すこし前の裁判員制度適用の裁判で、被告に殺意があるかどうかが争われた事例があったのを記憶しています。
このタイトルだけであまりにも有名な、1951年の映画「陽のあたる場所」(原題:A Place in the Sun)の主人公は、どう裁かれるべきだったのでしょう。
以下、ネタバレあり。
貧しい母子家庭で育ったジョージ・イーストマンは、伯父のチャールズ・イーストマンの紹介で彼の経営する工場に再就職。
伯父の館で出会った美しい令嬢アンジェラに惹かれるが、高嶺の花。恋愛ご法度の職場にも関わらず、工場の社員アリスと愛し合うように。
だが、昇進の機会を得て、アンジェラとも惹かれあうようになると、アリスを疎ましく思いはじめる。アリスは妊娠し結婚を迫るが、出世のチャンスを逃したくないジョージは、何かと理由をつけて結婚を先延ばしし、その間にもアンジェラと逢引していた。
やがて、アリスとともに湖畔へ旅行に出かけたジョージは、彼女を溺死させてしまう。そして捕まったジョージに下されたのは、死刑判決だった…。
ボートの上で言い争いをしたものの、ジョージはアリスを突き落としたわけではない。けれど、直前まで計画的に殺意を持っていて、しかも心は他の女性に傾いていたのは事実。そして、自分だけ川に泳ぎ着いて、警察に届けもせず、平然とアンジェラと会っていた。このまま、うまく隠し通せていれば、まんまとアンジェラとは許嫁になれたのです。
ついでにいうと、このジョージは見た目からして貧しいという印象がまったくなく、遊び人ふう。なので、同情の余地もないです。一途に想ってくれる女性を妊娠させといて、責任逃れ。酷いですね。
刑執行の直前になって、アンジェラに永遠の愛を約束されたというのも、なんだか皮肉。このアンジェラも、なんだか社交界でちやほやされているだけの世間知らずのお嬢さんという気がします。
名作と誉れ高いのですが、この手の話は、今じゃ昼メロでたくさん観られますよね。
ただ、人間心理をドラマティックなBGMで表現したり、ワンカットの苦渋に満ちた表情で心情が表れたりと、往年の俳優の演技力に依るところ大きい作品であります。
監督は、ジョージ・スティーヴンス。
主演はジョージに、ジョン・ウェイン主演の「赤い河」で銀幕デヴューを飾った、モンゴメリー・クリフト。
アンジェラ役に、「雨の朝パリに死す」の名女優エリザベス・テイラー。アカデミー監督賞ふくむ六部門を制覇するなど当時評価された作品ですが、私にはどうあっても、テイラーの美しさだけで見応えがあったような映画でした。再視聴すれば印象が違ってくるかもしれませんが。
(〇九年八月二十二日)
陽のあたる場所(1951) - goo 映画
このタイトルだけであまりにも有名な、1951年の映画「陽のあたる場所」(原題:A Place in the Sun)の主人公は、どう裁かれるべきだったのでしょう。
以下、ネタバレあり。
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貧しい母子家庭で育ったジョージ・イーストマンは、伯父のチャールズ・イーストマンの紹介で彼の経営する工場に再就職。
伯父の館で出会った美しい令嬢アンジェラに惹かれるが、高嶺の花。恋愛ご法度の職場にも関わらず、工場の社員アリスと愛し合うように。
だが、昇進の機会を得て、アンジェラとも惹かれあうようになると、アリスを疎ましく思いはじめる。アリスは妊娠し結婚を迫るが、出世のチャンスを逃したくないジョージは、何かと理由をつけて結婚を先延ばしし、その間にもアンジェラと逢引していた。
やがて、アリスとともに湖畔へ旅行に出かけたジョージは、彼女を溺死させてしまう。そして捕まったジョージに下されたのは、死刑判決だった…。
ボートの上で言い争いをしたものの、ジョージはアリスを突き落としたわけではない。けれど、直前まで計画的に殺意を持っていて、しかも心は他の女性に傾いていたのは事実。そして、自分だけ川に泳ぎ着いて、警察に届けもせず、平然とアンジェラと会っていた。このまま、うまく隠し通せていれば、まんまとアンジェラとは許嫁になれたのです。
ついでにいうと、このジョージは見た目からして貧しいという印象がまったくなく、遊び人ふう。なので、同情の余地もないです。一途に想ってくれる女性を妊娠させといて、責任逃れ。酷いですね。
刑執行の直前になって、アンジェラに永遠の愛を約束されたというのも、なんだか皮肉。このアンジェラも、なんだか社交界でちやほやされているだけの世間知らずのお嬢さんという気がします。
名作と誉れ高いのですが、この手の話は、今じゃ昼メロでたくさん観られますよね。
ただ、人間心理をドラマティックなBGMで表現したり、ワンカットの苦渋に満ちた表情で心情が表れたりと、往年の俳優の演技力に依るところ大きい作品であります。
監督は、ジョージ・スティーヴンス。
主演はジョージに、ジョン・ウェイン主演の「赤い河」で銀幕デヴューを飾った、モンゴメリー・クリフト。
アンジェラ役に、「雨の朝パリに死す」の名女優エリザベス・テイラー。アカデミー監督賞ふくむ六部門を制覇するなど当時評価された作品ですが、私にはどうあっても、テイラーの美しさだけで見応えがあったような映画でした。再視聴すれば印象が違ってくるかもしれませんが。
(〇九年八月二十二日)
陽のあたる場所(1951) - goo 映画