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「借金」 と 「通貨」

2019年09月01日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)

 国家は主に、国民や企業など「経済主体」の「賃金」や「利潤」等から「税金」を徴収し国家運営をします。但し、ここでの「利潤」には資本家(企業)による生産設備などの再投資予定額(内部留保)も含まれています。

 「マル経」での「物価=労働価値」は共産主義下での理論値で、共産党が生産手段を完全に提供し、且つ労働者が搾取されない場合のみに成り立つ「理想式」と言えます。しかし、ここで「共産主義特有の詭弁」が有効になります。それは、「共産党政府も労働者なので、共産党の取り分は利潤ではなく労働価値に含まれる。」と云うものです。

 この詭弁が成り立つのなら、資本主義国家の「経済主体」である資本家も労働者なので、「利潤=資本家の(頭脳)労働価値」が成立すると云う事で「搾取など有り得ない」と言えます。しかし、一般労働者も「株式」等に資本参加する事が可能なので当然とも言えますが。

 「資本主義」では、「賃金」や「利潤」を「商品の付加価値」として考えます。「賃金」には所得税、「利潤」には法人所得税、また「商品価格=賃金+利潤」なので「消費税」は「二重課税」として徴収されます。

 これらの「税収」などを元に次年度予算が組まれます。しかし、「予算執行の方が税金の収納よりも先」なので、政府は「借金」を必要とします。

 日銀発行券の残高(紙幣):115兆円

 預金通貨(要求払い預金):700兆円

 政府発行通貨(硬貨):5兆円

 日銀紙幣や銀行預金は発行体の「負債(借金)」ですが、政府通貨は「負債」では有りません。

 政府は「借金ではない通貨」を5兆円発行していますが、これは発行残高なので、毎年の予算組みには使えません。そこで「政府短期証券(短期国債)」を日銀に発行して「通貨」に替えます。それでも。年間予算額の100兆円には足りないので「国債」を発行して予算執行に利用します。

 つまり「財政均衡至上主義」と雖も、政府は各年の予算執行の為には、必ず「借金」を必要とします。これは、予算当該年の翌年でないと「税金の納付」が無いからです。

 これを一捻りして、予算額が決定すると同時に「政府通貨(借金ではない)」を発行し、翌年の徴税額と「相殺償却」すれば、予算執行の為の「借金」である「政府短期証券」「国債」は取り敢えず不要になります。また、「相殺不足」が起きた時に「赤字国債」を発行すれば、「真の政府の(単年度)財政赤字額」が明らかになります。

 この「財政赤字額」は本来「経済成長」に資するものなので、政府支出によるGDP増加額と言えます。しかし、民間部門でのGDPも有るので、好景気・不景気によって政府支出を調整する必要がありますが、好景気時には税収も増えるので、自律的に「財政収支」は改善します。

 民間部門のGDP増加額は「資産の増加」を意味し、この「資産を担保」に借りたお金を「預金通貨」に変えることから、経済主体の「預金通貨の発行増加額と財政赤字の増加額」はGDPの増加にほぼ等しいと言ます。

 「土地価格」は直接GDPには関係は無いのですが、現在の日本の産業構造上「土地は生産基盤」と言え、増加した「現金資産」の逃避先にもなります。但し、「地価上昇中」に政府が相乗りすると破綻の確率が上昇する為、政府は景気を冷やす必要があります。

 事業者が「借りたお金」は、一見するとその事業者の「借金」のように見えますが、実際には「担保」を差し出しているので、「預金通帳」に書かれている数字は「預金通貨」を発行した銀行の負債と言えます。質屋では「質草と現金」を(等価)交換するので誰の負債にもなりませんが、「銀行預金」は預金者が支払い要求をした場合に「現金」を払い戻す義務が有る為に「銀行の負債」になります。

「政府通貨」以外の「通貨」は、発行体の「預かり資産」が原資で、その本質は「借金」です。



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