【分配面から見たGDP】
GDP=給与+報酬+減価償却+(納税額-補助金)+配当金+内部留保=生産主体の粗利(付加価値)の総計
給与:決まって支払われる給与総額。
報酬:業績に合わせて支払われる報酬総額。
減価償却:償却資産の消耗費。
納税額:直間税総額。
補助金:政府から支給される助成金など、税金の戻し金。
配当金:納税後の最終利益から支払われる株主配当金総額。
内部留保:企業の荒利から上記の費用を差し引いた残余。
個別給与の内、最低時間給は法律で決めることが出来、政府の方針によっても影響します。これを上げると、一見、GDPが増えるようにも見えますが、これに失敗したのが韓国の「最低時給の大幅値上げ」です。
式:Y=f(X)=aX+b
では、Y を従属変数、X を独立変数と言います。X に任意の値を与えると Y の値が決まると云う意味です。a は係数、b は定数です。
韓国の政策をこの式で考えると、「GDP」を従属変数Yに、「給与」は独立変数X、そして給与以外の項目が定数「b」であるかのように解釈し、「GDP」を増やす為に給与総額を上げ、例えば給与倍率「a」を「1⇒1.5」に増加させた結果、給与以外の項目の値「b」が減少して経済破綻を招いたと解釈できます。
「GDP=1.5x給与+給与以外の項目」で、給与総額を増す事でGDPが増えると誤認。
しかし、現実の経済では、「給与:Y」が「GDP:X」の従属変数と言え、独立変数「GDP」が増加すると給与も自然に増加する事が常識として理解できます。企業の付加価値の内、給与にどのくらい分配するかを「分配係数:a」として、ボーナスを b とすると、
給与=分配係数xGDP+b
となり、「給与」に加算された「b」の額だけ「報酬」は減る可能性があります。 その他の項目も互いに影響し合っていて、決して、「給与」を増やしたからと言って「GDP」が増えるわけでは有りません。これは、経済が「さんすう」では無い事を意味します。
「経世済民」を学問として考えるのなら、GDPの式は、
給与+報酬+配当金+内部留保+減価償却+(納税-補助金)=← GDP
と、書くべきです。GDPは「経世済民」の結果として得られる過去のデータであって、未来を指し示す指標では有りません。
2018年度の徴税額(国民から見ると納税額)が過去最高で60兆円(前年比+2兆円)に達したと発表されました。企業の利益も増え内部留保と配当金が目立って増えました。実際に最近、民間企業の内部留保の一部である現預金が、毎年10兆円程増え続けています。つまり、給与以外の分配係数(GDPの各成分の構成割合い)が大きくなったことを意味します。
2018年のGDPは約550兆円なので、2%成長だとしたら11兆円の増加となり、一方、企業の現預金の増加額と税収増加額を合わせると約12兆円になるので、他の項目は合計で1兆円減少した事になります。
分配面から見た場合、GDPとその各成分の構成比は結果論でしかなく、任意に増減させる事でGDPを変化させる事は出来ないという事です。
何故なら、ここには「借金」の項目が無いからです。
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