Re-Set by yoshioka ko

■やり遂げる、ということ

 タイのバンコク発12時05分のTG509便は、予定通りスワンナプーム国際空港を飛び立った。目的地はパキスタンのイスラマバード。去年12月27日、イスラマバードの南にある町、ラワルピンディで暗殺されたブット元首相の事件からおよそ1ヶ月半。再びパキスタンに向かう。

 暗殺事件で2月18日に延期となっていた国民議会・州議会選挙をきっかけにしながら、2001年の「911」以降7年余の間に、パキスタンに台頭し始めたといわれているある種の現象をこの目で見てみたいと思っているからだ。

 ブット元首相暗殺は、確かにパキスタン人民党(PPP)の議席伸張に繋がるだろう。前回(2002年)65議席を確保したPPPだが、今回の選挙では過半数の136議席を超えるかも知れない。もし過半数に満たなかったとしても、国会では反ムシャラフで固まる野党連合が形成されるかも知れない。まさにブット暗殺事件がもたらす結果だ。

 逆に議席を大幅に減らすのは政権与党のPML-Q。しかし、もうひとつ、ひょっとすれば議席を減らさないですむ政党もある。足並みの乱れはあるものの、ブット暗殺事件に左右されないで、その勢いを持続する可能性がある。それこそが、パキスタンが抱えるもうひとつの不安定さを象徴する。彼らが何を思っているのか、地べたを這うような取材で明らかにしたいと思っている。

 やり遂げる、ということは、もうひとつ先を読むということでもある。
 

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