この花を見て「さざんかさざんか咲いた道···」という童謡「たきび」を思い起こす方も多いと思う。寒い木枯らしの道の垣根に咲く山茶花。
その名の通り、お茶の仲間である。さざんか茶の香気は普通のお茶より高く、江戸時代にはお茶として飲まれていた。
先日ファミレスに行ったとき、フリーのソフトドリンクコーナーでその茶を探してみたが見つからなかったけれど。
山茶花は一見椿と間違いやすい。椿は早春に咲いて、花全体がポトリと落ちるが、山茶花は初冬に咲いて、花びらが一枚ずつばらばらに散る。
もともと日本原産の花木というのもうなずける。
横浜市がこれを市の花木に指定している。他にも神戸市、福岡市などがあるが、東京都内では江東区、杉並区もこれを区の花木にしている。船橋市、川口市、桶川市などもあり、ざっと数えただけでも20以上の都市が花木としている。
作家の立松和平さんも言っていたが、日本の庭が一年中淋しくないのは山茶花があるからだと思う。晩秋から初冬にかけてはとにかく花の少ない時期。本来は白色なのだが、赤、桃など明るい色が多く、淋しい庭に清楚でしかも凜とした気品をただよわせる。
花言葉は謙譲、愛嬌、ひたむきな愛。椿によく似ているので別名姫椿(ひめつばき)といわれるくらい清楚な感じで、とても美しい花を咲かせる。
初冬を彩るナンバーワンの花なのだろうかなとも思ってみる。
「季節の花(36)山茶花」