いつものことだけれど、私の住むこの北関東の町へ富士山が時々顔を見せる。そして年末からお正月、そして今頃の時期にはさらによく顔を見せてくれる。
冬の気温の低さに増して、お正月や小正月という普段から離れた平和のこの町の姿を見たくなってのことだろうと思ったりしてみる。
幼い頃にはほぼ毎日のように冬の富士山は見えたものだった。
それが建物や他の諸事情と重なり、次第に見える日数が減ってきているとこの頃つくづく思う。
これからはもっと人も物も町も変わっていく。
変わらないのは富士の姿だけかもしれない。
今日もまた富士山がきれいに見えますよ看護師の声部屋まで届く
平成28年12月 「NHK短歌」 1月号
「つれづれ(53)富士山の見える時」