2007年の映画「スルース」は、マイケル・ケイン演じる老境の推理小説家と、ジュード・ロウ扮するいわくつきの役者との丁々発止のやりとりが見ものなサイコースリラー。89分と短いのですが、ふしぎな趣きのある映画です、ただ観る人を選ぶ作風でしょうが。
ロンドン郊外の閑静な大邸宅に住まう売れっ子ミステリー作家のアンドリュー・ワイクをある若者が訪ねた。マイロ・ティンドルというイタリア系の名をもつその男は、ワイクの別居中の妻に不倫相手にして、下積みの長い俳優だという。妻との関係を清算しないというティンドルに、ワイクはある取り引きをもちかける。それは、自分が妻に贈った高価な宝石をこの邸内から盗み出して欲しいというものだった。
ティンドルが宝石を盗み出せば、巨額の保険金がワイクの懐に転がりこみ、いっぽうティンドルも宝石を売って愛人とともに不自由なく暮らすことができる。その計画に乗ってしまったティンドルですが、それは狡猾なワイクの奸計でした。邸内に侵入したところを射殺されてしまうティンドル。そして、数日後、ある青年の行方を追っていた刑事が上がり込んできます。
このあとの展開が怒濤のごとく押し寄せてきまして、わずかでも目を離すとわけが分からなくなることに。一人の女を巡っての二人の男の目には目を歯に歯をという応酬は、しだいにその女の存在そっちのけで、男の沽券を争うようなものになり、なぜか意気投合した二人はときに怪しい関係に近づこうとします。にしても、ジュード・ロウはひと癖もふた癖もある役どころをさせたら上手いですよね。物語は舞台劇のようにきわめて限られた室内で進行するのですが、その分、役者の存在感が大きくて濃密な演技が観られることでしょう。
監督は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」「ワイルド・ワイルド・ウエスト」のケネス・ブラナー。
もともとは『フレンジー』『ナイル殺人事件』などの脚本でも知られるアンソニー・シェーファーの戯曲。1972年にジョゼフ・L・マンキウィッツ監督により「探偵<スルース>」として映画化され、その主演はかのローレンス・オリヴィエ(「嵐が丘」や「レベッカ」に出演)とマイケル・ケイン。つまり旧作では青年役だったケインが、今度は逆に主人公の老人になっているわけですね。
(2011年4月15日)
スルース - goo 映画
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ティンドルが宝石を盗み出せば、巨額の保険金がワイクの懐に転がりこみ、いっぽうティンドルも宝石を売って愛人とともに不自由なく暮らすことができる。その計画に乗ってしまったティンドルですが、それは狡猾なワイクの奸計でした。邸内に侵入したところを射殺されてしまうティンドル。そして、数日後、ある青年の行方を追っていた刑事が上がり込んできます。
このあとの展開が怒濤のごとく押し寄せてきまして、わずかでも目を離すとわけが分からなくなることに。一人の女を巡っての二人の男の目には目を歯に歯をという応酬は、しだいにその女の存在そっちのけで、男の沽券を争うようなものになり、なぜか意気投合した二人はときに怪しい関係に近づこうとします。にしても、ジュード・ロウはひと癖もふた癖もある役どころをさせたら上手いですよね。物語は舞台劇のようにきわめて限られた室内で進行するのですが、その分、役者の存在感が大きくて濃密な演技が観られることでしょう。
監督は「ハリー・ポッターと秘密の部屋」「ワイルド・ワイルド・ウエスト」のケネス・ブラナー。
もともとは『フレンジー』『ナイル殺人事件』などの脚本でも知られるアンソニー・シェーファーの戯曲。1972年にジョゼフ・L・マンキウィッツ監督により「探偵<スルース>」として映画化され、その主演はかのローレンス・オリヴィエ(「嵐が丘」や「レベッカ」に出演)とマイケル・ケイン。つまり旧作では青年役だったケインが、今度は逆に主人公の老人になっているわけですね。
(2011年4月15日)
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