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全身の力を完全に抜く

2020年03月30日 | 健康増進
全身の力を完全に抜く
原則の第二にある「全身の力を完全に抜く」とは、要するにリラックスすることである。張りつめたままの弓がすぐ使えなくなるのと同様、人間も緊張したままでは疲労し、病気になってしまう。最近の医学界の発表を見ると、現代病の80~90㌫はストレスや過度の緊張の連続といった神経によるものから引き起こされているという。医者は患者に、リラックスして神経を使わずにゆったりしなさいと教える。ところが、これがなかなかできない。そう教える医者自身が神経症の胃潰瘍になったり、心臓を患ったりしている。目まぐるしく変化する政治経済、複雑化する人間関係、受験戦争、騒音など、現代社会は人をイライラさせ、ストレスを感じさせるものであふれかえっている。新聞に報じられている殺人事件の記事を読むと、「なんでそんなことで人を殺すのか」と首をかしげたくなるようなささいなことが原因の場合が多い。ストレスがたまると、ちょっとしたことで爆発し、取り返しのつかない悲劇が起きてしまうのだ。人間の心は本来、静かなものである。だから、本当にリラックスしていれば、心に波はそう立たないものだ。しかし、現代人はストレスで身体を硬直させ、いつも心を波立たせていて心の休まるひまがない。

たとえば指先に一の刺激が与えられたとする。神経がこれを脳髄に一と報告するなら、これは正常である。ところが、これを100とか1000とかと報告しては、忠実な神経とはいえない。神経の異状報告である。風邪をひいているとき、髪の毛にはほんの少しさわられても身体中がぞくぞくする。暗闇を歩いているとき、木の葉が襟首に触れただけでキャッという。人にひと言注意されただけで、カッとしてケンカをする。これらは、みんな神経の異状報告である。最近の大きな社会問題である校内暴力の頻発は、ほとんどこの神経の異状報告に起因しているといってもいいだろう。神経が異状報告しては、脳髄もついには命令が乱れて、異状な行動を命令してしまうのである。だから、健康のためにも、健全な社会生活を営むためにも、すべての人がリラックスすることを心がけねばならない。もっとも、医者や私が大声で叫ばなくても、現代人はリラックスの重要性を知っているが、実際はなかなかリラックスできない。

なぜか?理由の一つには、多くの人が「リラックスするのは気持ちがよいが、弱い状態である」と錯覚していることである。心の底にそうした考えがあるから、いざというときにリラックスできないでコチコチになってしまう。ゴルフなどでも、ここ一番というときに身体が硬直して失敗したりする。リラックスとは「力を抜いた」状態をいうのであって、ルーズィング・パワー、つまり「力が抜けた」状態のことをさすわけではない。「力が抜けた」状態とは、虚脱状態のことだ。終戦後、戦地から帰ってきた私は、苦労したのだからしばらく温泉にでも行って身体を休めたらどうか、といわれた。しかし、私はそれを断り、翌日から畑を耕した。氣がゆるむことを恐れたからだ。氣がゆるんで虚脱状態になると、人は病気になる。後で聞いたところによると、温泉に行って氣がゆるみ、自然に衰えて死んだ戦友が何人もいたが、私は病気ひとつしなかった。風邪をひくのも氣がゆるんだとき、「氣が抜けた」ときである。第一線で活躍していた人が定年になったり、引退して隠居をしたりすると急にボケたり、生氣がなくなったり、身体が弱ったりするのも、氣を出す目的を失い、虚脱状態になってしまうからだ。リラックス、「力を抜く」というのは本当の意味の「ドゥ・ナッシング」であり、天地に任せきって何もしない状態、すなわち心身統一の一番強い状態のことなのである。

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