3月~4月ごろ |
- 鎌倉、藤沢あたりで毎夜大砲を撃つような音が聞こえ、ガラス戸が破れんばかりの振動を受けた。大島の噴煙は火柱となり、夜間は殊に美しかった。
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5~6月ごろ |
- 5月下旬から6月初旬の間、水戸・銚子で有感地震急激に増加、いったん収まり、9月1日相模湾で大地震発生。
- 山中湖の湖水が全面的に濁った。精進湖は6m位減水した。
翌年1月15日の地震にも東側3分の2が濁った。
- 南葛飾でネズミの集団移動があった。
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7月 |
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8月 |
- 大根、ナシが大豊作。地熱の影響か?地震被災後、ナシを食べながら親戚の家まで歩いた。
- イネがいつもの年より草丈が伸びず、10日も早く黄金色に実っていた。以後、こんな異変はただの一度もない。
- 伊東市で漁具がまったく売れなくなった。相模湾でまるっきり魚が取れなくなったので漁具も不要になった。海の中が濁ってあぶくが吹いているようだった。
- 川崎市北端の耕地付近の水田や小川で非常に多数の小ナマズが繁殖した。この様なことはこれ以前、以後一切ない。
- 川口市で、震災の起こる前ナマズが非常に繁殖した。古老は地震の前後、地熱の上昇でナマズが繁殖するのではないかという。その後このようなことは無い。
- 品川猟師町(現在の品川1丁目)で井戸水が涸れた。安政の大地震の前にも涸れたので調べてほしいと通報があった。大地震後は復旧した。(現在この井戸の所在不明)
- この井戸の西方数百メートルの春雨庵という寺で、20m離れて2つある井戸の丘側(八ツ山)の境内の井戸水が鉄臭く煎じ薬のようなにおいがして飲めなくなった。地震後しだいに回復した。現在も北品川4丁目春雨寺の境内にあるが、工場排水の影響かアンモニアが多く飲用には使用していない。この井戸の水位の増減やにおいがあれば要警戒か。
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2週間くらい前 |
- 伊豆半島で海女が海底から盛んに泡が立ってるのを見た。その後、あわびが岩に硬く吸い付いて容易に取れなくなった。
- 木更津浜で局所的に、くみ潮現象(満ち潮の途中に30分~1時間急に潮が引く。引き潮の途中に30分~1時間急に満ち潮が混じる)が発生した。
- 隅田川でメダカやフナがたくさん水面に浮かび、パクパクしており、素手ですくい上げることができた。
- 浅草三筋町で、イヌが2週間前からあちらでもこちらでも遠吠えしていた。近所の人たちは何か変事があるのではないかと気持ち悪がった。(別の地域でも同じ報告あり)
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1週間くらい前 |
- 鎌倉由比ガ浜と材木座の間を流れる川ぶちで、足元がムズムズするので下をつかむとハゼが5、6匹とれ、川底の窪みを両手でつかむと一度に10匹くらいとれ、結局4リットルとれた。
- 東神奈川の海岸寄りの運河で、ハゼが異常に発生。
- ネズミが江戸川の市川橋の下の水道管を伝わって逃げた。昼は人に見えないように、また人が邪魔しても夢中で逃げ、夜も水道管を伝わって逃げた。これが見られなくなって、2日後大地震おこった。
- 大田区中央、春日神社近くの井戸6~7ヶ所で、井戸が出なくなり、風呂に入れずどうしょうかと相談している時地震がおこった。
- 神奈川県中郡南秦野村今泉付近の井戸で、9月の大地震前に水位減少、地震後増加した。又、翌年1年15日の地震前にも減少して、その後又増加した。
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2日前 |
- 横浜鶴見区潮田のかいがんでカニが陸に向かってぞろぞろ這っており、短時間に大びくに入らぬほど取った。
- 横須賀市安浦町でも防波堤に無数のカニが這い上がり1時間に500匹とれた。
- 品川の相州楼ではいつも勝手口の残飯にドブネズミがうろうろしていたが、記者が写真を撮ろうと来たところ、その日に限って1匹もいなかった。相州楼の主人が講談師に話したところ「てっきり地震だぜ、安政もそうだった」と言った。その通りになった。
- 朝いつもなら1羽のカラスが、当日は20羽騒々しく鳴きたてながら飛び交っていたが、30分位でいつの間にか姿を消した。
- 東京市の空の一部に猛烈にかなり長時間にわたり音響なしの光があり、はじめ珍しげに見たが不気味となり眺める人も減り家に入った。
- 身延鉄道のトンネルの中で時計の夜光がみえず、結局2日前から地震翌日までの期間のみ効力を失った。今でも時計の夜光は効力を持続している。(S50年頃の時点で)
- 鎌倉市長屋で、月が火の玉を上げたように真っ赤であった。翌日(地震の前日)夜11時頃の月も真っ赤であった。地震の過ぎた9月1日の夜の月は、すでに青い月で清い光を投げ出していた。
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前日 |
- 大森海岸で悪潮現象(海面の潮流と海底の潮流が逆に流れる)が発生。魚網の袋の部分がひっくり返った。
- 蒸し暑く不快な日で頭痛がした。夕方5時ごろ帷子(かたびら)川の上流今井川でイナの大群が水面に口だけ出して上流へ上がっていった。さらに下流の石垣の間という間に数えきれないほどのウナギが首を出して、石を投げても動こうとしなかった。
- 酒匂川でアユのどぶ釣りしたが、午前まったく釣れず、午後驚くばかりの入れ食いとなった。翌日の大地震で、このあたりはがけ崩れで惨憺たるありさまとなった。
- 海岸で投網を投げると30cmくらいのウナギがバケツ3杯もとれた。
- 夕方、東京赤坂福吉町十字路の電柱の電線をねずみの列が通り、竹ざおで驚かしたがわき目も振らず30分間自宅の土地へ入った。その夜コトリとも音がせずネズミは一匹も自宅にいなかった。
- 東京本所の米屋で、いつもはネズミで困っていたが、米倉の網を食い破って中にいたネズミが押し合いへし合いしながら外に逃げた。
- 月が天の一角に火の玉をあげたように真っ赤だった。
- 夕方世田谷で、西の空を真っ赤な雲とどす黒い雲が重なり合っているのを見て恐怖に襲われた。
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当日夜明け前 |
- 午前3時品川沖の漁船が西南の方向に発光を見た。その光で新聞が読めるほどであった。
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当日早朝 |
- 朝日には蛇のような雲が幾重にも巻いていた。
- 午前6時箱根堂ヶ島の大和屋の温泉が泥濁りとなり、入浴中体がみえない程で奇異に感じた。地震起こると湧出止まったが、3日後復帰した。
- 朝、三島の湧き水が濁ったが、古老がそれを聞き「安政の地震の時にも濁ったから近く地震があるかも知れぬ」と言った。
- 朝、深川より東京湾の方にピカピカ光る光を見た。光が日中見えるのは珍しいことである。
- 初島(熱海沖)付近で水平線上に稲妻が走った。音はしなかったが大変なことが起こるぞと話し合い、漁をやめて岸に引き返した。
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当日地震直前(10~12時) |
- 10時過ぎ、青空に今まで見たことも無いどす黒い凄みのある入道雲が現れた。いつもの入道雲と違いあとからあとからわき出し、雲の境の一部がものすごく光った。
- 朝から曇ったり照りつけたり、頭の痛むような天気だった。
- 漁師が漁業近くでタラ科の深海魚がたくさん死んで浮んでいた。なにか変事があるに違いないと思い、すぐ陸に引き返したところ、まもなく地震発生した。
- 10時ごろ相模川で、アユ、ハヤなどが打ちよせ、気持ちが変になるくらいとれた。夢中になっていると突然地震発生。
- 11時頃から磯子近くの中村川にイワシの大群現れ、虫取り網でいくらでもとれていた。横浜大岡川でも同様イワシの大群現れた。
- 太陽が真っ赤だねと言いあっていると、突然ぐらぐらときた。
- 気味の悪い、音でない唸りが聞こえなんだろうと思っていると、ガタガタとすごくゆれ始めた。
- 東京湯島でセミが木の低いところや地面におりて手で簡単に捕まえることができた。直後ぐらぐらときた。
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地震後 |
- 余震の起こる前、必ず発光現象を伴うので「アッ、また光った、それ地震」というように家を飛び出して避難した。
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