ヘッドガスケット変形とオイル消費量増加 *1
プリウスDAA-20 に搭載されている走行距離15万km超え*1のエンジン内の
ヘッドガスケットが変形し、燃焼状態の悪化を促進している。
→写真1、図1
ライナー厚みに対して侵入していた燃焼ガス跡 →写真2*1
ピストンリング合口が180度ではなく、燃焼ガス吹き抜けを誘発している。
→最も状態が悪い気筒 写真3
観察からの推測
a.ヘッドガスケットの変形
1.エンジンブロック、ヘッドガスケット、シリンダーヘッドが熱膨張し、見かけ上
ヘッドボルトの軸力が増加する。
2.これによりガスケット、ライナーがヘッドボルト方向へ引っ張られるように変形する。
3.エンジンが停止し各部温度が低下するが、ライナーが一番早く下がり縮小する。
4.しかし、ガスケットはライナーの縮小には追従しきれずおいてけぼりにされる。
a1~a4を数百~数千回繰り返され、写真1の状態となった。
b.エンジンオイルの消費量増加
1.a2状態でピストンが上下すると、ピストンリングとライナーの接触圧が不均一
となり低い部分からも高温の燃焼ガスが漏れる。→写真3
2.ライナーに保持されているエンジンオイルがこれに曝され一部スラッジ化する。
3.これがオイルリングに蓄積され徐々に機能を果たせなくなっていく。
4.さらに蓄積量が増加するとピストンの下降によりオイルを掻き落とせない状態
となる。→写真4*1
感想
a1状態での軸力を測定し、この値でダミーヘッドを取り付けブロックを暖めておき
ボーリングしていれば、ピストンリングの接触圧不均一が軽減されて、ある程度は延命
されていたかもしれない。
メーカー保証期間を経過しているので寿命設計の結果なのか検討不足なのかは不明。
私の中では6:4で構造不良が勝っている。
それは、クローズデッキ構造であれば発生しなかった不具合だと考えている。
対処療法としてはシリンダブロックやへッドガスケット、根本的には構造を変えないと・・。
故に、このエンジンを搭載した車輌で、オイル消費量増加と気筒の燃焼状態悪化の不具合解消の
為にエンジンを補修することはムダかと。
オイル消費量増加、NO 気筒*1の燃焼状態悪化の判断材料は*1に掲載予定。
次回更新は年明けてからを予定。
*1 増刊号