ふとしたことで物置を片付けていたら古い「つみき」が出てきた。だいぶ前の話になるが、黄緑色のカバーにしっかりと十文字の紐で結ばれている。息子と数えきれないくらいお世話になった、木のつみき。華奢なもう一方のプラスチック製のものはかなり前に処分してしまっていたが、この木製のはしっかりした手触りのうえ、思い出が消えてしまうようで手放さずに今まで眠らせていた。
高いタワーを作ったり、横に一列並べしたり、積み上げ時のハラハラ。そして、崩れる瞬間のたのしさ。トンネルを作ると、これもなかなかおもしろい。両わきに同じ高さの木を並べ、その上を屋根のごとくにふさいでいく。
息子と遊んだ遠い昔のことが、まだほんの少しばかり前のことのように記憶によみがえる。
もちろん当時の目的はつみきそのもののトンネル作りにもあるけれど、ほんとうはトミカのミニカーを真っ暗闇のできたトンネル内に走らせること。そうやって何回も何回も遊ぶ。
そのつみきは40年前のわが家をいやというほど知っている。
つみきは
木にふれることも、
知恵を使ってつみ上げることも、
息子にとってはせいいっぱいのおべんきょう。
そして、最後にはおかたづけが待っている。
そのつみき
今は孫娘の手元に嫁いだ
「つれづれ(179)つみきは今も健在なり」