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石ころ

最後の金ちゃん



結局金ちゃんは死んでしまった。良くなったり悪くなったりをしばらく繰り返した後、頑張って頑張って生きて、刀折れ矢尽きたようにほどんど動けなくなって、小さな洗面器の中でわずかに揺すっていたヒレもピクリとも動かなくなってしまった。

金魚すくいの小さなビニル袋の中に入れられて、水たまりに捨てられていることを主人から聞いた時、可哀想だから拾ってきてと頼んだら、わざわざ拾いに戻ってくれたものだった。
「私もイエスさまに拾われたんだよ。」とそれから仲良く暮らした4年間。小さかった金ちゃんは十五センチになっていた。

動かなくなった体を手のひらに載せて、鱗を磨くように洗った。とてもしんどそうだったのに、一生懸命に生きようとしてくれたね。頑張ってくれてありがとう、ありがとう・・

どのようにか残したくて魚拓をとろうと、家族でああでもない、こうでもないってそれから大騒ぎ。なにしろみんな初めてのことでなかなか上手くいかない。
主人曰く「もう、金ちゃんは何をされても怒らへんからな」
「そうだね。」金ちゃんは魚なのに、じっと目を合わせて喜怒を表現した。だから喜ばせたり、怒らせたりしてコミュニケーションを楽しんできた。

やっと出来の良いものが取れたので「ご苦労さん」って、綺麗に洗って鉢にポインセチアなどを敷いて寝かせた。
しかし、どんなに工夫をしても、いや工夫をすればするほどどうみても鯛の生け造りのようになって仕舞って、思わずみんなで吹き出してしまった。

今日は朝から、リビングの側の庭に埋めた。魚拓はテレビ横の壁にはってある。これからだって家族と一緒だよ。

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コメント一覧

石ころ
エシュコルさんへ
コメント感謝します
御国には、どのような出会いがあるのでしょうね。
エシュコル
そうですか・・・。
http://sweetnessword.jugem.jp/
命あるもの―動植物―は必ず死ぬのは当たり前ですが、それ故に大切なものに気付かせてもらえますね。
あちらでも再会出来たら良いです。
石ころ
電気屋さんへ
確かにそうですね。
私は怒りっぽいので・・

でも、怒らへん金ちゃんはつまらん!
イエスさまも死んだ(ような)人なんて、つまらんだろうとも・・思ったりしますが・・
石ころ
みっこさんへ
ありがとうございます。
何時からか自然に「金ちゃん、金ちゃん」って家族の間で呼んでいました。

玄関にぽっかりと穴が空いたようですが、リビングにいるよ。って思うとちょっと慰めを感じます・・。
みっこ
よくがんばったね!
金ちゃんと金ちゃん家族、最後まで本当にがんばった!金ちゃんという名前も素敵。金ちゃんは永遠です。ずっとずっと一緒。金ちゃん、本当にいい家族に出会ってよかったね!
電気やです。
そうですか、金ちゃんがんばりましたね。

「もう、金ちゃんは何をされても怒らへんからな」

あぁ、私もそうありたいです。
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