オメガねこ

知識は人をバカにする。
智識はバカを人にする。
信じるか信じないかは、自分次第です。

「民間部門」 と 「政府部門」

2019年10月04日 | 経済

 民間企業が「生産・投資」をし、民間(業務以外での公務員も含む)だけで「消費」をした場合は「民間部門収支=0」と、なります。投資には「設備投資」や「在庫投資(例えば値上がりを期待して事前に買っておく場合や、売れ残りも含む。)」があり、他の部門には流れなかった場合です。民間での生産余剰が発生し、売れ残りが無い場合は「生産物」が他の部門に流れた事になり「民間部門収支=プラス」となります。

 経済主体には「民間部門」以外に「政府部門」と「海外部門」が有り、この分類ではこれ以外の経済主体は考えません。但し、ここでは簡単の為に「海外部門」を考えない「鎖国状態」を設定します。「鎖国」とは言っても、海外との貿易が無い事を意味するのではなく、例えば、貿易業者は「最終消費者と生産開始者」にして、民間部門に含めると云う事です。江戸幕府で考えると、「長崎から出て行ったモノは長崎が消費者。長崎に入ってきたモノは長崎が生産者」と考え、完全な管理貿易の下「輸出入の決済額が等価」と云う事です。

 政府部門が「徴税」し、その税収と同額の「消費や投資」をした場合は「政府部門収支=0」と、なります。此処で「徴税された税金」とは、実は民間部門が政府部門のサービスを買ったと解釈でき「民間部門の消費額」に含まれているので、政府部門の「売り上げ収益」と言えます。政府部門の「消費」は民間部門の余剰生産物を買う事になり「民間部門収支=プラス」になるように見えますが、実体としては、その分は「納税」と云う形での「民間支出」が有るので「民間部門収支=0」になります。

つまり「政府は民間に対し、金品を再分配をしているに過ぎない。」と云う事です。

 例えば、民間人(A)が1100円持っていて、飴を欲しがっているとします。これを聞き付けた目聡い民間企業が売価100円の飴を11ヶ製造し売った場合、1100円分の「生産面から見た実質GDP」になりますが、これに消費税が10%加算された場合は、「名目GDP」は1210円になります。しかし、Aは1100円しか消費出来ないので、飴10ヶの正味価格1000円と消費税100円が支払われ、飴1ヶが不良在庫になります。

 しかし、統計上は不良在庫も「投資」に含まれるので「民間部門収支=0」を達成する為には、Aは110円の借金をして残りの飴1ヶを買わなければなりません。ところが政府は「もったいない精神」とか「借金は経済を歪める」とか言ってるので、Aは飴を買い取ることが出来ません。

 ここで出て来るのが「政府部門」です。「徴税した110円(正確にはこの時点では1ヶ売れ残っているので違います)」で残りの1ヶを買い取ると「政府部門収支=0」になり、「目出度くも有り、目出度くも無し。」です。

 なぜ「目出度くも無し」かと言うと、最初から消費税がなければ民間だけで「民間部門収支=0」は達成できて、政府は不要だったからです。政府は「消費税は社会保障に使う」と言っているので、この「不良在庫」の飴1ヶを買う為には国債を110円分発行して借金をしなくてはなりません。しかし、政府は「財政均衡論」の呪文を唱えている為に、「借金」は出来ません。

 民間企業は他の民間人(B)を探して、この「不良在庫」の飴を処分する為に「半額セール」をして50円の減収になりました。当然、税収も5円減ります。その結果、名目GDPは本来の1210円から1155円に「-5.5%」ほど落ち込みます。若し売れなくて飴を廃棄処分すると、名目GDPは1100円になり税収は予定より10円減ります。

 政府が清水の舞台から飛び降りるつもりで国債を発行すると、現在の5年国債の金利は0.1%(現在は価格が102円なので利回りは -0.3%)で、110円分の国債の金利は5年間に0.55円の負担になりますが、「不良在庫」の飴を税込110円で買い、これを社会保障に回す事で「三方、全て良し」になります。

 この場合、まだ徴税予定の「消費税」は納税はされていないのですが、入り次第「国債を償還」すれば、政府の実質負担も殆ど無く、政府の存在価値も「再配分機能」以外は殆ど必要ありません。

 つまり、GDPを減らさない為には「誰かが借金をしなくてはならない。」と云う事です。税金は民間部門のGDPを減らし、その減った分を政府部門が税収で補てんをする事になり、良くても「行って来い」なのでGDPを増やす事にはなりません。

 「鎖国状態の国」では「「政府部門収支+民間部門収支=0」になり、政府部門収支をマイナスにする事で民間部門収支をプラスにする事が可能になります。

 実際には海外部門も加わり「政府部門収支+民間部門収支+海外部門収支=0」なので、少し複雑になり、現在の所「海外部門収支=マイナス(海外部門から見ると赤字:当該国の輸出額が大)」なので、「政府部門収支=0」でも「民間部門収支=プラス」が可能です。

 また、誰かが借金で消費をしGDPが増えれば、税収は放って置いても増えます。




コメントを投稿