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年末年始の長期休暇にあわせて冬山入山予定の方もいらっしゃると思います。山行記録サイトでは槍ヶ岳・飛騨沢ルート(夏道)を冬季に通行している記録も見られますが、このルートは積雪時には雪崩の危険が高くなります。また、2023年7月にはブドウ谷付近で大雨による影響で出現した新規の沢もあり、雪崩規模についてのデータが未確認となっています。「これまでにも通ったことがあるし・・・」という考えはとても危険です。
冬季の槍ヶ岳登山を計画されている方の中には新穂高~中崎尾根(奥丸山経由)~西鎌尾根のルートを無雪時に偵察し、場合によっては燃料や食料デポを完了して登頂に備えている方もいらっしゃいます。もちろん、このルートが冬季に安心・安全なルートだと言い切ることは出来ませんが、雪崩の危険を回避する上では有効なルート選択です。「とりあえず夏道で槍平までアプローチして・・・」と考えている方、いらっしゃらないでしょうか?「今日中に下りたいから・・・」と、雪崩が起きやすい気温の上がる日中を当たり前のように行動時間に設定されていないでしょうか?
2017年には3月頃に発生したと思われる奥丸山方面からの雪崩で槍平小屋も二階客室の廊下部分に雪が流れ込む被害を受けました。また、2008年の正月には小屋玄関前付近でテント泊されていた方々が雪崩に巻き込まれる死亡事故も発生しています。
積雪期登山は自分自身の体力・登山技術の向上を実感できるし、なにより厳しくも美しい姿を見せてくれる山々はとても魅力的です。山行記録のタイトルに見られる”冬季”、”厳冬期”の誇らしい響きは登山初心者の方にとっては憧れの対象にもなり得ます。冬山フル装備でのサングラス・ゴーグル姿は匿名性を保ちながら自身の姿を投稿することも可能でSNSとの親和性も高く、そこから得られる反響なども現代ならではの登山の楽しみの一つになっている場合もあると思います。それぞれの方が、それぞれのスタイルで楽しめるのが登山の良いところ。ではありますが、それも無事に下山できることが大前提です。年末年始の長期休暇であっても、大量降雪の直後や悪天候が予想される場合にはどうぞ無理な入山はされませんように。この冬、SNSのトレンドにくるのは山岳遭難のニュースではなく”無事下山”の四文字であるように心から願っています。
※ 積雪期に槍平冬季小屋、キャンプ場利用の皆様へ(多数のトイレ跡に困っています)