映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

いろとりどりの親子(2018年製作の映画) Far from the Tree

2018-12-31 | 映画感想
お母さんとおぼしき女性たちが開始15分くらいで泣く。僕も泣く。
そっから12分おきくらいにみんな泣く。。

知的障害のない自閉症の少年は、
体も制御できないし言葉も話すことができない。

実は言葉は理解できるんだけど正解のリアクションができないから、
言葉も理解できないと思われていた。

ある教室に通い始めて
ものすごく時間をかけてキーボードの使い方をマスターすると、
彼はコントロールのきかない体を使って
「僕はがんばってる。僕は賢い」と。

それが両親に伝わると安心したようにおちついた。

それを見た母親が「あなたはそこにいるのね」「初めて息子に触れた気がした」と。

見た目、常識、世間、に囚われている状況だと見えないその人の本質ってのは確実にあって、
それは障害あるなしに関わらない。と教えてくれる。


****


‪親子の話なんですよね、すべて。‬
‪自分から自分じゃない人間が産まれ出てきて、
自分とはまっっったく違う人間に育っていく、というのは‬
‪親の立場ではない僕にはわかんない。


しかもこの映画では普通の親と「普通じゃない」子供が描かれる。

そしてラストでは、「普通じゃない」親と普通の子供も。


****

妊娠中に胎児がダウン症であることがわかった母親は
医者に「愛情が沸く前に産まないという選択もできる」と助言される。

それに対して母親は
「それは無理(笑)。すでに何ヶ月もお腹にいて愛情ならすでに溢れてる」と。


「どんな親でも自分の子供に欠点や問題を抱えている。
でも他の子と交換しようなんて思う親はいない。」


虐待する親もいるのでこのセリフを鵜呑みにはしないけど、
叫びや祈りのように聞こえたんです、これらの言葉が。

選択じゃないんだ、愛情ってのは。

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画) 1987: When the Day Comes

2018-12-30 | 映画感想
1987、ある闘いの真実 (字幕版)


こんなにも重い政治的な実話を題材にして、129分間ずっと映画的な面白さを持続できるとは!

情報量凄いし、登場人物も多いのに、話がスルスルわかるし、1人1人の立場と心情の変遷もよくわかる。

韓国映画は、コメディとラブとカーアクションとゴアのてんこ盛りが特徴でそれは諸刃の剣でもあったけど、
近年ではバランスもとれるようになっちゃってるからもはやとんでもない領域に。。

***

コメディやラブで息抜きさせてくれるけどそういうシーンはサッと引いて「そんな映画じゃねぇから(巻き舌で)」ってな感じで、現実の地獄描写を弛みなく最後まで。。

キム・テリ(『お嬢さん』)が物のように車から捨てられるシーンがあるけど、カメラの切り返しもないので本人がやってんのかいな。。おそろしい子。。


***


ラストは感情的すぎて
「ちょっと熱くなりすぎだなぁ…」とさすがに引いちゃったけど、
エンドロールに流れる実際のニュース映像の方がもっと衝撃で感動…。

映画はちょっと抑えてるくらいだった。。
映画でやると嘘っぽく見えるから抑えたのかな。

ちょっとぬるいと思っていたスニーカーのエピソードも、エンドロールで写真が出て来ると「もう無理。。」と涙を我慢できない状態に。。


***


史実ではないエンタメ要素としてのシーンはちゃんと「これは創作ですから」とわかるように他のシーンとちょっと雰囲気変えてるのも誠実。

拷問シーンは本当なんだなと思うし、教会でのアクションはまぁ創作だわなとわかる。


***


こんなにも反政府的な映画をよく撮れるなぁ、韓国すげえなと思っていたけど

韓国映画『1987、ある闘いの真実』チャン・ジュナン監督インタビュー https://tokushu.eiga-log.com/interview/11770.html

これを読むとかなり秘密裏に制作が進められた模様。。
そんなヤバイ映画にオールスターが出演して、しかも特大ヒットとは。。

この映画自体が「闘い」。

しかもエンタメになってるって、、もう本当に、困ったもんですよ。。

孤高の遠吠(2015年製作の映画)

2018-12-29 | 映画感想
孤高の遠吠


ユキヤが映るシーンでは突然画面に風格が出てくる。
かなり映画的な存在感のある人ですね。

モトキも面白い。
ナンバー2が一番ヤバい説。即立証。


****


リアルヤンキーを起用して、
リアルヤンキーのリアルエピソードを脚本に盛り込んで、
撮影中にキャストが逮捕されてって「俺来週あたり逮捕されるんで俺のシーン先撮ってもらってイイっすか」みたいな感じで撮影されたそうで

つまりは〝リアル〟がこの映画のキモ。


****


部屋が荒らされたのを見て
「さらわれたね〜」
「さらわれたね〜」
と話すのもリアリティがある。

ギャング映画や不良映画ならここぞとばかりにかっこつけて臭いセリフ言うシーン。


****


前半辛いけど、1時間過ぎたあたりから面白い。

ギャグが滑ってるシーンはつらいし、
乱闘シーンや拷問シーンが盛り上がらないのもつらい。


でも、このぎこちなさの積み重ねが続くと妙な説得力を増してく。

ほんとにこういうどうしようもない世界があって、そう簡単には抜けられないんだろうなぁと。。。


****


ラストは2対2の殴り合いで、ちゃんとタイマン張ってるので気持ちがいい。


この4人はどういうわけだか演技も動きもいいので、アクションも見栄えが良い。


****


ただ、物語としては超どうでもよくて、誰がどうなろうと知ったこっちゃない。

一番下っ端ですぐに友達を売るクズが痛い目にあってほしい!
って思いながら見たけど、
映画全体の話としてはどうなってもいいし、どこで突然終わってもどうでもいい。


と思いながら見てたけど、
これがまたラストもいいんだなぁ。。

切なくて、グッと来ちゃう。やられた。。



前半のわけのわからなさのみ残念。。

バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画) Battle of the Sexes

2018-12-28 | 映画感想
バトル・オブ・ザ・セクシーズ (字幕版)



『それでも夜は明ける』や『ドリーム』などの人種差別ダメよ映画は、
観客を自然と「差別反対派」に立たせて気持ちよく家に帰してあげられる。

観客はこれらの映画を観るだけで
「ほんの●●年前までこんな差別があっただなんて…」や
「いまもなお差別は残っています…」と
〝人を苦しめない側〟に立つことができます。


****


が、この映画。

「男女平等なんて当たり前だよ。男性至上主義なんてマジ恐竜!」
という気持ちでこの映画を観はじめた観客を
結構早い段階で
「…あれ、自分こそ恐竜…??」と思わせる映画ですね。

面白い。すごく面白い。実話なんだけど。


****


確かにバトル・オブ・ザ・セクシーズでしたね。

ただ、男VS女 に限ったことではなかった。
「性という概念(思い込み)」との闘いですかね。


****


期待したものと違うってのはこの映画の辛いところでもあり、
結局エマ・ストーンとスティーブ・カレルは対立した存在ではない。
あんまり関係ないんですよね、この2人。



「男性至上主義者」を一人で背負ったビル・プルマンがわかりやすい敵だけど、
エマ・ストーンやアラン・カミングの本当の敵は彼らの周りの不特定多数。


観客が自動的に気持ちいい側に立たせてくれる映画ではなくて、その点が素晴らしい。

****


とは言えテニスの試合がもうちょい盛り上がって欲しかった。

当時の中継のカメラワークを再現したのかもしんないけど、普通のスポーツ中継のようでイマイチ。。
もっと寄りの映像欲しかった。

トンネル 闇に鎖(とざ)された男(2016年製作の映画) 터널/TUNNEL

2018-12-27 | 映画感想
エンド・オブ・トンネル(字幕版)

****

これは実話ではないんですね。
トンネルが崩落して生き埋めになった男の話。


2010年に発生したチリの岩盤崩落事故をアントニオ・バンデラス主演で映画化した『チリ33人 希望の軌跡』(2015)は、
単なる成功譚で「やった!助かった!ハッピー!」っていう映画でした。


本当ならば安全対策を怠っていた会社やそれを監督しなかった政府への批判を描くべきだったし、
実際に大統領が結構ひどくて、
この事故を支持率回復のために使って自分がテレビにガンガン出たり、
海外でも自分の存在をアピールしたり、
自分の予定に合わせて救出日を決めて、
全世界に放送される救出の映像にはちゃっかり自分も写ってる。

って話があるのに映画では全然取り上げられてなくて、
単なるチリ宣伝映画になっちゃってました。。



****


で、この映画について。

その辺をちゃんと描いている社会派なのですよ。
単なる災害サスペンスではないのです。

名優ユ・ヘジンが出てるよ。

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた(2017年製作の映画) Stronger

2018-12-26 | 映画感想
ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(字幕版)


2013年のボストンマラソンの爆弾テロ事件の被害を受けて、両足を失った実在の男性をジェイク・ギレンホールが演じる。

****

彼が爆弾犯を目撃していたことで犯人は速攻で逮捕される。
両足を失ったことと犯人逮捕に活躍したことで、
彼は「ボストンストロング(ボストンは負けない!)」の号令のもと英雄扱いされていく。

もともと仕事にも恋人にもまじめに取り組まない、なかなかのグズ男。
彼の母も自尊心を持てないアル中。

彼も周囲の英雄扱いに当初はノリノリだけど次第に違和感を感じていく。

が、母や親戚たちは自分たちの自慢のために彼の英雄状態を望み続けるが。。


という流れ。


****


とくに母親が問題アリアリで辛い。。

僕はこういう母親像が元素レベルで苦手なので、きつかった。。


テロを利用と言ったら言葉が悪いけど、息子が英雄になったことで注目されたり有名人に会えたりすることを期待してる。

息子が褒められれば育てた自分にもスポット当たるからね。

もう、、こういうのは本当にキツイ。。


****


しかし、実際のテロ事件を扱った映画でこの視点は新しいと思いました。

不安な状況で英雄を待ち望む市民を描いて、
人はそうそう英雄になれないよ、というひっくり返りしを伝える。

で、さらに、
人は各々の場面場面で英雄になれるんだよ、というさらなるひっくり返りしメッセージ。

誰だっていつだって考えられない地獄に落とされることがある。
その時どう対応するかで、自分もほかの誰かに救われるだろう、と。

それは、誰の期待に応えるわけでもない、対テロのためでもない、ただただ英雄なんだよ。

****


爆破の後の生々しいゴア描写もあったりして、誠実な作りの映画だと感じましたよ。

Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画) Love, Simon

2018-12-26 | 映画感想
Love, サイモン 17歳の告白 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]


ジョージ・レンデボーグ・Jr がいつも通り主人公の親友役としていい味出してる。
第2のマイケル・ペーニャとして活躍してってほしい。

***

てっきりテレビ映画なんだと決めつけてました。。
ディズニーチャンネルみたいな画面。。

これはちょっと良くないですよ。。
あまりにも気の抜けた画面。構図。。
見えてほしい表情が別の人物によって隠れちゃったりしてたもん。
全体的なレベルからして、意図的とも思えないし。

テレビ映画だからしょうがないと諦めてたけど。。そっかあ。。


***


サイモンが罪を背負うのがいいですね。

ゲイであることをアウティングされる危険性があったからって友達を売っていいわけではない、と。

ゲイが一方的に保護されるべき存在なのではなく、
誰しもが抱えている〝自己肯定すべきアイデンティティ〟のひとつだ、と。

だからと言って、〝1人で勝手に乗り越えろ〟ってことでもなく
家族や仲間に受け入れてもらうことでスムーズに自己肯定していける。
それは他のマイノリティ要素を抱えている人たちと同じだ、と。

****

17歳なんでね。
まだ社会的、法的な差別とガッチリ向き合う状態でもなく、
まずは自分で自分のアイデンティティを受け入れるという
青春の段階ですね。


****


話はリアルだし丁寧だと思いました
「ブルーは誰だ!」っていうミステリーも面白い。

でもこれテレビ映画じゃないんだぁ。。それであの画面かいな。。

電話映画とは?切れる!つながる!電池がなくなる…!電話に翻弄される人々にハラハラする映画4選

2018-12-26 | 映画イラスト

12月16日は電話の日です。1890年のこの日に、日本国内で初めて電話が開通(東京 - 横浜間)したことが由来となっています。1890年といえばNHK大河ドラマ『西郷どん』の西郷隆盛が亡くなってからまだ13年しか経っていない頃です。

そして、時を同じくして1890年頃、映画が誕生しました。リュミエール兄弟やルイ・ル・プランスなどが競って映写機を発明し、『ラ・シオタ駅への列車の到着』や『ラウンドヘイの庭の場面』などのフィルムを残しています。

電話は映画のストーリーテリングにおいて重要な装置です。今回は電話の特性を活かした〝電話映画〟をいくつか紹介します。

 ↓↓↓↓↓↓


#フォーンブース  #オンザハイウェイ  #ペンタゴンペーパーズ最高機密文書  #セルラー






クリスマス恐怖症 映画『グリンチ』(2018)

2018-12-26 | 映画感想
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『ミニオンズ』『SING/シング』『ペット』などの大ヒットアニメを送り出しているイルミネーション・エンターテインメント初のクリスマス映画『グリンチ』が2018年12月14日(金)より全国公開。

原作は1957年の絵本「いじわるグリンチのクリスマス」で、2000年にロン・ハワード監督、ジム・キャリー主演で実写映画化もされています。
日本では馴染みの薄いキャラクターだと思いますので、今回はグリンチというキャラクターを紹介しますよ!

   ↓↓↓↓

クリスマス恐怖症にちょっと共感も!グリンチってどんな奴?原作や過去作と比較で紹介 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2434





クリスマス恐怖症にちょっと共感も!グリンチってどんな奴?原作や過去作と比較で紹介 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/2434

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画) Molly's Game

2018-12-22 | 映画感想
モリーズ・ゲーム [Blu-ray]


ジェシカ・チャスティン単独主演でポスターにひとりでバーンと載ってるってなると『女神の見えざる手』をイメージしますし、
セリフの多さや彼女がひとりで戦っている姿をずっと見てると既視感たっぷり。。


****


ただ『女神の見えざる手』とは違って今回はあくまで普通の人(根性はすごいけど)。

頭もいいし正義感もあるけど、普通程度の不純さや弱さを持った女性。


主人公が知らぬうちにアメリカとロシア揺るがす(?)とんでもない事件に巻き込まれる、と。


****


実在の人物なんですね。アメリカでは有名な事件なのでしょうか。

監督もひたすら実話を映画化してる人。

マスコミによって悪女とされている彼女が、ある真実を言えば自分の潔白は証明できるんだけど、決してそれをしようとしない。

彼女の周りの男たちがいいですね。

イドリス・エルバ、ケビン・コスナー。
とくにケビン・コスナーはかっこよすぎてちょっと役にはあってないくらい。
ほんとは國村隼がやる役でしょうよ。

あと、いつものように情けないクリス・オダウド。ぴったり。。


****


セリフ量多いし、ギャンブル用語や法律用語もガンガンだし、これもまた長いので、疲れる。。。


でもいい映画だったと思われます。

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画) Hereditary

2018-12-20 | ネタバレあり
ヘレディタリー 継承 [Blu-ray]


映像も面白く、トニ・コレットの職業も面白いし、みんなの演技もいいし、結構ずっと家の中なのにカメラワークが多彩で飽きない。

ちょっと「ん?」と思った一瞬のシーン(街灯のアップとか、ツリーハウスの灯りとか)があとからとんでもない展開への布石になってて、感心。
夜から朝へと0.5秒で推移するシーンもビックリ。


お兄ちゃんもまばたきをガマンして頑張ってたし、
妹も最後まで存在感失わない離れ業!!


****


で、ガブリエル・バーンが職業が博士なだけあって冷静なわけです。

トニ・コレットがどんどんやばくなっていく姿を冷静に「こいつやっベーな…」って思ってるわけです。

その視点でトニ・コレット見ちゃうと笑っちゃうんですよ。。
困るでしょ、こんな奥さん。。



ネタバレは以下










僕がオカルトを頭から否定してるのもあってラストの展開はちょっとついていけない。
(だってオカルトが実在したら怖いじゃん、最悪じゃん。だから信じたくないの)

なんかもうちょっと笑いそうになるし、そのままエンドロール。

で、エンドロールに
「プロデューサー トニ・コレット」
ってのが出ると

なんだよ!あんだけ美味しい役をバリバリノリノリで演じてたトニ・コレットが自分で製作してたのかよ、と。
そりゃこんなにいい役できるわけだと。

しかし、考えてみると、
ハリウッドとは言え、
女優が自分の演技力を100パー発揮できる主演作なんて、ほっといても来ないわけで、自分で製作するしかないんだよな。。

トニ・コレットって確かになんとなく名前を知ってたり、顔も見たことあるような。。ってくらいで、
いまフィルモグラフィ見ても
印象的なのがない。。

『幸せになるための5秒間』の自殺するつもりビルの屋上に上がったら、同じく飛び降り自殺するつもりだけど意思が固まらないピアース・ブロスナンに対して、「あの、まだ時間かかるかしら。。次私なんだけど。。」っていう主婦役が印象的ではあったけど。

実力はあっても力を発揮する場がない女優は自分で製作するしかないんだね!
素晴らしかったよ!おめでとう!トニ・コレット!!!


ガブリエルがバーン(燃える)してましたね。



ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画) Wonder

2018-12-19 | 映画感想
ワンダー 君は太陽(字幕版)



心が洗われましたよ。泣いた泣いた。

副題「君は太陽」の君は主人公オギーのことではなかったんですね。
オギーの周りの全ての人が太陽でしたよ。


****

オギーの周りの人にスポットが当たっていくのがいいですね。

お姉さんのエピソードも泣けるし、お姉さんの友達も泣ける。。

金持ちのいじめっ子も可哀想でしたね。。
両親はモンスターペアレントで全然子供のことを愛してない。
まったく子供の意見なんて聞かないし、顔も見てなかった。切ない。。

****


ジュリア・ロバーツは顔が過剰なので、、こういうお母さん役でも映えますね。
考えてみたらこのお母さんそんなに活躍してないんでけど、
やっぱ演技がうまいので助演なのに映画の中心にいますもんね。さすが。


****


自分がこの映画の中に入ったとして、ちゃんと活躍できるかなぁ。。
画面の端っこでオギーのことを遠目で観察してるだけのヤツかもなぁ。
ジュリアン役なんて実際できんのかなぁ。。

ネタバレ/バード・ボックス(2018年製作の映画) Bird Box

2018-12-13 | ネタバレあり
Bird Box - Schliesse deine Augen


冒頭、女性が車に乗り込むシーン!
サンドラブロックを助けようとして出てきた女性ですよ。
あのシーンは発明ですよね。ないですよね、今まであんなシーン。
あれはトラウマ。困る。夢に出てくる。。

あとは車に乗って「ぐにゅり」と何かを踏みながら進むとことか
おばあちゃんが窓の外見た後のとか、
トラウマ系で素晴らしい。

***

サンドラ・ブロックもいいけど
トレバンテ・ローズが死ぬほどカッコイイ。。

トム・ホランダーもよかったなぁ〜。


ネタバレは以下


















上記のような鮮烈なホラーシーンがいくつかあって素晴らしいのですが、
ルールがよく分からないのでサスペンス度は下がりますね。

「ピクセルなんだから大丈夫!」っつっても結局防犯カメラはなぜかダメだったでしょ。
窓も新聞とか布を覆ってるけど、そんなに真剣に覆ってるように見えないし、
ずっとひたすら足元だけ見てれば外を移動できるじゃねえか?と思っちゃうし。

***

サンドラ・ブロック森の中疾走しすぎだし。
あのシーンで子供をケガさせちゃいけないし、でも早く移動したい、でも転ぶわけにいかない!っていう逡巡の動作を演出できてたら、この映画オリジナルの怖さが出たのに。
普通に走ってるからね、目隠しして森の中を。

***

『クワイエット・プレイス』と同じようなシーンがいくつかあったのは無念。。しょうがないけどね。。

サンドラブロック は社会生活に興味のない画家でしょ。
その設定がうまく生かされたとも思えず。。

トレバンテ・ローズのラストはめちゃカッコイイし、泣ける。
トム・ホランダーのサイコもよかった。
ジャッキー・ウィーバーが自分の首にハサミさして自殺するのもよかった。

サンドラを助けようとして外に出て、ソレを見ちゃって、燃えてる車に乗り込んでそのまま焼死するシーンも最悪で最高。

***

この最悪な世界を生きるには恐ろしいものから目を反らすしかないってことかな。
アンタらこうやって生きてるだろ?ってことかな?

最後の視覚障害者たちは自分で「見ない」ことを選んでるわけじゃないから、蚊帳の外っていうか、籠の中っていうか、別物として暮らしていけるのかな。大丈夫かな、この考え。。
なんか障害者を汚れなきものみたいに描いていて、、心配。。

なんのメタファーなのか、そろそろ発表されていくのかな。



Bird Box - Schliesse deine Augen




鈴木家の嘘(2018年製作の映画)

2018-12-13 | 映画感想
鈴木家の嘘


観たことのないバランスの映画。
葛城事件のようなブラックコメディでもなく、松竹映画らしいホームコメディ感を最後まで維持したホラーサスペンス。。

***

ずっと善きお母さん役を全うしてきた原日出子が、
ずっと善きお母さん役を全うしてきた女性を演じる。

流血しながら包丁振り下ろしたり、狂ひ泣きする芝居をする原日出子を見ると、苦しみのシーンなのに何か解放された痛快さも感じる。

***

ニッコニコ大森南朋も怖い。
下で働いてた宇野祥平さんを見ると大森南朋がどんな上司か想像に難くない。。

デッドバケーション(2018年製作の映画)

2018-12-12 | 映画感想
音楽×映画の祭典 [MOOSIC LABO(ムージック・ラボ)2018] の中の一本『デッドバケーション』。
映画監督八幡貴美とロックミュージシャンGALAXIEDEADの組み合わせ。

***

GALAXIEDEADのボーカルのデッドさんがかなりのドクロ顔でいらっしゃるので(たぶんそういうことでお名前がデッドかと…)、地縛霊という役はもちろんハマり役。

『普通は走り出す』同様、こちらもデッドさんの歌の良さがまっすぐ伝わってくる。
声がいいなあ、歌詞がいいなぁ、メロディがシンプルだけど聴かせられるってことはやっぱ声がいいんだなぁと。


***


劇中で
「他人に期待しすぎなんだよ」とデッドさんが主人公の女の子に言います。


先日観た『真っ赤な星』という女性映画では、
主人公の女性2人が同化しようとしてるんじゃないかってくらいにぶつかり合っていて
「自分と他人の境界線があいまいなんだなぁ」と思いながら、おじさんは観ていました。


***


20代前半くらいだと確かに「なぜ他人ってのはこんなにも自分の思い通りにならないのだ!」と苦しんでいる時期かも。

僕は8年くらい前に「この人ってずっと他人なんだ。。自分にはならないんだ。。」と実感したので、
僕はたぶんその時やっとオトナになれたのだと思います。。。


***


この『デッドバケーション』の八幡貴美監督が製作したブライダルCM(https://www.youtube.com/watch?v=758erqtnTD4)にも
「結局他人じゃんっ!」と広瀬アリスが発狂するシーンがある。
(その23秒後に薬指に指輪はめるんですが)

他人は結局他人だと〝知る〟ことから実はやっとその人自体が見えてくるんですよね。

自分と同一視するのをやめたところからやっと疲れない付き合いができるようになれる。


***


で、この『デッドバケーション』はその前。

主人公はデッドさんに「他人に期待しすぎなんだよ」と叱られるだけあって、
まるで登場人物全員が主人公の成長のために存在しているかのよう。

みんなが主人公を見ている。

こんな世界ないんですよ。
でもこの時期ってそういう風に考えてたかも。

しかもこの主人公は失恋したばっかで、たぶん地球で最も不幸なアタシ状態。


***


だから、デッドさん演じる地縛霊も本当に存在したのか疑わしい。。

主人公が自分を救うために自分で作り出した幻影かもよ。
主人公にしか見えないんだし。

隣に恋愛相談相手のゲイが住んでるってのも疑わしい。。


全体的に寓話っぽい。
でも20代前半までって人生自体が寓話っぽいんよね。。


***


はぁ、、またおじさん感想になってしまった。