浜島の港から撮った写真です。
地元の方は、この浦を「那都可志浦」と呼んで親しんでいるそうです。
那都可志社の祭神で龍の化身である豊玉姫命は、自らの正体を隠し、彦火火出命とこの浜島の辺で暮らしていました。ですが、出産のときにその正体を見られ、恥ずかしさの余り、いとまごいをして竜宮に帰る事となってしまったのです。豊玉姫命は、楽しい日々を過ごしたこの浜島浦を懐かしみ、泣きながら「ああ懐かしや、懐かしや」と言って別れを惜しんだという事です。
この伝説に因んだものが、その「那都可志浦」の名前の由来となっています。
その時、豊玉姫が流した涙は真珠となり、海にこぼれ落ちたたそうです。そのせいか、この浦で獲れる真珠は特に質が良いと言われているようです。かの真珠王、御木本幸吉が真珠造りの基地として選んだ場所が、この那都可志浦と聞けば、そんな伝説も、まんざら神話だけの世界ではないと感じられるのではないでしょうか。
本当に綺麗な海です。
矢取島の全景です。
ちなみに、豊玉姫命は、かつてご紹介した相差の石神さまのご神体、神武天皇の母の玉依姫命(たまよりひめのみこと。海神(わだつみ)の娘)の姉になるそうです。
志摩の海は、このような神話伝説がよく似合います。