民法 第一章 通則(基本原則)第一条 第三項
権利の濫用は、これを許さない。
おそろしく多くの条文がある民法の最初の第一条にこの文言があります。
民法は私法の基本となる法律、人と人との間の権利義務関係を規律する法であり、なんと1044条まであるのです。
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本日は秋晴れのお出かけ日和、そろそろ紅葉が見たくなったので、富山県の宇奈月まで行ってきました。
宇奈月といえばトロッコ電車ですが、オンライン予約状況を見るとすでに満席、残念、

当日券があるかもしれないと一応の期待をしての出発であります。

朝マックを食べながら、北陸自動車道を東へ、富山県黒部市に向かいます。
それにしてもリニューアル工事の多いこと、渋滞渋滞また渋滞で苦労しました。

ようやく黒部ICを降りて、
宇奈月方面に向かっていると、何気ない公園にあるものが目に入ったので思わず折り返しました。
なんとトロッコ電車が置いてあります。

さすがトロッコ推しの町です。
それにしてものどかな風景です。
昨日会社から帰宅後、翌日宇奈月に行くことは決めていたので、例のごとくグーグルマップでそのあたりをガン見していたら、

「宇奈月温泉木管事件碑」という場所があったのでクリックして説明を読む、
「法学部生なら必ず聞いたことがある場所」
「法律を学ぶものならここは聖地」と書いてあります。
なんだこれはとYouTubeでさらに調べてみると、なるほど山奥のこの場所あたりに日本の法律にとっても重要な場所があって、まさにここが民法の聖地だということがわかったのです。
それが「宇奈月温泉事件」で宇奈月温泉木管事件ともいいます。
では、ウィキより長めの解説を・・・

宇奈月温泉では7.5km先にある黒薙温泉から地下に埋設させた木製の引湯管を使いお湯を引いていた。この引湯管は当時の価格で30万円を費やし埋没させる土地の利用権を有償ないし無償で獲得して完成させたものである。しかし、この引湯管は途中で利用権を得ていない2坪分の土地を経由してしまっていた。この土地は非常に難しい急傾斜地にあり土地としての利用価値はほとんどなかった。だがこの土地をXが購入して、不法占拠を理由に、引湯管を所有していた黒部鉄道に対して引湯管を撤去するか、さもなければ2坪の土地を含めた計3,000坪を超高額な金額で買い取るよう求めた。

(悪い奴)黒部鉄道がこれに応じなかったため、Xは、黒部鉄道に対して妨害排除請求として引湯管の撤去等を求めて提訴したのである。
第1・2審はXの請求を退けたため、Xは大審院に上告した。
大審院は、「権利ノ濫用」という文言を判決文中で初めて用い、Xの請求(所有権の行使)は権利の濫用にあたるため認められない、として請求を棄却した。
すなわち、利用価値のない本件土地は原告(X)にとってなんら利益をもたらさないのに対し、請求を認めて引湯管を撤去すれば、宇奈月温泉と住民に致命的な損害を与えることになる。このような結果をもたらす所有権の行使に基づく請求は所有権の目的に反するものであり、権利の濫用であって権利行使が認められない、とした。
これぞ正義の勝利である。
絵を描いてみるとこんなイメージ。

まったく、ずる賢い人って昔からいたんですね。
当時は民法の条文に権利濫用についての定めはなかったので、権利濫用について初めて裁判所(当時は大審院)は判決を下したということになり、重要な判例となっています。
民法の勉強を始めれば、一番最初に出てくる判例になるので多くの人が知っている。
昔オイラも資格の勉強で法律関連のところで権利の濫用とか宇奈月温泉事件とか書いてあったのを思い出しました。
なるほどこういうことかと今回ぜひ訪れてみたかったのです。

相当山奥まで来ましたよ、ダムが見えます。
さらに進むと、ありました。

少し変わった文字ですが「宇奈月温泉木簡事件碑」と刻んであります。
フムフム

エヘン学習済みです。
この斜面あたりに木簡が埋設されていたのかな・・・、
実はここで、ハプニングが起こります。

オイラは碑の周辺にかっての引湯管の痕跡でもないかとキョロキョロと探していました。(怪しい動き・・・

)
すると車で待機していたカミさんのところに何やら男女の外国人が話しかけてるではないか、




慌てて戻ると、
外国人(おそらく台湾の人)が「ヘルプ」、「ステーション」などと言っているので、
どうやら宇奈月温泉の駅まで連れていってほしいということらしい、
温泉街から散策してここまで来たが、帰りの電車時間に間に合わないと困ってるようでした。
可哀そうだったので車に乗せて温泉街まで送ってあげたのです。
大変感謝して降りる際に三千円出してきたので、「ノーノー」


と断ったが、どうしてもというので受け取りました。
温泉街まで来たが再度ダム方面に向かいます。

うなづき湖(ダム湖)
少し進むと対岸に新柳河原発電所の建物が見えました。ヨーロッパの中世の城のようです。
ちょうどトロッコ電車もやってきました、ナイス
さらに進んで最奥の駐車場まで来ました。
青い空、山の紅葉、エメラルドグリーンの湖と絶景の風景であります。

ブラボー

(思わず叫びそうになる)
しばらくしてから引き返します。
宇奈月ダムへ、
行ってみましょう。
ダムの上(天端)を歩きます。
いいね、
なんじゃこりゃ
すげー
11月とは思えない高温の日ですが、ここは気持ちいい風が吹いています。
宇奈月ダム 情報資料館 大夢来館
電力関連施設というのは大抵無料です。
あっ木管! こんなのでお湯を運んでいたんだね。
しかし、館内外のカメムシ大量発生に、カミさんはほとほとまいっていましたね。

女子は虫が苦手です・・・

宇奈月ダム展望台駐車場に車を停めて歩きます。

トンネル?
トロッコが通る鉄橋の新山彦橋(しんやまびこばし)といいます。
こちらは人が渡る旧山彦橋(かっての鉄道峡)、ここを渡って宇奈月温泉街に向かいます。
トロッコ電車が戻ってきましたね。



黒部峡谷鉄道 宇奈月駅。
ちょうど電車が出発します。「いってらっしゃ~い」
ちなみにトロッコ電車の当日券の状況を確認したところ、帰りの到着が最終の18時になるというのであきらめました。
18時ではもう真っ暗だからね。
黒部川電気記念館に入ります。当然無料っす。

入口でチューリップの球根を配っていたので有難く頂戴しました。
トロッコには乗れなかったけど、こちらのこれ、画像が実際と同じなのでこれで十分だわ!
温泉街の方へ
おっ足湯ならぬ手湯です。


チャプチャプ
こちらは富山地方鉄道 宇奈月温泉駅です。
マップを見ながら散策します。
開湯100周年とは、おめでとうございます。
栄枯盛衰ですね。
かわいいバスが通りま~す。

無料の低速電気バスEMU(エミュー)。
しばらくして駅の方へ、
再び旧山彦橋に戻ってきました。
ここは宇奈月温泉でもベストフォトスポット感じなので、
記念にパシャ
トロッコ電車もやってきて、これぞベストショットです。
本日の宇奈月、大変よかったです。


最高の天気、紅葉もグッド、何より風景が絶景ですばらしかったですね。
そしてまさかの民法の聖地、来てよかったです。
今日はトロッコ電車に乗れなかったけど、今度来るときは是非乗ります。
それではそろそろ帰りますかね。
あー、楽しかった。