2014年12月1日より、岐阜県では山岳遭難防止条例が施行されます。
今後、対象の山域、季節に入山する場合は必ず登山届を提出して下さい。
年末年始の登山計画をされている方も多いと思います。北アルプスにおける冬山登山は、登山者の経験、体力、技術、判断力が高度な次元で試されるフィールドです。登山者としてのレベルアップを目指す方にとっては憧れでもあることでしょう。有名な登山家の方をはじめ、厳しい環境で自分自身を試す、ストイックなまでの生き様はリスペクトするに値するものですし、そういった方々は人間的にも魅力ある方が多いのも事実です。
一方で、冬季に3000m級の山岳に登山することは客観的に見た場合、”安全な登山”を行う時期としては無雪期に比べ、著しく不適な時期であることも事実です。なぜ山岳遭難防止条例が制定されなければならなかったのか、その背景についてもどうぞ今一度、思い返して頂くようにお願いします。安易な気持ちで入山することのないように、甘い天候判断で入山することがないようにお願いします。
例年、年末年始の山岳遭難事故のニュースでは遭難者の経歴に「登山歴◯◯年のベテランで・・・」、「ヒマラヤでの登山経験もあり・・・」等の説明も時にあります。冬山初心者や体力、技術不足がもとで遭難した方ばかりではないことを決して忘れないで下さい。登山に情熱を注いだ方が山で亡くなった時、「山で死ぬことが出来たのなら、本人も本望だろう」という意味の表現がされることがあります。しかしそれはいつも、残された方々が愛する人を山で失った悲しみの奥から絞り出す言葉です。そして、「もう山で命を落とす方がこれ以上出ないように」という心からの願いも、同時に持たれるのではないでしょうか。
この年末年始に山岳遭難事故のニュースが流れることのないように願っています。