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石ころ

夏休みの時期をずらしての長男の帰郷は、孫娘あ~ちゃんが夏風邪で熱があり微妙だった。「飲ませる薬もないから、出来ることなら帰るようにするよ。」と言っていたけれど、私たちは「無理をしないで」と伝え今年は駄目かも知れないと思っていた。
二日ほど様子を見たのちに、お医者さんに相談をしたり、途中で引き返しポイントを決めて検温をしつつ「とうとう帰って来た。」と嫁さんが言った。

そんなあ~ちゃんは、到着したときは以外にも機嫌が良くて、待ちかねていたおじいちゃんにも、とびきりの笑顔で飛びついて大喜びさせてくれた。
けれども、寝室に引き上げたとたん「おうちに帰る」と泣きだした。きっと、お泊まりになるなんて、思ってもみなかったのだろう。そうして、疲れがどっと出たのだろう。

彼女の風邪気味はなかなかすっきりせず、嫁さんが「そうとう斜め・・」なんて、言いつつまとわりつく娘をなだめ続けた。
息子も嫁さんも、成長しておしゃべりになった娘の様子を、私たちに見せてあげようと、頑張って帰って来てくれたのに散々だった。でも、本当に散々だったのは、あ~ちゃんの方だと思うけれど・・。

嫁さんと食事の後片付けをしている時、あ~ちゃんのぐずり声に「此処は良いから、眠らせて」と言ってしまった。「えっ、今『眠らせろ』みたいに言ったね。」と慌てる私。「あのねお母ちゃん、それは『寝かしつけて』でしょう」と嫁さんに訂正されて、笑って誤魔化しても冷や汗たらり・・。

  
何処よりもおうちが大好きなことはとっても幸せなこと。とうちゃんとかあちゃんが大好きなこともとても幸せなこと。知らないお家では、いつも一緒に居てくれないと心細くなって泣き出してしまう。
買い物に出かけたとうちゃんを、暗い部屋でひとり捜していたので、「おいで、とうちゃんを迎えに行こうか」というと腕の中にとんで来た。

外に出ると夕焼け、「ほら見てごらん、ピンク色の雲だよ。」
ちょっと涼しい風が吹き抜けて、夕日の残る山では、ミーンミーンとみんみん蝉が鳴き、向いの山でもシャンシャン、シャンシャンとアブラゼミも鳴いていた。「ほら、聞いてごらん、蝉も鳴いているよ。」

少しは気持ちも晴れたようで、とうちゃんが帰って来るまで此処で待っている様子だけれど、もうすぐ3歳は思いのほか腕にずしんと堪えて「どうしょう・・」
タイミング良くかあちゃんが来てくれたので、細くても鍛え上げた腕のなかにバトンタッチ、「ああ、助かった。」

 
しかし、お姉ちゃんは毎日上機嫌で、山に川にと、昼寝もせずにおじいちゃんにくっついて回っている。芋掘りも去年の経験があるので慣れたものだったという。トマト、キュウリ、オクラ、アスパラなども時期を心得て収穫している。

大川や谷川では沢蟹やメダカ、アメンボ取りなどにも夢中。「この子はちょっとも飽きることがない。なんぼでも走り回っている。足が早うて付いていけへん。」とはおじいちゃんの嬉しい悲鳴。
おかげで絵日記や観察日記が充実していたけれども、彼女も妹くらいの頃はよく泣いたものだった。

今年は絵を描いてもらう時間もなかった。お話を聞かせてもらう時間もなかった。猛暑をものともせず、部屋の中にじっとしては居なかったから。
子供は、年ごとにたくましく変わって行く。そして、興味の対象も移って行く。家族の中で、ひとり黒く日焼けした彼女を「将来、農家の嫁」と嫁さんは評している。

 
家族が集まるには互いに多くの犠牲を払う。幼い子供も大人の顔色を見たり、我慢をしたり、気を遣って疲れもする。
それでも家族だから集まる。そこで子供は非日常を経験し、そんな刺激でバランスよく成長して行く。去年の経験を意外によく覚えていて、自分のものにしていることに驚かされたりする。

置いていってくれた沢山の動画(嫁さん曰く盗撮)には、おしゃべりをしながら一人遊びに興じるあ~ちゃんがいた。お姉ちゃんとふざけて飛び回っているあ~ちゃんがいた。
そりゃあお家がいいよね。こんなに楽しいのだから・・。
来年はもう少し、田舎の生活も楽しむことができるようになるさ。

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