映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

2018-10-25 | ネタバレあり
上手いのはわかる。
ディテール(絵も話も仕草も)に力がこもってるのもわかる。

登場人物のほとんどが重い過去を背負っているけどそれがこれ見よがしじゃないのも上品。

重い過去を背負うというのはいくらでも設定できるんだけど、そのいやらしさをディテールの説得力でかわしてる。

声優さんも皆素晴らしい。
薬丸さんや設楽さんなど本職じゃない人も味があって良かったし、ホラン千秋は本職かと思うほどのクオリティ。
水樹奈々も素晴らしかった。

ひとつのシークエンスが終わりそうになると、次の布石が提示されるので飽きない。

映画を見終わったあと、それぞれのキャラクターについて考えると切なくなる。。

とくに真月さんが切ない。。

でも、それを超える感動はなかったんだよなぁ。
泣いたけどね。それは技術なんだよなぁ。
技術を超えたものがなかったような。

まぁ対象年齢ではないのでね。。

ネタバレは以下
















真月さんは結局こどもに戻ることは許されずこれからも若女将然としてないといけない、のが切ない。。



ラビング 愛という名前のふたり(2016年製作の映画) Loving

2018-10-25 | 映画感想
映画のラストで〝その後2人は…〟っていうテキストの内容が泣ける。

そしてご本人の写真。。ずるい、泣ける。。

英雄視されたくないというご本人の意向とおりに、全体的に淡々とした映画。
音楽やカメラワークなどで感情を煽ったりせず、細やかなシチュエーションと表情と少しのセリフで物語を進めていく。

サッと10年経ったり、嫌がらせがレンガ一個だったり。
かなり意思を持ってエモーショナルになることを避けている。

画面がもうちょい明るくてもいいかと思いますが、、、
この硬派な作りには好感を持ちました。



****


「神は異人種をそれぞれの大陸に分けて住まわせました。人種が混じり合うことは望まれていません。」by判事

黒人でさえも「離婚しちゃえばラクになれるぜ」と。

それに対する旦那の一言がカッコイイ。
「おれは妻を愛してる」

そんだけのことなのになぁ。

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画) Chalard Games Goeng/Bad Genius

2018-10-18 | 映画感想
冒頭と終盤はかなり面白い。

リンを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンはかなり魅力的でこの人はずっと見てられる。
腕と足がスラッと長くて気合の入った顔。
緊迫感を出す演技もうまかったです。

バンクを演じたチャーノン・サンティナトーンクンもまず顔が良いし、悲しさや寂しさを滲ませた演技が素晴らしかった。

金持ちカップルのティーラドン・スパパンピンヨーとイッサヤー・ホースワンがちょっと。。
イッサヤーさんが特にあのキンキン声がしつこいし表情もくさかった。。



この四人は演技経験がないか、ほとんどないからしいです。
金持ちカップルはもうちょい上手い人の方が良かったかな。
イッサヤーさん可愛いけどね。

****

演出もかっこよかったし、かなりスリリングでした。
美術もクールでかっこよかった。

ただくどい。。

泣きのシーンもやはりくさい。。
何回か来る泣きのシーンでかならず良いタイミングで泣きの音楽が入ると、コントみたいになっちゃう。

後半はもう物語やキャラ設定が観客に伝わってるから、そんなに音楽で説明しなくても、せつないシーンであることは伝わりますよ。


****


ただ終盤はホントに素晴らしかったし、ラストも意外。。。

まだまだお客さん入ってたし、これだけヒットするのもわかる。
絶対見て損などない映画でした!

映画『イコライザー』キッチンツールも武器にする!デンゼル・ワシントン主演

2018-10-14 | ネタバレあり

映画『アメリカン・スリープオーバー』
2016年8月27日(土)公開,96分,アメリカ

はい、来た傑作。俺はこの人生のうちでこの映画をあと何度見返すのだろうか!

***

アメリカの学校の新学期は9月から。
中学を卒業して高校1年生になるまでには大きな大きな夏休みがある。

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』では大学入学前のアホな男子の夏休みを描いています(大好きな映画ですよ)。

一方『アメリカン・スリープオーバー』ではもっと淡々としたコラージュになっています。
しかも、『イット・フォローズ』の監督なだけあってじんわりとずっとホラーのような匂いが充満。

酸っぱすぎる梅干したべると口が痛くなるみたいに、この青春の一夜が甘酢っぱすぎて痛い痛い。。

登場人物は多いけど明確な主役はいない。ものすごく繊細なセリフ、動作、表情の積み重ねでひとりひとりの物語が伝わってくる。
それぞれが「入学前の一夜」で何かを獲得したり失ったり、その両方だったりしていく。

だからこそ、ある少年のことを秘かに思っているのに全くセリフにも動作にも表せずに、結局一歩も前進も後退もしなかったある人物がせつない。。

原題は「The Myth of the American Sleepover」。Mythは「神話」を意味します。それだけに、意識的にこの映画は時代感がない(いつの時代なのかわからなくしてる)し、不自然に大人がいない(1人いるけど寝てる)し、誰か1人を主役にせずに鳥瞰的に全体を見渡した視点になっています。ラストのダンスもまるで神に捧げる踊りのようにも見えてくる。

四コマ映画『アメリカン・スリープオーバー』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2132

はい、来た傑作!映画『アメリカン・スリープオーバー』

2018-10-13 | ネタバレあり

映画『アメリカン・スリープオーバー』
2016年8月27日(土)公開,96分,アメリカ

はい、来た傑作。俺はこの人生のうちでこの映画をあと何度見返すのだろうか!

***

アメリカの学校の新学期は9月から。
中学を卒業して高校1年生になるまでには大きな大きな夏休みがある。

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』では大学入学前のアホな男子の夏休みを描いています(大好きな映画ですよ)。

一方『アメリカン・スリープオーバー』ではもっと淡々としたコラージュになっています。
しかも、『イット・フォローズ』の監督なだけあってじんわりとずっとホラーのような匂いが充満。

酸っぱすぎる梅干したべると口が痛くなるみたいに、この青春の一夜が甘酢っぱすぎて痛い痛い。。

登場人物は多いけど明確な主役はいない。ものすごく繊細なセリフ、動作、表情の積み重ねでひとりひとりの物語が伝わってくる。
それぞれが「入学前の一夜」で何かを獲得したり失ったり、その両方だったりしていく。

だからこそ、ある少年のことを秘かに思っているのに全くセリフにも動作にも表せずに、結局一歩も前進も後退もしなかったある人物がせつない。。

原題は「The Myth of the American Sleepover」。Mythは「神話」を意味します。それだけに、意識的にこの映画は時代感がない(いつの時代なのかわからなくしてる)し、不自然に大人がいない(1人いるけど寝てる)し、誰か1人を主役にせずに鳥瞰的に全体を見渡した視点になっています。ラストのダンスもまるで神に捧げる踊りのようにも見えてくる。

四コマ映画『アメリカン・スリープオーバー』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2132

ハッピーエンド(2017年製作の映画) Happy End

2018-10-12 | ネタバレあり
「日本での少女の薬殺未遂事件をニュースで読んで、この映画のきっかけになっていることは事実です。この事件は私にとって大きなインスピレーションを与えてくれました。byハネケ監督
‪https://eiga.com/l/sBy6n ‬


2005年の日本に実在の事件に影響を受けたとこのと。
そういえばこんな事件あったなぁ。。


****


ひとつのシーンが終わって新たにシーンへ行くときの画面がどれでもドキッとするほど美しい。

その美しさも幸せなものではなくて、物凄く客観的で残酷な雰囲気。


ネタバレは以下















まぁあのラストはハッピーエンドですよね。
死にたい老人が死のうとしてて、
死に憧れる少女が「死」をその眼前にすることができて、
死にそうな老人を助けることができる娘たちがいる。
この瞬間だけがハッピー。

その直後、老人は死ぬのに失敗するし、娘は老人の自殺に加担したことを責められるだろうし、娘たちはそれらを全て背負わなきゃいけない。





ぼくと魔法の言葉たち(2016年製作の映画) Life, Animated

2018-10-10 | 映画感想
最高だっっ!
「自閉症という病気の理解が進むといいですね」っていう映画じゃないね。
観客はオーウェンと自分の苦悩が同じであることに気づくでしょう。

他者とのかかわり、思春期、初恋、失恋、初めての一人暮らし、社会への一歩…
オーウェンに立ちはだかる壁は全く僕らと同じ。


***

自閉症で言葉を無くしたオーウェンは、言葉を話せなくなり聞こえる言葉も意味を無くして音としてしか聞こえない状態に。

しかしディズニー映画のセリフだけは話せるようになった。
父親と『アラジン』の台詞のやり取りするシーンは感動。


***


リアルな人間同士の会話は予測が難しいから苦手。
でも、決まっているシナリオなら自信を持って話せる。

そのまま声優できるんじゃねえかっていうくらいにオーウェンは上手に台詞を話す。

あと、絵も上手い。僕よりもかなり。。やめてほしい、そういうこと。。
ディズニーの脇役たちをせっせと描いてるんだけどチョー上手い。。やめて。。


***


僕も脇役なんだ、と。
だから脇役が好きなんだ、と。


***

家族も素晴らしくて、お兄さんが特に。
オーウェンに男兄弟がいることがどれほど彼にとって支えになっているか。

ディズニー映画の王子みたいなルックスのお兄さんが、完全なオーウェンのバディとして活躍。

「20年後のことを考えると怖い。両親とオーウェンを僕一人で支えないと…」とブルーになるお兄さん。お兄さんにも苦悩が。。



****


オーウェンは恋愛をし、失恋をし、「なんでこんなに辛いのに人生を生きなきゃいけないんだ!」と吐露する。

これも誰もが同じ。
みんな若い頃に失恋すれば、突然いきなり人生が崖の底に落ちる。

「あなたの歳(23歳)で一生添い遂げる相手を見つけることは少ないわ。みんな別の相手を探すの」とケースワーカーさんに言われて、ほとんど発狂するオーウェン。
これも同じでしょ。「別の相手!!!?」ってなるわな。。


******


この素晴らしい映画が世界中で観られるのはいいんだけど、これでオーウェンの生活に悪影響が出ませんように!

ネタバレ/犬猿(2017年製作の映画)

2018-10-04 | ネタバレあり
イントロのイジワルさが最高に笑えた。。
DVDで見ると余計にびっくりする。
早送りしちゃったもん、思わず。

映画のCMに出てくるサイコーサイコーつって連呼する〝サイコー劇団〟。

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でもこれが頂点だったかなぁ。。

もうちょいカラッとやってくれれば終盤のくどさも耐えられたかもしれないけど。
全体的にくどい。

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きょうだいの確執・いさかいネタも、まぁこういうこともあるんだろうけど、ネタが強すぎて乗れなかったなぁ。

僕は三人兄弟の末っ子だけど、全然それこそ共感できないので「どうしたの?みんな…」と思っちゃうし、
共感しなくても楽しめるような魅力的なきょうだいゲンカでもなかったし、新しくもなかったかなぁ。


あるあるを見せたいのか、
でも「キョーカン」はさせたくないわけでしょ。。


****


四人のキャラクター個人個人は面白いし、チャーハンのシーンとか素晴らしいし、細部は眼を見張るんだけど。。

新井浩文に対等向き合えるのがニッチェ江上さんってのも可笑しくて、新井浩文もそれが嬉しそうだったし。

筧美和子も薄っぺらいグラビラタレントを等身大(?)で演じてて素晴らしい。
『フェイクニュース』でも良かった。
思い切りがいいしタヌキ顔なので小林聡美ラインのコメディエンヌになってくれないかな。

ニッチェ江上さんはこの映画の出色!素晴らしかった!売れるよ、女優として。

兄弟のふたりはそりゃすごいよ。。


****

ネタバレは以下















ラスト、仲直りしました〜と思わせてからのまた戦争再開して終わり。
ってことなんだけど、その戦争再開を表すシーンが長くない?

例えば江上さんが握ってたボールペンを怒りで折っちゃうとか、
筧美和子がパソコンのキーボードを机の下に落とすとか、
そういう仕草をパッと写してエンドロール!の方がカッコ良かったかなぁ、と。



シリーズ最高傑作! 死霊館 エンフィールド事件(2016年製作の映画)

2018-10-04 | 映画イラスト





死霊館(アナベル)シリーズの中で一番面白いし、映画としても面白いし、好き。
物語が面白い。

主人公夫妻はやっぱ素敵だし、演技も良い。

ただいくら旦那役の俳優(パトリック・ウィルソン)がトニー賞候補になってるからってプレスリーの曲を一曲丸々歌うこたないよ。

中間部がダルい。。

でも、娘がポルターガイストを偽装していたビデオが出てきてから突如面白い!