さて、何度も言いますが、この街・ラファイエットでは、特にすることがありません。
泊まりたいモーテルもなかったので、モーテル6ですし、食べたい店もない。
テキトーに何か食べたら、ちょっと走って戻って、またカジノで遊ぼうかな、ぐらいの気分でしたが、晩ご飯の前に。
唯一、この街で少し注目していたのが、アイスクリーム屋さんなのです。
アメリカでは、時々おしゃれなアイスクリーム屋さんというのが出てきて、ワタクシの行く手を阻むのですね。
この時もバッチリ行く手を阻まれまして、じゃあ、まぁ、晩ご飯の前に軽くアイスでもやっつけて来るかな、と軽い気持ちで出かけたのでした。
そう、この時は、まったく気づいてませんでしたよね。
このラファイエットが、忘れられない街になるなんてことには・・・。
問題の物件はコチラの、
「ボーデンズ・アイスクリーム」です!
うむ。なかなかおしゃれだ。
「ボーデンだったらうまくいく!」って感じのキャッチフレーズ。
アイスだけじゃなくて、軽食も食べられるみたいですね。
気軽に入ってみます。
飲食店は、席に案内してくれるタイプと好きな席に座っていいタイプがあって、いつもどちらだか判断がつきにくいのです。
今回の旅では、ワタクシは店に入るなり、
「Anywhere ?(どこでもいい? と言ってるつもり)」
と言って来ました。
それで、だいたいは「どこでもどうぞ」となってました。
日本人がカタコトで言うのがおもしろいのか、時々は軽くウケたりしました。
ここでもそれをやったのですが、店員のイケメンは、
店「何言ってんだか、わかんねーな。メニューはこれだぜ」
みたいな態度。
傷つきながらカウンターへ向かって、バターピーカンのアイスを注文しました。
店「観光か? どこから?」
ワ「東京」
店「ジャパニーズか。ちょっと待っててくれ」
なんだなんだ、と思ってると、店の奥から若い店員さんが出てきて、
店「カチです。はじめまして。日本語を勉強しています」
と、流暢な日本語で! ビックリ!
すかさずワタクシも、
ワ「カツです。名前似てますね!」
と本名からのニックネームを。
今までアメリカの人に呼んでもらいたいニックネームが定まってなかったのですが、この時、正式に「カツ」に決まりました!
これもカチさんのおかげ!
で、
ワ「日本語で話ができるとは思わなかった!」
というわけで、全編完全に日本語で、ひたすらいろんなことをしゃべりました。
最初こそ、カチさんを気遣って、なるべく簡単な言葉でしゃべるように心がけましたが、カチさんがあまりにペラペラなので、途中からは完全に日本人の友達としゃべるのと同じになりました!
すごいな、カチさん!
カ「『フリートパイ』を食べませんか? ルイジアナの、有名な、健康じゃない食べ物」
ワ「食べます!」
「健康じゃない」ってのが、イイ感じですね! つまり「ジャンクフード」ってこと?
フリートは、ガソリンスタンドのコンビニでよく売ってるポテチの一種だったように思います。
それにチリとチーズをかけたもの。
コーヒーと一緒に、カチさんにご馳走になってしまいました!
ワ「これは野球場で食べるものみたい! MLB見たよ!」
カ「私は日本でジャイアンツのゲームを見ました。日本の、みんなで応援するのの方が楽しいです」
うはは。ワタクシみたいにMLBに憧れる日本人は、よく「みんなで楽器鳴らしたりして応援するのじゃなくて、本場ではもっと自由に応援してる」とか言ったりしますが、逆の立場から見れば日本のスタイルの方がいいなと思えたりするわけです。
やっぱり、いつだって隣の芝は青いのですね。
カ「東京にも行きましたけど、失礼しますけど、東京はあまり好きじゃなかった。どこも人多すぎ。山とかが好き。田舎行きたい」
ワ「私は実家がナラの田舎ですよ」
カ「おー、ナラ! 行った! シカいました!」
ワ「あー、シカ(笑)」
カ「赤い、2本、何だっけ・・・?」
ワ「三輪鳥居? ミワ神社?」
カ「ミワ! そこのシカの方が好き!」
ワ「あ! ミヤジマか。広島にも行ったの!」
カ「ミワジマ! そこのシカがやさしくて」
ワ「ナラのシカは怖いもんね(笑)」
時々、お互いの言ったことの意味を推理したり、どう表現しようか迷ったり。
カチさんは、スマホの「日本語」というアプリを駆使してましたが、これが無料なのにかなり優秀なようです。
ワ「漢字は書けますか?」
カ「書けないけど、これ(スマホ)で!」
ワ「なるほど!」
勉強も変わったもんですねえ。
ワ「カチさんは、どうして日本語を勉強しようと思ったの?」
カ「むずかしい! 日本の言葉が好き。文法とか。文化も好き」
カチさんが「いちばん好きで大事な本」と見せてくれた日本語の文法書は、日本人にとってもかなり難しい例文がビッシリで、すごい内容のものでした。
カ「いつかは日本に行こうと思って、それなら日本語勉強しなきゃと思った。
アメリカ人はよく日本行って『なんで英語できないの?』って言ってるけど、そういうアメリカ人キライ。むかつく。あー、(スマホ操作)シッケイ」
ワ「すごい! でも、カチさんはもう、全然失礼じゃないです! 日本語すごく上手!」
むしろ、何度もアメリカ来ておいて、未だに英語がじぇんじぇんできないワタクシが失礼ですよね・・・。
カ「カツさんも、何度もアメリカ来てるんだから、英語、自信持って!」
うひゃあ、その通りです、カチさん・・・。どうもすみません・・・。
結局、お店が閉まる午後10時まで、ずーっと話し込んで(つまりカチさんの仕事を邪魔し続けて)しまいました。
最後には、
カ「日本人に会ったら、これをあげてます」
って、お店のロゴTシャツをもらっちゃいました!
こ、このTシャツは、大事にするぞ・・・。
最初は、いけ好かないのかと思っていたイケメンの店員さんも、ずっとワタクシとカチさんを好きにやらせてくれて、そのやさしさに、ワタクシは心の中で詫びたのでした。
カチさんとイケメン店員さんに「ありがとう!」と言って、お店を出ましたら、なんだかボロボロと涙が出てしまいました。
これは、何の涙だと言うと、なかなかに難しいのでして、まずはやはりカチさんのすばらしさに感動したことがあるでしょう。
そして、この旅で初めて人とまともに会話をしたといううれしさ。
しかし、一方、独学で日本語を習得しているカチさんに対して、未だに英語が全然しゃべれない自分の情けなさ、という大きな要素がありますね。
偉そうに「アメリカ一人旅だ!」なんて言いながら、実のところは、アメリカで出会う人々の親切に助けられて何とか旅をしている、そういうことに改めて気づかされた、ということも。
プラスもマイナスも、いろんな要素があるわけですが、トータルでやはり大きく心が動かされた、そういう複雑さを持った涙ということになるのでしょう。
結局、訪れる前は全く何も期待していなかったラファイエットの街は、ワタクシにとって、ある意味この旅でいちばん忘れられない想いを残す街になったのでした。
別れ際に、ワタクシのタブレットで「カチ&カツ」の写真を撮りました。
二人ともなかなかいい笑顔で映ってる写真が出来ましたが、これはワタクシに初めてアメリカンの友達ができたというプライベートな記念の写真ですので、ここには載せないことにします。
みなさんも、どうかルイジアナ州ラファイエットを訪ねることがありましたら「ボーデンズ・アイスクリーム」に行って、日本人の友達カチさんに会ってみてください!
<つづく>
泊まりたいモーテルもなかったので、モーテル6ですし、食べたい店もない。
テキトーに何か食べたら、ちょっと走って戻って、またカジノで遊ぼうかな、ぐらいの気分でしたが、晩ご飯の前に。
唯一、この街で少し注目していたのが、アイスクリーム屋さんなのです。
アメリカでは、時々おしゃれなアイスクリーム屋さんというのが出てきて、ワタクシの行く手を阻むのですね。
この時もバッチリ行く手を阻まれまして、じゃあ、まぁ、晩ご飯の前に軽くアイスでもやっつけて来るかな、と軽い気持ちで出かけたのでした。
そう、この時は、まったく気づいてませんでしたよね。
このラファイエットが、忘れられない街になるなんてことには・・・。
問題の物件はコチラの、
「ボーデンズ・アイスクリーム」です!
うむ。なかなかおしゃれだ。
「ボーデンだったらうまくいく!」って感じのキャッチフレーズ。
アイスだけじゃなくて、軽食も食べられるみたいですね。
気軽に入ってみます。
飲食店は、席に案内してくれるタイプと好きな席に座っていいタイプがあって、いつもどちらだか判断がつきにくいのです。
今回の旅では、ワタクシは店に入るなり、
「Anywhere ?(どこでもいい? と言ってるつもり)」
と言って来ました。
それで、だいたいは「どこでもどうぞ」となってました。
日本人がカタコトで言うのがおもしろいのか、時々は軽くウケたりしました。
ここでもそれをやったのですが、店員のイケメンは、
店「何言ってんだか、わかんねーな。メニューはこれだぜ」
みたいな態度。
傷つきながらカウンターへ向かって、バターピーカンのアイスを注文しました。
店「観光か? どこから?」
ワ「東京」
店「ジャパニーズか。ちょっと待っててくれ」
なんだなんだ、と思ってると、店の奥から若い店員さんが出てきて、
店「カチです。はじめまして。日本語を勉強しています」
と、流暢な日本語で! ビックリ!
すかさずワタクシも、
ワ「カツです。名前似てますね!」
と本名からのニックネームを。
今までアメリカの人に呼んでもらいたいニックネームが定まってなかったのですが、この時、正式に「カツ」に決まりました!
これもカチさんのおかげ!
で、
ワ「日本語で話ができるとは思わなかった!」
というわけで、全編完全に日本語で、ひたすらいろんなことをしゃべりました。
最初こそ、カチさんを気遣って、なるべく簡単な言葉でしゃべるように心がけましたが、カチさんがあまりにペラペラなので、途中からは完全に日本人の友達としゃべるのと同じになりました!
すごいな、カチさん!
カ「『フリートパイ』を食べませんか? ルイジアナの、有名な、健康じゃない食べ物」
ワ「食べます!」
「健康じゃない」ってのが、イイ感じですね! つまり「ジャンクフード」ってこと?
フリートは、ガソリンスタンドのコンビニでよく売ってるポテチの一種だったように思います。
それにチリとチーズをかけたもの。
コーヒーと一緒に、カチさんにご馳走になってしまいました!
ワ「これは野球場で食べるものみたい! MLB見たよ!」
カ「私は日本でジャイアンツのゲームを見ました。日本の、みんなで応援するのの方が楽しいです」
うはは。ワタクシみたいにMLBに憧れる日本人は、よく「みんなで楽器鳴らしたりして応援するのじゃなくて、本場ではもっと自由に応援してる」とか言ったりしますが、逆の立場から見れば日本のスタイルの方がいいなと思えたりするわけです。
やっぱり、いつだって隣の芝は青いのですね。
カ「東京にも行きましたけど、失礼しますけど、東京はあまり好きじゃなかった。どこも人多すぎ。山とかが好き。田舎行きたい」
ワ「私は実家がナラの田舎ですよ」
カ「おー、ナラ! 行った! シカいました!」
ワ「あー、シカ(笑)」
カ「赤い、2本、何だっけ・・・?」
ワ「三輪鳥居? ミワ神社?」
カ「ミワ! そこのシカの方が好き!」
ワ「あ! ミヤジマか。広島にも行ったの!」
カ「ミワジマ! そこのシカがやさしくて」
ワ「ナラのシカは怖いもんね(笑)」
時々、お互いの言ったことの意味を推理したり、どう表現しようか迷ったり。
カチさんは、スマホの「日本語」というアプリを駆使してましたが、これが無料なのにかなり優秀なようです。
ワ「漢字は書けますか?」
カ「書けないけど、これ(スマホ)で!」
ワ「なるほど!」
勉強も変わったもんですねえ。
ワ「カチさんは、どうして日本語を勉強しようと思ったの?」
カ「むずかしい! 日本の言葉が好き。文法とか。文化も好き」
カチさんが「いちばん好きで大事な本」と見せてくれた日本語の文法書は、日本人にとってもかなり難しい例文がビッシリで、すごい内容のものでした。
カ「いつかは日本に行こうと思って、それなら日本語勉強しなきゃと思った。
アメリカ人はよく日本行って『なんで英語できないの?』って言ってるけど、そういうアメリカ人キライ。むかつく。あー、(スマホ操作)シッケイ」
ワ「すごい! でも、カチさんはもう、全然失礼じゃないです! 日本語すごく上手!」
むしろ、何度もアメリカ来ておいて、未だに英語がじぇんじぇんできないワタクシが失礼ですよね・・・。
カ「カツさんも、何度もアメリカ来てるんだから、英語、自信持って!」
うひゃあ、その通りです、カチさん・・・。どうもすみません・・・。
結局、お店が閉まる午後10時まで、ずーっと話し込んで(つまりカチさんの仕事を邪魔し続けて)しまいました。
最後には、
カ「日本人に会ったら、これをあげてます」
って、お店のロゴTシャツをもらっちゃいました!
こ、このTシャツは、大事にするぞ・・・。
最初は、いけ好かないのかと思っていたイケメンの店員さんも、ずっとワタクシとカチさんを好きにやらせてくれて、そのやさしさに、ワタクシは心の中で詫びたのでした。
カチさんとイケメン店員さんに「ありがとう!」と言って、お店を出ましたら、なんだかボロボロと涙が出てしまいました。
これは、何の涙だと言うと、なかなかに難しいのでして、まずはやはりカチさんのすばらしさに感動したことがあるでしょう。
そして、この旅で初めて人とまともに会話をしたといううれしさ。
しかし、一方、独学で日本語を習得しているカチさんに対して、未だに英語が全然しゃべれない自分の情けなさ、という大きな要素がありますね。
偉そうに「アメリカ一人旅だ!」なんて言いながら、実のところは、アメリカで出会う人々の親切に助けられて何とか旅をしている、そういうことに改めて気づかされた、ということも。
プラスもマイナスも、いろんな要素があるわけですが、トータルでやはり大きく心が動かされた、そういう複雑さを持った涙ということになるのでしょう。
結局、訪れる前は全く何も期待していなかったラファイエットの街は、ワタクシにとって、ある意味この旅でいちばん忘れられない想いを残す街になったのでした。
別れ際に、ワタクシのタブレットで「カチ&カツ」の写真を撮りました。
二人ともなかなかいい笑顔で映ってる写真が出来ましたが、これはワタクシに初めてアメリカンの友達ができたというプライベートな記念の写真ですので、ここには載せないことにします。
みなさんも、どうかルイジアナ州ラファイエットを訪ねることがありましたら「ボーデンズ・アイスクリーム」に行って、日本人の友達カチさんに会ってみてください!
<つづく>