いつもの配達のお兄ちゃんが、花粉症のマスクをしながらもきびきびと働いている。
係りが変わって彼が配達に来るようになった当時、前の人なら重い物はサッと持って助けてくれたのに、「それは私の仕事ではない。」とばかりに突っ立っているだけで、その気の利かなさとふくれっ面に「私の何が彼を怒らせたのか」と不安になったり苛立ったりしたこともあった。ただ、以前職場で新人君が変化していく様子を見たことがあったので、「しばらく時間を掛けないと仕方がないか・・」という気持ちもあって、長い目で見ようと思った。
以前の職場で出会った新人の、ダラダラとしたそのやる気のない態度にパートの私は見る度イライラしていた。しかし、その職場のベテラン達は彼に対して意外にも寛大であった。私にはその寛大さが不思議だったが、やる気の無かった彼がいつの間にか職場に馴染んで自分から動くようになっていた。私はその時「育てる」ということを学んだ。
若者は夢や希望をもって新しい世界に入って来るけれど、そこで思い描いていたのとは違う現実にであって、がっかりしてやる気を失ってしまうこがあり、そんな時大人は待つべきなんだ。彼らが夢に生きることをあきらめて、現実に一歩ずつ踏み出して生きることを助ける、何よりの助けは忍耐して待つことなんだ。彼らが自分で何かやり出すのを待ってあげる。厳しい環境で働くベテラン達は若者の絶望を知っていて、黙って同情しつつも彼らに希望を失ってはいなかった。
配達のお兄ちゃんは愛想よく、気軽にサッサと荷物を運んでくれて「ありがとうございました」と言って去って行った。もう大丈夫、彼もベテランになった。
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