以前、一般質問資料調べした時にスクラップしたものを、備忘録に。 =07.2.4朝日新聞
国民健康保険(市町村国保)
自営業や農林水産業者を主な対象としてきたが、近年は失業者やフリーター、高齢者の加入が増えている。
40年前には約7割だった自営・農林水産は、04年度は21%。1割に満たなかった無職が52%になった。60歳以上は20年間でほぼ倍増し48%を占める。加入者約4800万人。
国保滞納 差し押さえ1.7倍 指定市と23区調査 01-05年度
収納向上狙う
地方自治法などでは、自治体は国保料の滞納者に対して、預金口座や保険、不動産などの差し押さえができると定める。
厚生労働省に情報公開請求して得た資料でも、国保料滞納による差し押さえは全国で01年度の4万4112件、156億円が、04年度は6万8488件、245億円と1.5倍に増加。実施自治体は、39%から55%へと増えている。ただし、厚労省データは、差し押さえの定義や数え方が自治体によって違うため、本社調査では新規分に限定するなど統一した。
理由としてほとんどの自治体が「保険料収納率の向上」をあげる。
横浜市 4年間で3倍を越えた。収納率88.77%
「どんなに督促しても相談に来てもらえず、財産調査で多額の預貯金が見つかることがある。資力があるのに払わない人に限定して実施している」
神戸市 収納率が90%近くに下がったために03年度からはじめた。2年で90.93%とやや回復。「差し押さえれば、物件を換価しなくても自主的に支払う人が多い。効果は多きい」しかし、これまでゼロの千葉市のように 「必要は感じるが、今の職員数では無理」
差し押さえには財産調査などに人手がかかり、費用対効果の問題もある。
5年間で6件のさいたま市「国保は高齢者など低所得者が多い。「払わない人」と「払えない人」を見極めて慎重に対応すべきだ」
年間30件がゼロになった東京港区は「滞納者は調査をしても財産がないことがよくある。差し押さえは労多くして功少ない」
全国平均の保険料収納率は、
05年度の速報値で10年ぶりに上向いたものの、90.15%。大都市部は87・16%。市町村の国保は64%が赤字だ。
厚労省国保課は「収納率の持ち直しは、市町村が差し押さえやコンビニ収納などに総合的に取り組んだ結果だ。滞納者の少なくとも1割は、払えるだけの財産があると見られる。差し押さえをしているのは滞納者のごく一部。負担の公平性を考えれば取り組みはまだ不足している」
国保は失業者や高齢者に医療を保障するセーフティネットだ。悪質な滞納者がいる一方で、事業不振や借金に苦しむ人からは「払いたくても払えない事情もわかって」という悲鳴も聞かれる。
払いたくても・・・
04年度の平均保険料は5年前より1万2210円安い14万2398円だが、平均所得も同じ期間に43万7千円下がって165万円に。その結果、所得に占める保険料の負担は7.42%から8.63%へ重くなっている。
負担の重さは、大企業の健保組合とくらべても際立つ。国保中央会によると、国保加入者の平均所得は健保の約4割。一方05年度モデル調査で、年収300万円4人世帯の保険料は健保が8万から14万円に対し、国保は20万から32万円だ。国保加入者の所得をみると、ゼロが27%にのぼり、300万円を超すのはわずか13%。一定の所得がある層の保険料を高額にしないと成り立たない。
国保は、低所得者への減額制度はあるが、市町村が条例で定めない限り免除はない。
「そもそもの原因は低所得と高すぎる保険料。差し押さえでは何も解決しないのでは・・」
低所得者ら困窮の恐れ
国保は低所得者や高齢者がかなり占める。差し押さえは一時的に滞納を減らすかもしれないが、明確な基準に基づいて実施しないと生活を困窮させる恐れが大き。人手など費用対効果の点でも疑問が残る。
国庫負担を増やして保険料を下げ、減免制度も充実させることなどで、滞納問題は解決すべきだ。悪質な不払いもあるのは事実だが、相次ぐ自己負担増で制度への安心感が失われて事も原因で、それを取り戻すのは国の責任だ。
国民健康保険(市町村国保)
自営業や農林水産業者を主な対象としてきたが、近年は失業者やフリーター、高齢者の加入が増えている。
40年前には約7割だった自営・農林水産は、04年度は21%。1割に満たなかった無職が52%になった。60歳以上は20年間でほぼ倍増し48%を占める。加入者約4800万人。
国保滞納 差し押さえ1.7倍 指定市と23区調査 01-05年度
収納向上狙う
地方自治法などでは、自治体は国保料の滞納者に対して、預金口座や保険、不動産などの差し押さえができると定める。
厚生労働省に情報公開請求して得た資料でも、国保料滞納による差し押さえは全国で01年度の4万4112件、156億円が、04年度は6万8488件、245億円と1.5倍に増加。実施自治体は、39%から55%へと増えている。ただし、厚労省データは、差し押さえの定義や数え方が自治体によって違うため、本社調査では新規分に限定するなど統一した。
理由としてほとんどの自治体が「保険料収納率の向上」をあげる。
横浜市 4年間で3倍を越えた。収納率88.77%
「どんなに督促しても相談に来てもらえず、財産調査で多額の預貯金が見つかることがある。資力があるのに払わない人に限定して実施している」
神戸市 収納率が90%近くに下がったために03年度からはじめた。2年で90.93%とやや回復。「差し押さえれば、物件を換価しなくても自主的に支払う人が多い。効果は多きい」しかし、これまでゼロの千葉市のように 「必要は感じるが、今の職員数では無理」
差し押さえには財産調査などに人手がかかり、費用対効果の問題もある。
5年間で6件のさいたま市「国保は高齢者など低所得者が多い。「払わない人」と「払えない人」を見極めて慎重に対応すべきだ」
年間30件がゼロになった東京港区は「滞納者は調査をしても財産がないことがよくある。差し押さえは労多くして功少ない」
全国平均の保険料収納率は、
05年度の速報値で10年ぶりに上向いたものの、90.15%。大都市部は87・16%。市町村の国保は64%が赤字だ。
厚労省国保課は「収納率の持ち直しは、市町村が差し押さえやコンビニ収納などに総合的に取り組んだ結果だ。滞納者の少なくとも1割は、払えるだけの財産があると見られる。差し押さえをしているのは滞納者のごく一部。負担の公平性を考えれば取り組みはまだ不足している」
国保は失業者や高齢者に医療を保障するセーフティネットだ。悪質な滞納者がいる一方で、事業不振や借金に苦しむ人からは「払いたくても払えない事情もわかって」という悲鳴も聞かれる。
払いたくても・・・
04年度の平均保険料は5年前より1万2210円安い14万2398円だが、平均所得も同じ期間に43万7千円下がって165万円に。その結果、所得に占める保険料の負担は7.42%から8.63%へ重くなっている。
負担の重さは、大企業の健保組合とくらべても際立つ。国保中央会によると、国保加入者の平均所得は健保の約4割。一方05年度モデル調査で、年収300万円4人世帯の保険料は健保が8万から14万円に対し、国保は20万から32万円だ。国保加入者の所得をみると、ゼロが27%にのぼり、300万円を超すのはわずか13%。一定の所得がある層の保険料を高額にしないと成り立たない。
国保は、低所得者への減額制度はあるが、市町村が条例で定めない限り免除はない。
「そもそもの原因は低所得と高すぎる保険料。差し押さえでは何も解決しないのでは・・」
低所得者ら困窮の恐れ
国保は低所得者や高齢者がかなり占める。差し押さえは一時的に滞納を減らすかもしれないが、明確な基準に基づいて実施しないと生活を困窮させる恐れが大き。人手など費用対効果の点でも疑問が残る。
国庫負担を増やして保険料を下げ、減免制度も充実させることなどで、滞納問題は解決すべきだ。悪質な不払いもあるのは事実だが、相次ぐ自己負担増で制度への安心感が失われて事も原因で、それを取り戻すのは国の責任だ。