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「憲法」 と 「不法行為」

2021年10月13日 | ニュース
 難民に認定されず不法滞在で強制送還されたスリランカ人二人が起こした「強制送還以前に裁判を受けさせなかったのは違法だ」とする裁判で、一審は二人の訴えを棄却しましたが、東京高裁は9月22日の判決で、入管当局の対応は「裁判を受ける権利を侵害したのは憲法違反だ」と指摘し、国に対して「不法滞在者に60万円の支払い」するよう命じました。

 憲法には「国民の権利」は書かれていますが「外国人の権利」は(直接的には)書かれていないので、この「違憲判断」を理解するには一捻りが必要です。

憲法第32条
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

憲法98条第二項
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

などが考えられます。

 32条には「何人も」と書かれていますが、「良い事をした人」には裁判を受ける権利は有っても、裁判を起こす資格は有りません。例えば、「道端で困っている人を助けた」時に、助けられた人が謝礼金を払わなかったからと言っても、助けた人には裁判を起こす資格は有りません。それは、何処にも違法行為が無いからです。

 この「何人も」は、違法行為を受けた可能性が有る人に限られ、しかも権利は有っても資格や行使は別問題です。当然、裁判所自体も「告訴人の利益を欠く」として告訴・告発の不受理を正当化する場合もありますが、これを「裁判を受ける権利を(裁判所が)奪った」とは、通常は言いません。

 正確には判りませんが、高裁は「日本は、条約(或いは、国際法規)に違反した」と判断した事になります。それでも、恐らくですが、日本の裁判所には「条約・国際法規に対する判決」は下せないと思います。つまり、「統治行為論」の範疇であり、政府が「日本の法律」に従った行政による「統治行為」には、司法の権原が及ばないと云う事です。

 残留期限を超えた(有意な亡命資格の無い)不法滞在者を「強制送還」する場合は、不法状態を速やかに取り除くよう、確実に実行しなければなりません。これに係る費用は原則(違法行為者の)自費になります。どうしても払えない人に対しては「日本国民の税金」で対応することになり、寧ろ、こちらの方が「憲法違反」になる可能性が有ります。

憲法前文
・・・そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。・・・

 「国政による福利は国民が享受し、これは人類普遍の原理」と書いてあるので、不法滞在外国人の送還費用を国民の税金で負担するのは違憲と言え、当然「人類普遍の原理」なので、人類である外国人も承知している筈です。

 結論としては、「適法な統治行為の結果として、裁判を受ける権利の行使権を奪った事になるのなら、違法の可能性は有るが、違憲では無い。」です。当然ながら、「違法かどうかを決めるのは、裁判所の権原」なので、憲法を知らない裁判官の好きにすればよいよ思います。




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