S(氏田敦) 今回、ハーフ※2006、2016以来、作と演出両方やってるけど、自分なりに分けて考えようとしているよね。
その是非というか、松浦君としては両方やる方がいいとか、やりにくいとか、あるのかな。
松浦(以下M) えっと・・・、分けて考えてるのって少し変なんですかね?
確かに自分はずっと、キャリアの初期から、戯曲がまずあって、それをどう料理していくのかを楽しんできたし、同世代の演出家よりも多様な国内外の戯曲に取り組んだなって言う自負はあります。
だからこそというか、自分のは大した事ないって思ってすぐに書き換えちゃう癖はあるかな。そして、よく原典にあたる。氏田さんの入院メモでどう書いていたか。チェーホフの元ネタでどんなふうに書かれているのか。
S 野田秀樹さんは、出演までやっちゃうもんね。
M 確かに。あそこまでなると一体化している気がする。「出演しながらダメだしされた」って『農業少女』のパンフで松尾スズキさんが書いてました。
S やっぱり。そこまでいくとどうかな。
M やっぱり僕の場合は、分けて考えちゃうのかも。というか分けて考えたいというか。
以前、平田オリザさんの「思い出せない夢のいくつか」をやらせてもらった時に、ではけ口が指定されていて、上手から出たのに下手から出てくる(電車なのに)みたいな「あれ?」って現場でなったんだけど、平田さんの事だしミスではなくて意図だろう、とそのままやったことがあって。
後日、直接聞く機会があったので聞いたら、やっぱり意図だったとのことだったので、何というか、僕自身にも自明でない意図がある場合もあると思うから、別人に可能な限りなって、演出家としての今までの経験を注ぎ込みたいところもあるし。
S 演出としては戯曲通りにやりたいってこと?
M ちゃんと劇作家として扱ってあげたい、というか、扱わないと演出家としてブレてしまうというか。
S 聞いた話だけど、藤山寛美さんが去るはずのところを去らない。なんとか去らせようと数分間アドリブがあったらしいです。
困ったら余計にやるって言う感じかな。役者同士でその場を次へと繋げていく。
M 今回は氏田さん、原作者でもあるので、アドリブでしゃべってもちろんいいですよ。ただ「入院メモ」のなかで、とても“いいセリフ”がたくさんあるから、それは言ってほしいですけどね。
S 「ああ、私は本当に何一つ覚えていたくない。」
M 後編の桜守篇で出てくるニューヒンのセリフですね。
S 『タバコの害について』のように、全然別のことをずーっと話し続けているかも。
M そうなったら一番僕(クスキユウ)が書いた戯曲通りになっている気がします。
YOU-PROJECT第22回公演
ソリテュード<孤独>一人芝居シリーズ
『ぐるぐる―countless traces—』さくらの森編
作:クスキユウ (氏田敦『入院メモ』より)
演出:松浦友 出演:氏田敦(劇団冬芽舎)
2022年9月18日(日)15:30 開演
19日(月・祝)14:30開演
(開場は20分前、上演予定時間40分)
<会場>枚方市立楠葉生涯学習市民センター2階大集会室
〒573-1118 大阪府枚方市楠葉並木2丁目29-5
<料金>一般前売2000円、当日2500円
大学生1500円、中高生500円
小学生以下、無料(保護者同伴が必要)
劇団応援チケット5000円
※ 劇団応援チケットとは、一般料金との差額で劇団を支援するチケットです。
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カンフェティ 0120−240−540(受付:平日10時−18時)
<予約・問い合わせ>
solitude@you-project.com
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