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V:vector

たまに出てくる数学用語の回です。演出している時には、音楽用語が結構出てきます。「そこ最後はリタルダンドで」とか「アッチェルランドに始まって」とか言います。

さて、これはベクトルです。これは習ってない人も多数いるかな。
空間における大きさと向きを持った量のことで→と数字で表されます。これが転じて方向性や矛先などの意味になったりします。

この、ベクトルが違うなあ、ということを生徒たちの稽古場を見ていると思います。

よくあるのが、「私がこう動きたいので、あなたはこう動いて」というもの。それは打ち合わせたダンスであって、そこに真実はないし、芝居ではない。相手に動いて貰いたい動きがあるなら、自分の演技でそれを引き出さないといけない。

しかも、何かの動きをすることが目的なのではなく、あるシーンを成立させること、もっと言うなら、自分の行動でもって、相手の心を何らか動かすことが目的のはず。

だから誰に向けて、どのような結果を目論むものなのかに合わせて強くしたり弱くしたり、まさにベクトルの考え方でないといけないし、冒頭の例でいくと方向が間違っています。自分に向くべき矛先が相手に向かってしまっている。

相手の動きを完全にコントロールすることはとても難しいことです。自分の動きを制御する方がまだ随分ましでしょう。

また、初心者にありがちだけれど、被るとか前に出てきてとか言われると、そこだけが目的になってしまう。

これもベクトルが違う。そもそもなぜ被るといけないのか、前に出た方がいいのか。それは全てお客さんに面白いお芝居を見せるためのはず。

その、お客さんのために、というベクトルを忘れてしまうと、全くつまらん芝居になってしまいます。


しかし、この演劇を教えるという仕事は「生徒のために」というベクトルであり、その量が一番大きいはず。

どのタイミングでどのようにこれを伝えるか、非常に悩むところです。
たくさん口も出したくなるし。
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