合唱の指揮を頼まれた（8）

体育館問題（1）


合唱担当の人を当初から悩ませている問題に、体育館を借りて1度でも本番のように練習するという問題があった。

たしかこれは、合唱担当夫妻が一度降りると言うきっかけにもなった問題だったように記憶している。

毎年、合唱の練習で2回程度体育館を借りて、舞台上で本番の並びや立ち位置を確認し、本番さながらに練習をするそうである。しかし、例年合唱の事務に妨害が入ってなかなかスムーズではないらしい。

前年は、合唱に協力的なPTA賛助会員（以前書いた地域の世話役的な人、男声）が学区の体育振興会の代表だったこともあって、その方の口入でようやく体育館が借りられたという。

今年は「体育館借りるなら教養部と本部（？）の許可を得てください」と言われて、早目から抑えようとお願いしたが、PTA側が全く取り合おうとしなかったとのこと。

こうした経緯も踏まえた説明とともに、体育館を借りるかどうか、我々に相談があった。

私は実力からそれほど大差がないような気もしたが、本番の伴奏者は本番を想定してやっておきたいとの意向で、練習だけの伴奏者も合唱指導の経験からやっておいたほうがいいとのことだった。ならばその意向に従っておいたほうがよいだろう。

練習が始まってから9月中ごろ、体育館のことが結局何も決まらず、教頭にうかがいを立てていた。このころは、合唱のことは教頭が対応して校長は逃げまくっていたらしい。その割りに、学校側は我々技術スタッフに辞められては困ると危惧し、希望であれば毎年2回の体育館練習の慣行は通りそうな雰囲気だった。本番手前の日に抑えるにしても9月20日過ぎまでには申し込んで欲しいとのことで、改めて我々に相談があった。

時間もないし、グズグズしているとまたPTAで話が止まって、うやむやのうちに体育館が取れなくなる。

そこで私は、合唱担当者に次のように伝えた。
「体育館の件がなかなか決まらず教頭先生からどうしますか、いついつまでに・・・と言われた経緯を指揮者、伴奏者に話したら『普通取るでしょ』と不思議そうに言っていた」

その後、ほぼそのままを伝えたら、体育館は1回分が確保できたようである。もう一度体育館を取るかどうかでは、また話が進まなくなった。

私は合唱の出来が芳しくなく、このままではまともに声も出して歌えない本番になるように思えたので、広い体育館で当日の午前中に発声と、曲を1回ずつでも通して、声が出る状態を作って本番に臨みたいと考えるようになった。

だから、できれば本番の午前中、取れるなら体育館を取りたいと伝えた。

しかしこの件でも話しが進まない。そもそも、当日練習なんてあっても来ない、練習なんて3回でじゅうぶん、ぶっつけ本番でやればいい、と言うような人たちだから、それは邪魔したくもなるだろう。

2回目の体育館予約について教頭は、早めに言ったら抑えられるような口調だったらしい。

その後、態度が変わった。その日（本番当日）に行事を入れるようなのでちょっと体育館は難しいかもしれないという。

それに乗じて、PTA役員は体育館の行事に参加して、それを理由に合唱の当日不参加を決め込むつもりの様相が浮上した。

（つづく）