厚生労働省のまとめによるとナイル川クルーズ船ツアーに参加し帰国した人やその家族などの接触者で感染が確認された人は国内で3月5日から15日までに26人に上るという。その後17日に京都で3名が確認されたという報道があったので少なくとも29人が日本国内で感染確認されたことになる。
なぜナイル川クルーズ船なのという疑問だが、要するに日本人に人気があるということだと思う。
ナイル川クルーズ船は実は、アメリカ人にも大人気なのである。
ということは、アメリカでもナイル川クルーズ船感染源の新型コロナの感染があることは当然推測できる。
(ワシントンポスト3.14)
本来人生一度の楽しいはずのナイル川クルーズ船ツアーがどのようにして新型コロナ感染拡大になったかについて、ワシントンポスト紙(トランプ大統領の天敵?であるアマゾンのジェフ・ベゾス氏の所有)の記事(3.8、3.10、3.14)から紹介したいと思う。(なお、ワシントンポストの電子版、面白い記事が多いので定期購読している。ちなみに月額1200円。)
新型コロナがいかにして世界的パンデミックになったかが良く理解できる。一人からいかに世界的というべき感染拡大になるかがわかる。
新型コロナ危機を乗り越えるために重要な第一歩は敵である新型コロナについて正確な知識を持つことである。
さて、新型コロナの集団感染が確認された、ダイヤモンドプリンセスが横浜港で、その後グランドプリンセスがサンフランシスコ沖で、乗客・乗員を船内隔離したことはよく知られている。そのニュースの影に隠れてはいたが、ナイル川クルーズ船でも小規模ながら同じことが起こっていたのである。
なお、ナイル川クルーズ船は複数ある。ワシントンポストによると、その中で新型コロナ集団感染が発生したのは、Asaraという特定のクルーズ船である。Asaraについてはここをどうぞ。
Asaraである。
2月28日
台湾で台湾系アメリカ人女性の新型コロナ感染が確認された。この女性はAsaraに1月末から2月1日まで乗船していた。なお、この女性がどこで感染したかについては、台湾のほかの事例と違うので、エジプト旅行が感染源だというのが、台湾当局の言い分という。
3月1日
WHOからエジプト当局に、乗務員に感染している恐れがあるとしてその情報が伝えられた。しかし、約1か月の間にAsaraは2月12日、19日、26日とクルーズしていた。もし、乗務員が感染していたら、クルーズ船を利用した乗客は新型コロナ菌に晒されていたことになる。後日、12名の乗員が感染していたことが判明した。最悪であった。Asaraの乗客の最大定員は132人という。乗員総数はわからないが、短期の小さなクルーズ船で乗員の12人が感染というのは随分多いように思うがどうだろうか?
従ってこの間にAsaraでナイル川クルーズをした人は感染の危険があったというわけである。
3月4日~
乗務員の検査結果が判明する前にAsara新しいクルーズに出発した。
そのクルーズ期間中の6日(金)33人(内アメリカ人3人、その他の外国人16人)の感染が確認され、病院で隔離、治療を受け、残りの人(少なくとも82人)は船上で隔離された。
アメリカ国内のAsaraナイル川クルーズ絡みの感染等
メリーランドの6名(いずれも乗船者)
ヒューストンの12名(Asaraにリンク)
メリーランドの一人は地元の学校の生徒・先生たちとコンタクト、その後、この地域の5つの学校が閉鎖された。
メリーランドのもう一人は高齢者が集まって暮らすリタイアメント・コミュニティの行事に参加し70~100人とコンタクトした。参加者に医者とコンタクトする又はホットラインに電話するなどを呼び掛けているとのこと。
その他の国
Asaraはアメリカ人だけでなく、その他の外国人にも人気である。日本、アメリカ以外の感染も相当あるはずである。
因みに米、仏、カナダ、ギリシャからの旅行者のうち28人がこの数週間でエジプト旅行後検査で感染が確認されているという。またナイル川クルーズを含めエジプト旅行で感染した外国人は110以上の事例が報告されているという。エジプトの新型コロナの最初の死亡者はドイツ人の旅行者という。
台湾系アメリカ人女性からの一つの新型コロナ(発症前)から、それが知られないままに2月、3月初めの1か月間に何百という外国人乗客、エジプト人に感染し、感染の危険にさらされていったかという、新型コロナの感染拡大の実態がAsaraというたった一つのナイル川クルーズ船に関わる物語を眺めただけで明確にイメージできる。
新型コロナの怖いところは、無症候性(asymptomatic)であることだ。症状が出ず感染していることを知らないがために、病原菌をまき散らし得ることであろう。高齢者や持病のある健康弱者に感染させると重症化し、死という最悪の結果につながるのである。
感染の予防が困難であるとすると、高齢者や持病を持つ者が感染防止のために自宅待機・自宅隔離、外出を控える等感染機会をなくす措置をとることは理にかなっているとはいえる。
この期間にAsaraでナイル川クルーズをした人には症状はなくとも感染させないよう十分な注意をしていただきたいものである。また、濃厚コンタクトのある方にもである。
そして行政・政治の担当者・責任者にはワシントンポストの記事のような情報をもし知っているならそれを感染防止のために役立ててほしいし、もし情報を持っていないなら感染源に関する正確詳細な情報収集に努めてもらいたい。
アメリカではトランプ大統領が、英国ではジョンソン首相が、カナダではトルドー首相が、フランスではマクロン大統領が、国民の理解を求めて陣頭指揮を執っているように見える。日本では???
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実は1年前の3月1日から4日まで、ナイル川クルーズをした。
クルーズ船というのは基本的に閉じ込められた空間である。集団感染に弱い。
新型コロナの流行が一年前だったらと想像すると背筋が凍りそう。
1年前に乗船したソネスタ・スター・ゴッデスというクルーズ船の前で。
全室がバルコニー付きの広めのスイートルームであった。
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徐々に陽気が良くなる中、自宅待機が長期化すると我慢も限界に達してしまいそう。
とはいうもののそう簡単には沈静化しそうもない?
政治家のいうことは、オリンピックがらみもあり、額面通り受け取るわけにはいかない。
「完全な形」での大会というのは、首相がどう言おうと延期ということしかない。
欲求不満が募るばかり・・・