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博康へ
父と母が出会った。
そして
君と百合子さんが出会った。
時間から時間への移りゆく時の流れ。
今 君たち2人は父と母の思いを受けつつ新しい
時間への旅たち。
27年前。初めての君との出会い。
ガラス越しに未熟室で小さな保育器に入れられた君の姿を
見たときの驚きと喜び。
やがて10日ほどたってはじめて君を両手で抱き上げたとき
君が小さな赤子の手でしっかりと僕の手を握ってくれました。
命から命への流れを感じました。
父と息子の対話はそこから始まりました。
あるときは父親として
あるときは友人として
あるときは人生の先輩として
そして 今は男同士としての繋がりができました。
子供たちにとってどんな父親になろうかの自覚のないうちに 僕の前に
現れた君でした。
なんと伝えようかと悩みましたが
ただ 自分の後ろ姿に何か1つでも学んでくれればよいと願いつつ
君との正直な会話を心がけました。
君と2人での酒を交わしながらの会話
やがて新宿2丁目でのゲイのママさんを間にしての会話。
どんなときでも君は逃げることなくして わがままな父親に
付き合ってくれました。
その君が命から命への繋がりとして選んだ百合子さんとの結婚。
心からのおめでとう。
しっかりと浮かれることなく歩む2人の姿に安心しています。
いつの間にか 君の声、ぬくもりに安心できる父になってしまいましたが
まだ まだ負けません。
父のわがままに2人そろって付き合ってください。
お母さんは選手交代と言っています。
百合子ちゃん 新しいお父さんとお母さんもよろしくね。
平成20年6月28日 父より
ふと パソコンをいじってたら見つけたむすこの結婚式への手紙でした。
その息子夫婦にも新しい命が授かり、命の絆が続いてます。
孫と手をつなぐたびに、息子の命が感じられます。
そして、その息子が
「俺、親父の会社を継ぐよ」
大手の通信会社を辞めての決断。
父親から息子への、息子から父親への命の絆。