Re-Set by yoshioka ko

■徐々にベールを脱いでいく話⑧

9月24日(金) 乗船2日目。晴れ時々曇り

 乗船2日目。朝7時半、朝食。目玉焼き2個とベーコン。トマトの輪切りが2枚。トーストにヨーグルトがついた。
 
 出港からまだ11時間。多少船酔い気味か。しかし食欲があるところからすれば、それも酷いものでは決してない。スタッフのみんなも元気そうだ。

 ケープタウンから南大西洋に向かっているわが「バルチック・トレーダー号」を除いて、他の船影をひとつもなし。見渡す限りが水平線だ。



 11時半。昼食。豆のスープにビーフと焼きめし風ご飯。

 14時からは、航海中の安全に関する説明会があった。2等航海士がわれわれのような民間人乗船者に、ライフジャケットの付け方などを実演する。10分ほどの説明会だったが、船にはわれわれ5人の他に、73歳と68歳だという南アからの牧師さん夫妻、66歳のアマチュア無線を趣味にしているドイツ人、それに30代の植物の生息調査をしているというカップルの5人、合わせて10人。全員が初めての長期間航海だ。

 夕方、5時から夕食。茹でた豆と蒸したイモ、茹でたトマトとビーフ。それに昼と同じ豆のスープ。デザートはバナナの入ったヨーグルト。果物はリンゴ、オレンジが出た。それなりに豪華なものだ。

 昼食後、牧師の奥さんに話を聞いた。こんな長旅がもちろん初めてで、夫は船酔いで休んでいるといいながら、夫人はベッドカバーを編んでいる。太い毛糸の一本一本を編み棒に通しながら織っていく細かい作業を見ながら、よく船酔いしないものだ、と感心する。

 夕刻からうねりが出てきた。揺れが大きい。

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