「リサイクル」 と 「エネルギー」

「ゴミ」のリサイクルで資源の無駄使いを減らそうとする努力が、惰性で続いています。

空き地に銅線や鉄クズを無防備に置いておくと、誰かが勝手に持っていきます。きっと、銅や鉄にはそれ自体に価値があるので勝手に持っていくのだと思いますが、プラスチックゴミは燃料になるのに誰も持っていきません。灯油などはホームタンクに施錠して貯蔵していても盗む人がいます。盗むにしても経費が掛かるのですが、それ以上に灯油には価値があり、プラスチックゴミはタダでもいらないと云う事です。

国内でプラスチックゴミを再生しようとしましたが、経費が掛かり過ぎるので賃金の安い新興国に持って行っても、今では拒否されています。これは、「プラスチックの再生は不経済」である事を証明しています。一方、「くず鉄」や「銅線」は向こうから買いに来ます。「金属の再生は経済」と言えます。

「ゴミ資源」を「リサイクル」すると、多くの場合は本来の新品の製造工程よりも「エネルギー」を余計に消費するそうです。一説によると２倍以上のエネルギーが必要だそうです。それでも、補助金が出たり、回収（再生）料金を消費者にも負担させてるので、リサイクル業者には損失が出ない仕組みになっていて持続は可能です。つまり、消費者よりも業者と行政の「きずな」が強いと云う事です。

それは兎も角、「ゴミ資源」の運搬や加工に必要なエネルギーを賄うには「新規にエネルギー」が必要になるので工夫が必要になります。「廃プラスチック」を家庭ごみと一緒に回収し一緒に燃やす事で「焼却用の新規エネルギー」を節約できて経済的なようで、ゴミ焼却現場では「家庭で分別されたプラスチックゴミ」の大半は通常の家庭可燃ゴミと一緒に（人知れず）焼却されているようです。

人間には御し難い「エントロピー増大則」があり、モノを加工するとその周辺で不可逆なエネルギー消費が起こり、何もしなくても系全体では「自然にエントロピーは増大」します。つまり、エネルギーが必要な時には、「節約」をしないで適時必要な分だけ「燃えるモノは燃やす」のが最も省エネになると云う事です。「モノの加工」には、ゴミの分別や移動も含まれ、ゴミを海外に移動したり、埋め立てるだけでもエネルギーを浪費し、エントロピーは余計に増大します。

見えるところで「節約」をすると、見えないところで「節約以上の浪費」が生じると言うのが「エントロピー増大則」の原理です。但し、「効率を高める」のと「節約」は違います。

「可燃ゴミ」を燃やさないで地表近くに埋め立てても、生められたゴミは酸化によって「自然に発熱」し、地球を暖め二酸化炭素を排出して灰になります。人間は「見えないモノは無かった事にする」習性があり、ゴミを焼却炉で燃やすと見えるので「環境保護」を訴え「ゴミ焼却場の新設」には反対します。この傾向は「文系」に強く、高校程度の科学を知っていれば「ゴミは分別しないで焼却し」排熱を利用するのが最も効率的である事は理解できると思いますが、非効率なリサイクル運動が「科学」が発達した今でも推進されてます。

家庭で分別されたプラスチックゴミを（隠れて）可燃ごみと一緒にして燃やしたり、余計なエネルギーを使用して再生する「リサイクル政策」が何故推進されるのかが、高校や大学で勉強した事のない「理工系」の私には理解できません。誰か、その理由を知っている人がいたら教えて下さい。