒りだしたので、彼らは皆、板で百回打たれ、監獄に送り込まれた。
大臣は、この様子を見て非常に恐れ、あわてて笑い話の上手な者を探しに出かけた。ある日、大勢の人が一人の人を囲んで「ハッハッハ!」と大笑いしているのを見つけた。大臣も近づいていって、中心にいた人物の話を聞いて、大笑いした。そこで、大臣はこの人に、国王の前で話をしてもらおうと決めた。頼んでみると、その男は喜んで承知した。
大臣は歩きながら考えた。
「この男はきっと国王を笑わせて、金貨を百枚手に入れるだろう。俺は賞金の半分を当然もらえるはずだ。」
大臣はこう考えて、男に言った。「おい、おれはお前を国王に合わせてやる。お前に国王の前で話をさせるためだ。もし、国王が笑ったら、金貨を百枚もらえる。おまえはその半分を俺にくれるな。」
その男は「私が金貨を手に入れたら、あなたに三分の一をお与えします。それでよろしいですか。」
「いや、だめだ!そういうことなら、お前は自分で国王に会いに行け!」
大臣はそう言って、立ち止まった。
男はすかさず言った。「よろしいでしょう、わかりました!もう少し差し上げましょう。私が与えられたものはあなたに半分お分けします。それでよろしいですか。」
大臣が同意し、彼らはいっしょに国王の前にやってくることになった。
男は国王の前でいくつかの笑い話をしたのだが、話はまったくおもしろくなかった。
大臣は不思議に思った。
「さっき聞いたこの男の笑い話はおもしろかったのに、今はどうしてこんなにおもしろくないのだろうか?」
国王は怒って尋ねた。「お前の話はもう終わったのか?」
「はい!」
国王は大臣に言った。「この者を板で百回打て、それから監獄に入れよ。」
数人の兵士が彼を捕らえ、彼を打とうとした時、笑い話をした男が大声で国王に言った。
「ちょっと待ってください。さっきここへ来る途中、私が国王からいただいたものは、何でも大臣に半分差し上げるということを私は同意しました。今、国王は私に百叩きの罰をくださいました。先に大臣を五十回叩いてくださいませ。」
国王はこの話を聞いて、大笑いし、大臣を五十回叩かせたてから、笑い話をした男を叩かせようとした。だが、この男がまた言った。「わが国王!あなたはたった今、大笑いなさいました。ですから、私を打つことはできません。それに、私に金貨を百枚くださらなければなりません。」
国王は彼の言うことを認め、彼に百枚の金貨を与えた。笑い話をした男は大臣のところへ行き、「国王が下さったものをあなたに半分差し上げました。残りのものは……」
彼は百枚の金貨を指差してから、言った。「これは私がいただいて参ります。」
《中国笑話・謎語50選》
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