クリスチャンって最高だ!より
滝元順さん著
《ヨブという男の人生から学ぶ》 その1
さて、聖書には、多くの人物が登場しますが、その中でも、身の毛がよだつほどの試練を体験した男がいます。その男の名を「ヨブ」といいます。もしも彼が現代に生きていて、直接彼から試練の体験談を聞くことができるなら、ほとんどの人が「自分はまだましだ!」と感じることでしょう。では、この男の人生をのぞいてみましょう。
試練に会う前のヨブは、その地方で最も富んだ成功者でした。聖書は次のように記録しています。
・ヨブ記1:2-3
彼に七人の息子と三人の娘が生まれた。
彼は羊七千匹、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを所有していた。この人は東の人々の中で一番の有力者であった。
しかし、ある日、彼は持っていた財産のすべてと、七人の息子、三人の娘を一日のうちに失ったのです。なんという悲劇でしょうか。
人生で最も悲しい出来事は、「我が子を失う」ことであるといわれます。
私の両親は八人の子どもをもうけましたが、そのうちの一人を急病で失いました。そのとき私は小学生でしたが、学校から帰ると、生まれて三カ月の幼い妹が冷たくなっていました。妹の亡くなる前の晩、私は子守をして妹と一緒に遊んでいたのを記憶しています。まさか翌日その妹が死ぬなんて、考えもしませんでした。しかし伝染病で、あっと言う間に死んでしまったのです。昨晩までは、呼びかけると、けらけらと声を出して笑うかわいい妹でした。しかし、もういくら呼びかけても返事をしない妹を目の前にして、呆然としたことを今でも良く覚えています。それはどこにも持っていくことのできない、今までに経験したことのない種類の大きな悲しみでした。私も悲しかったですが、それよりも両親の悲しんでいる姿は、今でも忘れることができません。八人中一人を失ってもあれだけ悲しかったとすれば、十人の子どもを一瞬にして失ったヨブの心境はいかばかりであったのか、推し量ることはできません。
(続く)