山田の案山子

日々是吉日

ケチな隠居と権助と俄雨 次々に借り人 @(0_0)@

2014年11月03日 | 時事・ニュース
 俄雨。誰か傘を借りに寄られては困ると、ケチな隠居が下男を呼んで、「権助、誰か傘を借りに来たら上手くあしらって、隠居は留守、傘を貸す事はならんぞ」
「ヘエヘエ、承知しやした」

 隠居は奥へ入る。間もなく門口から大きな声で、「御無沙汰を致しました。権助さん、此の俄雨で難儀をします。傘を一本貸してください」
「生憎、隠居は留守、わし共にやァ傘ァふとつもござんない。かいらっせえ」

 すげなく言われ、あきれ顔で帰った後、隠居は奥から顔を出して、
「コレ、きさまはあまりと云えば弁えのない男だ。此の後もある事だ。傘を借りに来たなら、お気の毒でございますが、傘は骨が折れて紙も骨もバラバラでございますから、縄で絡げて棚の隅にあげてあります。お役に立たずお気の毒とでも言うのだぞ」
「呑み込みやした。こんど来たなら、そう言いますべえ」

 其処へ門口から、「御免なさいまし。此の頃鼠が出て困りますが、どうぞお宅の猫を少しの間、貸して下さいませんか」
「そりやァはぁァお安い御用だが、生憎隠居は留守、猫は此の頃、骨が折れて紙も骨もバラバラになりくさって、縄で絡げて棚の隅へあげました。お役に立たねえで、お気の毒なこんでござりやす」

 妙な事を言う人だと帰って行く。隠居はまた奥から顔を出して、
「コレ権助、お前にも困ったものだ。骨も紙もバラバラとは傘を借りに来た時の挨拶だ。若し猫を借りに来たらば、此の頃猫はフンシが悪いので裏の物置につないでござります。猫は一匹ありながら、お役に立たいで残念千万な事でござりますとでも言うものだ」

 言いふくめているところへ、また門口から、
「御免なさいまし。伊勢屋から参りました。主人が申しますには、お手間はとらせませぬ、どうぞ御隠居のお顔をかしてくださいまし」
「ハア、隠居は此の頃フンシが悪いで、裏の物置へつねえでござりやす。隠居は一匹ありながら、お役に立たいで残念なこんだ」

 伊勢屋の手代は、あきれて早々に帰って行く。隠居は奥からとんで出て、
「ヤイヤイ権助、きさまと云う奴は、あきれて物が言われない。隠居の顔を貸せと言われたなら、お安い御用ではございますが、隠居は此の頃疝気がおこって、歩く事が出来ませんと言ってお断り申せ。わかったか」

 其処へまた近所の男が、門口を入るやいなや、
「すみませんが、蚊いぶしをする火鉢を貸してくださいませんか」
「そりやァはァ易いこんだが、火鉢は、此の頃疝気がおこって歩く事が出来ましねえ」「そりやァ大変だ。此処のうちの火鉢は狸か狐が化けたんだろう」

 びっくりして帰って行く。隠居は奥からとび出して、
「ヤイヤイ権助。馬鹿もいい加減にしろ。蚊いぶし火鉢が疝気がおこって歩かれぬとは、途方もない事を言いおった。イヤハヤ、きさまにはあきれかえった」

「そんなに怒るもんでねえだ。あの火鉢は疝気のゥおこるこんだァ」
「ヤイヤイ、馬鹿ぬかせ。火鉢に疝気がおこる筈があるものか」
「イヤ、そうも言われましねえ。あれはキンタマ火鉢と言い申すから、疝気のゥおこるべえよ」


入力しながら吹き出した
誤字を指摘され何度か記事を読み返したが確かに誤字が多い
服役中に写植工場に務めた

原稿とレイアウトを渡され自分で割付して一文字ずつ数えて入力する
修正と校正も自分でする
、。のぶら下がりや っァ」のぶら下がりも入力する前に4分の1ミリ単位で調整する
パソコンは原稿も書かぬ故に気にせずに入力しても勝手に調整してくれる

タッチタイピングはゲーム感覚でやった事はあるがキーボードに目が走る
従ってディスプ確認が疎かになり変換もプレビュー確認も手抜きになる様だ
誤字脱字はパソコン初心者が故に御勘弁戴きたい