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頭の整理:肖像画(オートフィクション)

この肖像画というタイトル自体は、平田オリザさんが書かれた「幕が上がる」(本広克行監督ももクロ主演で映画化もされてます)の中で、校内公演の題材として顧問の先生が紹介したものです。これは、自分について役者自身が語る一人芝居なのですが、全てが本当ではなく、映画でも(多分小説でも?)「フィクションの力」というものを使います。

シニア劇団でコロナ禍、一人芝居しか選択肢がないと思い紹介して、作りかけましたが結局流れてしまいました。実際、自分とかけ離れた役をやりたい、と演劇を目指す方には、その効用や面白さが分からずじまいだったのでは、と少し残念です。それでこの場を借りて整理してみたいな、と。

そもそもこの手法の元が高校生であるように、演じるというハードルを下げ、演じやすくする、というメリットがあります。様々な役を演じるには人生経験がプラスになっていきますが、自分が経験したことを基にすれば、リアリティという面では強い。
そして、()内にオートフィクションと書いているように文学で用いられる作者と語り手が同一である物語で、どこまでもフィクションではあるけれど、その語り手は本当に存在する、という方式として僕は捉えていました。フィクションを語る上でリアリティを担保するやり方です。

ちなみにこの方式を取っていた「ぐるぐる」で登場人物について稽古場で話すときは、『氏田さん』ではなく『俳優』と呼んでいました。
「この俳優は・・・こう思っている」みたいな感じです。つまり、架空の登場人物として僕らも作っている訳です。

事実をそのまま舞台上にあげたところで現実以上のものにはなりませんし、もし見られるなら理想の〇〇が僕は観たいなと思います。
なかなか思うようにいかない人生の中で、現実以上の困難であっても、本当にそうだったとしたらそう行動するのは一筋縄ではいかないようなことであっても、それを実現するようなフィクションをこそ観たいなと思うのです。

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