日本には平安時代に中国を経由して渡来した鳳仙花。茎は柔らかく、水分を多く含みまっすぐ咲いている。昔は朝顔と並んで、夏に咲く花の代表的なものだった。
7~9月くらいまで、赤白紫ピンクなどの花をつける。熟した果実に触れると、皮がはじけて種子が飛び散る。それがけっこう面白くて、幼い頃によく遊んだものだ。
鳳仙花はじきて守り抜く秘密 片山由美子
日当たりが好きで、湿り気のある土によく育つ。日陰では花つきが悪く、夏にうどんこ病がつきやすい。
花の形を伝説の鳥「鳳凰」に見立てて、鳳仙花の名がある。
昔から女の子の遊びとして、赤い鳳仙花の花びらで爪をそめた。近所の子たちのそういう姿をふと思い出す。爪の紅と書いて、つまくれない、といった名前でも呼ばれている。
沖縄ではてぃんぐさという名がある。「てぃんさぐぬ花」というゆったりした民謡もけっこう知られている。しみじみとした、いかにも南国の歌という感じがする。
汲み去って井辺しづまりぬ鳳仙花 原 石鼎
「季節の花(62)鳳仙花」