あべっちの思いをこめた雑記帳

黒ちゃんのこと ~後編~

 前回に「黒ちゃんのこと~前編~」と題して書き込んだ。今までに90回以上のブログを書いてきたが、友人知人の実名を書き入れたのは今回が初めてで、他には思い出せない。それだけ思い入れの強い人だったのだろうと今あらためて思っている。

 その黒ちゃんのことの前編を読み返してみると、要旨は
 『本名が黒田というのを知ったのは、それから一年近く過ぎてからだろうか。黒ちゃんは山形県の寒河江市出身らしい。
 人なつこくて、トマトやナスやキュウリや、その他の野菜を季節になると、持って帰ってくれとたくさん店まで運んでくれる。自分で作ったのだと言う。百合などの花を店に飾るのだと言って持ってきてくれたこともある。
 奥さんを亡くしてからの一人暮らしに、鳩は大切な同居人のようだ。
 いい奴だなどとは言いたくない。そんな月並みな言葉で済ませたら、黒ちゃんに申し訳がないなと思っているから。
 カラオケの仲間でありながら、彼はカラオケがあまり熱心というほどではない。もっぱらお酒のほうである。
 黒ちゃんから、人間のもつ温かさを教えてもらった。
 もらったというよりも、知ったというべきか。』

 その黒ちゃんが楽しみにしていた土曜日の定例カラオケに3回続けて欠席した。連絡もないので、どうしたのだろうとみんなで心配した。過去10年、欠席さえもめずらしく、2回連続などというのは私の記憶にはない。まあ私自身が連続欠席はしょっちゅうだったから、その時に黒ちゃんはどうだったのかは知るよしもないけれど。
 女性二人がすぐ近くの彼の家まで見に行ったが、鍵が閉まっていて中には入れない。近所の人に尋ねたら、5日前に亡くなっていたとのこと。娘さんが、連絡が取れないので不思議に思い2~3日前に訪ねて来てそれに気付いたとのこと。  
 思えば、3年前のことだった。
 12月24日が彼の3回目の命日。

黒ちゃんはお酒の好きな人だった
 仲間の誰もが一人暮らしを心配して、食べ物のことをあれこれ忠告した。
黒ちゃんは怒ると怖い人だった
 ところがカラ威張り的な感じで、その怒り方を誰もが明るく受けとめていた。
黒ちゃんは正直な、実直な人だった
 だから思うことは口には出すが、決して根にもつことはなかった。
黒ちゃんはレパートリーが5~6曲だった
 それだから、「紅の舟唄」や「北国の春」「哀愁列車」は黒ちゃんの持ち歌のようだった。
黒ちゃんは存在感の大きな人だった。
 決して主役ではないけれど、人気があるということではないけれど、いるとまわりを和やかにしてくれた。
黒ちゃんが休むと店内が少しいつもと違っていた。
 明るくなるのも賑やかになるのも、今少しだなと思うことがあった。


さようなら 黒ちゃん
ありがとう 黒ちゃん
ほんとうに ほんとうに
さようなら ありがとう
   
あなたを忘れない


                「つれづれ(47)黒ちゃんのこと~後編~」 

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hayashidamika
あけおめ
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