映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

映画『キャラクター』 ネタバレあり 妻の描き方 菅田将暉主演

2021-06-24 | ネタバレあり
この映画を面白かったという人は多いと思います。
下手したら、傑作だ!という人も結構いると思います。
そう思う気持ちを邪魔したくはない。
その感動に水差したいなんてまったく思わない。

だから、以下を読まないでください。


まだそんなに映画を見ていない若い人や
韓国映画のバイオレンスサスペンスをそんなに見てない層や
世界のフィルムノワールを見てきていない人にとっては
きっと満足のいく映画だったかと思います。

その満足を邪魔したくない。
映画って刺激的で楽しいなと思った気持ちを削ぎたくはない。
刺激を求めてまた劇場に来て欲しいです。

だから、読まないでください。

読まないでよ。


**

菅田将暉も小栗旬もFukaseも良かったですよ。
とくに小栗旬はとても良くて、脚本上はそんなに面白いキャラではないはずなんだけど、深みもあるし好感度も高いし、白目の比率を高めてギョロっと見てくるのも印象的だし。
ハリウッドスターの貫禄ありましたよ。
演技はみなさん良かった。
美術も撮影も良かったです。
音楽はちょっと説明的すぎて寒かったけど。

**

今までの映画の寄せ集めみたいな感じがしました。
小説や映画で描かれたことが起きちゃうっていう物語はほんとによくあるし、
作家と犯罪者が反目し合いながらもバディを組むってのもあるし。
しかも犯人は宗教関連でしょ。
犯罪の起点を新興宗教にする映画はたくさんたくさんあるよね。
この映画のオリジナリティってなんだったんだろ。

**

大御所漫画家さんのとこで、
まだ玄関に菅田将暉がいる段階で
大御所漫画家さんが菅田将暉の悪口言うけど、
普通聞こえるかもしれないんだから言わないよね。
家出て行ったあとに悪口言うよね。

**

菅田将暉が通う居酒屋。焼き鳥屋かな。
あの店の広さを一人で切り盛り?
焼き鳥(?)焼きながら注文とって酒作って酒運んで焼き鳥運んで会計もするの?ひとりで?
あの規模の店を一人で切り盛りしてんの?
フロアのバイトとかいないの?
なんでスタッフの誰も「この規模の店を一人で切り盛りするってあり得なくないっすか?」って言えなかったの。

**

本屋でも大規模にPOP設置されたり
街のビルボードとかにドカドカと広告出たりするくらいにヒットしてる漫画なのに
上記の焼き鳥屋(?)の店主も34を読んでないし
中村獅童も読んでないし
鑑識も読んでない。
漫画を元に殺人事件が起きてるんだから、読めよ、警察くらいはよ。

**

警察に女性一人もいなかったね。

漫画のアシスタントの中に女性いたけど、セリフなかったね。
男性アシスタントは2人セリフあったけど。

**

一番の問題は妻の描き方。
この映画ほんとに世界に売るの?
大丈夫??

バリバリ仕事してた妻は夫が仕事成功して
夫に「ずっと家にいてほしい」って言われたら
言う通りに仕事辞めてずっと家にいることに。
しかもそれに不満を持ってる感もなし。
妻が家で何をしてるかと言うと、ひたすらに「お茶を出す」。
家事といえばお茶を出すだけ。
お茶を出す以外の家事をしてるシーンがない。
あの広さ、あの清潔さの家を保つためにどれほどの家事をしなきゃいけないのか、映画制作陣は知らない。
ひっきりなしに荷物取って届くぜ。
それを受け取って段ボール開けて中身をどっかに入れて段ボールを折り畳んでどっかに隠すんだぜ。
家事っていっぱいあるんだぜ。
制作陣は、妻がやることといえばお茶を出すことくらいしか思いつかない。
いつ高畑充希がブチギレて熱湯のお茶をぶちまけるのかと思ってたけど、一向にブチギレしない。。

**

いくら漫画が大ヒットしても連載開始から一年であんなマンションに住んであんなにも高級な謎の家具を揃える?
高畑充希は家具屋で働いていたから、という理由付けがあったけど
夫が売れたからっていきなりあんな高級な謎の家具を買いまくるなんて、正常な人間の発想と実行力じゃないよね。
やばい人じゃない?
いつ、実は高畑充希はサイコパスでした、っていう流れになるのかと思ったら、全然ならない!

**

ラストのバトルで、いよいよ熱湯のお茶をぶっかけ攻撃して
Fukaseの顔が火傷で爛れるのかと思いきや
全然反撃しない!!!
ただ太もも刺されて倒れるだけ。
せめて逃げろよ。
お腹に双子いるんだから。
階段をズリズリとゆっくり落ちていくくらいできただろうよ。
で、階段の中盤くらいでFukaseに見つかって
階段の下からFukaseを見上げるシーンがあればインパクトあっただろうに。
高畑充希はただビクビクして倒れてて全然活躍しない。

**

そもそもホラー・サスペンスで〝妊婦〟を出すのもほんと寒い。
はいはい、また妊婦ですかって感じ。
妊婦を単なるアキレス腱に使ってるだけなんよ。
女は男に守られる存在でしかない。
古い価値観を強化する映画です。

**

ラスト。
菅田将暉も生きてました。
高畑充希も生きてました。

菅田将暉が入院。
高畑充希は双子用のベビーカーを病室に持ってきてるけど、双子の赤ちゃんの姿は映されない。
一向に赤ちゃんが映らない。
ついに来たかっ!
あのラストバトルで残念ながら出産できなかったんだけど
注文したベビーカーだけは届いてしまって
高畑充希は赤ちゃんの乗ってないベビーカーを延々と持ち運んでいる。
高畑充希はちょっと精神的に病んでしまった。
ってなるのかと思いきや、ならないっっ!!

ただただただただ、夫に従順な妻。
ただただただただ、物語のアキレス腱としての妊婦。

ほんとにこれ世界で公開するの??

**

ラスト。
もうさっさと映画終わってもいい頃なのに
裁判が始まったので、
もしかしたらこれから何か面白い展開があって
この映画オリジナルの何かがやっとついに提示されるのかも、と
さすがに期待しましたよ。
ほんとにオリジナリティが足りなさすぎるんだもん。

しかしですよ、ここに来て、丸投げ。。。
せめてこの事件を明快に締め括って欲しかった。
せめて綺麗に閉じて欲しかった。
「ラストの意味とは??」
「結局誰が犯人?」と
話題になって口コミが広がっていくことのみを期待したラスト。
ひどい。

**

Fukaseは菅田将暉が作り出した幻影なのかと思いましたよ、
焼き鳥屋(?)の店主がFukaseを認識しなかったときは。
実は菅田将暉が全部の殺人をやっていたって話にするのかと思いました。
でも、高畑充希はFukaseと挨拶するし、小栗旬も監視カメラでFukaseを認識しちゃう。
でも、高畑充希も小栗旬も34の読者だからFukaseが見えるのかなとか思いました。
そしたら全然そんなことなかった!
Fukaseは実在するし、新興宗教が原因だった。
でも、丸投げのラストによって結局事件は謎に包まれたまま。
**
包丁で人間を刺す時に
グシャッ!ジュシャッ!っていう効果音付けんのやめてくんない?
あんな音するわけないんだから。
無音の方が怖いでしょ。
『ゾディアック』の湖畔でのカップル刺殺シーン観てよ。
死ぬほど怖いから。
恐怖とはあれのことですよ。
無音で刺さるから怖いし、
ほんとに痛い時って叫び声出ないよね。
だから怖いんじゃん。

**

ええええ、読んだの!!!???読まないでくださいって書いたのに。。。

映画『ラ・ラ・ランド』冒頭のトラフィックダンサーたちに今だに泣かされる

2021-06-21 | 映画イラスト
ラ・ラ・ランド La La Land
上映日:2017年02月24日製作国:アメリカ上映時間:126分
監督 デイミアン・チャゼル
脚本 出演者 ライアン・ゴズリング エマ・ストーン J・K・シモンズ フィン・ウィット ロックローズマリー・デウィット ミーガン・フェイ ジェイソン・フックス ジェシカ・ローテ ソノヤ・ミズノ ジョン・レジェンド






やっぱね、好きなんですよ『ラ・ラ・ランド』。


『ラ・ラ・ランド』好きってちょっと恥ずかしいんですけど。
公開時に劇場で観てその時は「あぁそうですか…」くらいだったけど
「夢」っていうものに囚われて、
目の前ににんじん吊るされてしまった馬のように、
抗いようもなく突き進む、
ほとんど狂人映画だとわかってから
もう、もう、もうAnother day of sun聴くと泣いちゃうんよね。




トラフィックダンサーたちへの僕なりの激賞イラスト!



****


冒頭の高速道路で踊るシーン。


traffic dancerと呼ばれる人たちがノーカットで踊るわけですけど、
何回見ても泣いちゃうし、ほんと恥ずかしいんだけど熱くなっちゃう。
スケボーがちょっとズレてるとことか泣いちゃう。
スケボーが着地する音は後から足してるから音楽に合ってるんだけど
どう見ても実際には早く着地しちゃってる。
ほんとに「生」なんだなと思ってしびれる。



このトラフィックダンサーさんが誰が誰なのかを解明したかったのですが、なかなか難しくて、、、
トラフィックダンサーの中でもメジャーどころは判明しましたけど。
例えば、途中でスペイン風の衣装で扇子持って踊る女性はソーラ・バーチのお母さん。

オープニングで車の中で歌い始める黄色の衣装の女性はReshma Gajjarさん。
帽子かぶって茶色の上下着てる男性はLou Beckerさん。

ラスト、自分が主役でした!みたいな感じで出てくる(コンダクターという役)背筋が素晴らしい女性はAmanda Balenさんで、レディガガのライブでも活躍するダンサー。





トラフィックダンサーだけでなく、、ちゃんと本編も最近見返しましたけど。
主役2人がほんとに変人ですね。。

いきなり歌って踊るのは仕方ないとしても、夢とか自分のこだわりに執着しちゃう結構な変人。この映画でいうところの狂人。。
夢見る2人のラブストーリーみたいな皮をかぶってますけど、やっぱ狂人映画ですよ。

好き。





『サイダーのように言葉が湧き上がる』チラシ用イラスト!

2021-06-19 | 映画感想
サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)
上映日:2021年07月22日製作国:日本上映時間:87分
監督 イシグロキョウヘイ
脚本 佐藤大
主題歌/挿入歌 never young beach
出演者 市川染五郎 杉咲花 潘めぐみ 花江夏樹 梅原裕一郎 中島愛 諸星すみれ 神谷浩史 坂本真綾 山寺宏一


7月22日公開 
サイダーのように言葉が湧き上がる のチラシイラスト(四コマ映画 )を描かせていただきました。


劇場で見かけた際には手に取ってみてくださいね!









『全裸監督シーズン2』配信開始前に 『シーズン1』をおさらいっ! 昭和から平成への文化史

2021-06-18 | ネタバレあり
全裸監督 シーズン2 THE NAKED DIRECTOR(2021年製作のドラマ)
公開日:2021年06月24日製作国:日本
原作 本橋信宏
監督武正晴 後藤孝太郎
脚本山田能龍 小寺和久
出演者 山田孝之 満島真之介 玉山鉄二 森田望智 恒松祐里 柄本時生 伊藤沙莉 冨手麻妙 後藤剛範 渡辺大知

『全裸監督シーズン2』が6/24から #Netflix で配信開始🎥
『全裸監督シーズン1』の復習記事のイラストを描かせていただきました!


めっちゃネタバレなのでnoteにはモザイクあり画像を貼っております。
無修正版のイラストはコチラです↓
https://filmaga.filmarks.com/articles/113407/


Netflix『全裸監督 シーズン2』配信前に、社会現象となったシーズン1あらすじをネタバレプレイバック!【イラスト解説付】 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/113407/


映画『逃げた女』ネタバレあり 全然逃げない猫と一向に帰らない男 

2021-06-17 | ネタバレあり
逃げた女(2019年製作の映画)
도망친 여자/The Woman Who Ran 上映日:2021年06月11日製作国:韓国上映時間:77分
監督 ホン・サンス
出演者キム・ミニ ソ・ヨンファ





シェルター案件かも知れない

もしも僕が女性で女性として観てたら満点だったと思う。
実はなかなか過酷な状況に置かれた女性の話ですよね。
逃げた方がいいし、シェルター案件かも知れない。






初のホンサンス監督作鑑賞。


いやぁ素晴らしかった。。いい映画だったぁ。。
ギヨームブラック っぽさありますね。
ヨーロッパの映画の匂いとお洒落さと攻撃性。



長回しと無機質なズーム


全部で10シーンくらいしかなかったんじゃないだろうか。
全てのシーンが長回しですね。
グイーッと無機質なズームが異様で。。ちょっと怖い。

第三者なんていると思ってない2人が喋ってるシーンなんだけど、あのズームのせいで「2人の会話を聞いてる観客」の存在に気付かされる。

淡々とした会話と映像を見せられ続けるんだけど、観客も映画の中に引き摺り込まれる。


**


解釈はそれぞれ



解釈はそれぞれだろうし、もしかしたら正解の解釈があるのかも知れないけど、なんか自分の解釈とか感じたことを大事にしたい系の映画。
観た後に色々調べたくない映画。
自分だけの鑑賞体験を大事にしたい。

**


ネタバレってか、勝手に感じたことは以下に



ラスト。
わざわざ劇場に戻ってラストシーン観て映画自体も終わりってのは、
終わらせたんでしょうね、自分で。
もしくは
終わらせるぞ!という決意?
夫の監獄に入れられたような生活をしていて
「愛されていて幸せ❤︎」って思いたいんだけど
会う人会う人必ず「私、5年間夫と離れてない」って話すってことは
助けれてくれってことですよね。
私異常なとこにいますよね、と。
でも先輩たちはあんまり助けてくれない。
「この夫婦やべえな」とちょっと思いつつも
惚気てんのかな?とか
そもそもそんなに仲良くないから踏み込んだことも言えないし的な感じ。
渋い小説家先生を恐らく奪った映画館の女性。
そして小説家先生。
なんとなく心の澱になっていたこの2人との再会でまた揺さぶられる。
私にはあんなにも激情した恋があったのに
なんで私は人生上がったみたいな、
全部達観したみたいな、
空気みたいな雰囲気で生きてんだろ、と。
夫に閉じ込められて諦めてる自分を終わらせたい。
長い髪をバッサリ切ったけど、
今時それくらいじゃ「何かあったの?」「まさか!」なんて心配してくれない。
そもそもみんなさほど興味もない感じ。
髪切ったくらいでは私は変われないらしい。
ちなみに、1人目の先輩とルームシェアの女性はレズずビアンカップルですかね。3階が彼女らの寝室なのでしょうか。2人の写真とかがあるから、「3階は汚ない」っつって入れさせてくれなかったんでしょうか。
それを教えてくれない先輩に対して「私を信頼してくれてないの?」と。
寂しいセリフ。
誰も気づいてくれない。
誰もさほど私に親身になってくれない。
こんな空虚な私を終わらせたい。
私自身が終わらせないと。
映画のラストシーンを観ることでこの映画(私)を終わらせたい。

****

そっか5年も夫によって束縛されてたから友達がいないんだ。
だから先輩や旧友を訪ねたわけだ。
で、しかも、数年ぶりに訪ねても疎ましがられるわけでもなく、特段温かく迎えられるわけでもなく、親身になってもらえるわけでもなく、ほんとに空気のように存在する彼女。
夫とっても誰にとってもなんとなく心地よくいられる人。
しかしそれは自分じゃあなかったんだね。

****

「映画を観るということ」ってのも『逃げた女』にはテーマとして含まれてる感じがしました。
劇伴の音が割れてたんですよ。
で、三つ目のシークエンスでの映画の劇伴と同じ音色でした。
だから、彼女(ガミ)のこの数日の冒険自体が映画だったんでしょうね。
映画的な数日。
映画的とは何かというと、
客観の視点があること、
何かしらの決着が付くってことですかね。
今まで自分の人生は夫に占拠されていたけど
客観的に思い返してみることで「あれ?」と思う。
そして、数日(映画としては80分)経過して、終わる。
何かしらの決着がついて、必ず終わる。
特に今回の彼女はわざわざ映画館に戻ってきてラストシーンとエンドロールをやったわけですから、かなり意図的に終わらせた。
何を終わらせたのか、何を終わらせようとしてるのかはわからない。
夫との結婚生活かな?
ほんとに終わらせられるのかもわからない。
でも大事なのは、
彼女が自分で終わらせられることに気づけたこと。
自分の人生を取り戻す第一歩として、人生のこのシークエンスを終わらせた(い)。




映画『フランクおじさん』  あなたは私の大事な宝物 この先も永遠に変わらない ネタバレあり

2021-06-15 | 映画イラスト
フランクおじさん(2020年製作の映画)Uncle Frank 製作国:アメリカ上映時間:95分 
監督 アラン・ボール
脚本 アラン・ボール
出演者 ソフィア・リリス ポール・ベタニー ジュディ・グリア スティーヴ・ザーン スティーヴン・ルート

目次
  1. 四コマ映画『フランクおじさん』
  2. 1970年代のアメリカが舞台
  3. 「目新しいものがない」「何度と語られてきた」「大きな起伏がない」
  4. 父がフランクの遺した衝撃の言葉
  5. さて、
  6. ここまで書いといてアレなんですが、
  7. 四コマ映画の5コマ目
  8. ネタバレは以下に









1970年代のアメリカが舞台


監督は1999年には『アメリカン・ビューティー』の脚本でアカデミー賞とゴールデングローブ賞を受賞したアラン・ボール。

彼はゲイであることを公表していまして、『フランクおじさん』の主人公フランクはゲイであり年代的にも大きな食い違いがないので、監督の自伝的作品なのかなと思いきやそうではないらしい。

むしろフランクのキャラクターと人生は、監督の父親に部分的に基づいている、とIMDbに書いてあります。ムムムッ!




イントロがだいぶ不快だけどちょっと我慢して

イントロがだいぶ不快なんですけど停止ボタンを押さないでください。このシーンは田舎の人たちの雑さ、卑猥さ、暴力的な男性性を批判してるシーンです。

その対比として直後に、スマートでおしゃれでカッコよくて知的で人の目を見て話ができるフランクおじさん登場してきます。姪であるベスは憧れています。

ラストシーンとの強烈な対比にもなっています。

イントロのシーンは不快なシーンですが、大事です。映画館だと閉じ込められてるからほとんどの場合最後まで見ますけど、配信だとね、、止めちゃうよね。めっちゃわかりますけど。この映画のイントロはぜひ我慢して通り過ぎるのを待ってください。




「目新しいものがない」「何度と語られてきた」「大きな起伏がない」


もしかしたらこの映画を「目新しいものがない」「何度と語られてきた」「大きな起伏がない」と感じる人も多いかと思います。
ゲイであることに罪悪感を感じている主人公と、
「いつまでも何をゴチャゴチャ言ってんの!」と叱る女性キャラ(ベス)。
主人公を支える明るいキャラのパートナー。
そして、宗教的問題でゲイである息子(家族)を憎んでしまう父。その父を止められない家族。
さらに、その父が亡くなったことでそれらの問題が一気に衝突し……という展開。
これらのキャラクターや展開はかなり典型的なものと言わざるを得ないですね。



父がフランクの遺した衝撃の言葉


ただ、父が残した遺書には家族それぞれに宛てた言葉がありまして、父がフランクに遺した言葉ってのがまぁ衝撃的で、、、これはちょっっっと予想しきれてなかった展開で、、、だいぶビックリしました。。
この遺書はすごいですよ。脚本監督がゲイであるからこそできた展開かと思います。この思い切り方、この攻撃性。「そんなに良い話になんかしてやんねえぞ」という怒りを感じますね。




さて、

「いつまでも何をゴチャゴチャ言ってんの!」とベスに叱られそうなので、僕の個人的な感想を。

あ〜ついにこの映画が来てしまったかという感じです。

この映画がめっちゃくちゃ好きなわけでもないし(『あのこは貴族』の方が好き)、
めっちゃくちゃ心打たれたわけでもないのですが(『燃ゆる女の肖像』の方が打たれた)、
初めて「この映画は俺を語ってる映画」と思えました。

僕の場合は、うわ〜この映画ビンビン来るわ〜ハマるわ〜と思っても、描かれているのが男女の恋愛だったり、男女の夫婦だったりすると、無意識で自分用に変換しながら観ている。

頭の中で自分用に変換することが当然だった頃は感じなかった違和感というか、めんどくささというか、不平等感みたいなものを感じるようになってきました。

めっちゃハマっても「言うても俺とは違うんだよなぁ…」という諦めが脳内にフワッと浮かんで、、なんかテンションが下がる。。

年間150本以上の映画を観ていてそのほとんどで「言うても俺とは違う」とちょっと感じてしまってた。

もちろん、自分とピッタリズッポリ合致する映画なんて存在し得ない(おそらく自伝的映画を撮った監督でさえも)のはわかってますよ。

でも、恋愛とか夫婦とか家族という大きなテーマで毎度毎度「言うても違う」と思っちゃうってのは、さみしい。

じゃゲイ映画ならば「最高!俺にピッタリズッポリ!」って思うかと言うと、そうでもない。むしろゲイ映画でそんなに好きな映画はないんよね、そう言えば。
近いからこそ違和が強調されちゃうのかもしれない。作品として「よくできてる」とか「好き」とかはあるけど、「あ〜も〜俺の映画」っていうゲイ映画はパッとは思い浮かばない。




ここまで書いといてアレなんですが、



『フランクおじさん』と僕がどれほど合致しているのかって言うことをここでツラツラ描く勇気はないです。。

ま、、、フランクおじさんほど僕はセクシーでも知的でもないけれど、年齢はかなり近いですね。

家族に割と真面目なキリスト教徒がいる、と言うのも同じですね。

あんなに豊かな髭はないけれども、長年同居しているパートナーがいるってのも同じですねぇ。

30代くらいからお互いの家族というものにも向き合って行動してきたし、40代になって、お互いの家族も歳をとって、死やそれに近いものを迎えるフェーズになってきて、おそらく『フランクおじさん』で描かれていることと近い何かが起きることでしょう(あんな激しいことは起こり得ないと思いますが…)。

ここまでの合致、というか、こういう合致の仕方をする映画って今までなかったもので。。。



四コマ映画の5コマ目



四コマ映画と言いつつ5コマ目があったりするのですが、これは映画の中でフランクが母親から言われるセリフです。

言われたことのない全ての人に。

言われたことないかもしれないけど、あなたはこのセリフを言われる価値がある人だということは揺るがない事実だよ、と。






ネタバレは以下に







父の葬式。弁護士が父の遺書を読み上げる。

家族それぞれに遺すものを読み上げるが、一向に長男であるフランクの名前が出てこない。
最後の最後でやっとフランクの名前が出てくる。弁護士はすでに内容を知っているので相当な覚悟で読み始める。

「そして私の長男。フランシス・マッケンジー・ブレッドソーJrには、男と不潔で不自然な倒錯的行為への嫌悪感と私の名前を継がせたことへの恥辱の念のみを遺すものとする。」

家族みんなショック。
ショックっつっても、フランクの兄は「え?俺の兄貴ゲイなの?」とビックリしていて、
母や姉、義理の妹は「最後の最後までフランクをこんなにも苦しめるなんて!」という悲しみ。

フランクは逃亡。若い頃に初めて付き合った(?)同年代の男の子(サム)を苦しめた後悔の念もあって、その男の子との思い出の湖へ。

その湖はサムが自殺(?)した場所。フランクはずっとそのことに苦しんでいた。
心配してフランクを探すベスとウォーリー(フランクのパートナー)。
湖に行くもフランクの姿はもうない。

翌朝、フランクは死んでしまったのか…という空気の中、酔っ払ったフランク登場。
責めるウォーリー。爆発するフランク。

フランク「お前はオカマ!変態!ホモ野郎!」とウォーリーに叫ぶ。
フランク、ウォーリーを殴って外出。

フランク、父の墓の前。
フランク「面と向かって言えなかったってことだろ。腰抜けめ。」
父の墓前に備えてある花を奪って、サムの墓に備える。
フランク、泣き崩れる。「僕はなんてことを。許してくれ」
フランクはサムに対して父親から言われた言葉をぶつけてしまった過去がある。フランクは父から「お前はオカマ!変態!ホモ野郎!」と言われた。それをサムに言ってしまった。その後、サムは湖で死んでしまった。

ウォーリー登場。
フランク「僕に家族はいない」
ウォーリー「僕が君の家族だ」
抱き合う2人。
そこにベス。
ベス「どんな人間になるかは自分自身の意思だって私に言ったけど、あれは嘘?あの言葉が私の人生を変えた。でも今は周りの人に否定されたら本当の自分になれないって言ってるじゃない」

フランク「僕の家族に一緒に会いに行かないか」とウォーリーに。
フランクとウォーリー、家に戻る。

弟「何も問題はない。兄さんは兄さんだ。俺にとってはそれだけだ」
兄弟、抱きしめ合う。
フランク「紹介するウォーリーだ」
ウォーリーが弟をハグする。
弟「……問題ない」

キティ(弟の妻)「この出来事のおかげであなたのことをもっと好きになったわ。私の美容師もゲイよ。今度ぜひ紹介させて」
フランク「ウォーリー、義理の妹のキティだ」
ウォーリー、キティの頬に挨拶のキス。
キティ「あなたってすごく良い匂いがするわ。他の人もみんなそう?」
フランクとウォーリー「…………そう!」

ネヴァ(フランクの姉?)「ウォーリー!ずっと会いたいと思っていたのよ!」
ボー(ネヴァの夫)「悪いが失礼するよ」と去っていく。
ネヴァ「あの…」
フランク「良いんだ、どうってことない」


おば(父の姉)「昔ね、ダンス教師をやってる男がいたの。ラテン系だかメキシコ人だか。確かカルロスだかアントニオだかそんな名前だったと思うけど、みんな彼のことをこう呼んでた、チビのプレッツェル。なんとオカマだったの。オカマはあなただけじゃないのよ。最近その手の人が多いそうね。みんな地獄に堕ちる。そうよね」
フランク「わかってるよ、今のが一番おばさんにとって控えめな言い方だってことがね」
おば、キョトーンとして何もわかっていない表情。自分で何言ってんのか、何やってのかわかってない人。


フランクの母「フランク、お前は私の大事な宝物。この先も永遠に変わらないわ。」
母に抱きついて泣くフランク。
母「大丈夫よ、フランク。お父さんはずっと恐れてたわ。そうなんじゃないかって。お父さん、ジャズパーおじさんを嫌ってたの覚えてる?」
フランク「ジャズパーおじさんが?」
母「ええ、そうなの。だからもしかしたらあなたも、と。」
フランク「知ってたの?」
母「母親だもの」
母「あの人は?」
フランク「こちらはウォーリー」
ウォーリー「ずっとお会いしたいと思っていたんです。ブレッドソーさん、この度はお気の毒でした。」
母「ありがとう。顔の髭の量が髪の毛と同じね」
ウォーリー「ブレッドソーさん、あなたにプレゼントが」とブレスレットをプレゼントする。
母「お母さんと呼んで」
ウォーリー「お母さん」
母「フランク、あなたは外して。」母とウォーリーが2人で仲良く話し始める。

フランク、庭へ。
途中の廊下でネヴァとボーの会話。
ネヴァ「私の弟よ。間違ってない」
ボー「聖書では罪と書かれてる」
ネヴァ「聖書では奴隷の使用が正当化されてるじゃない!今は20世紀よ」
フランク「元気かい」
ベス「ええ、おじさんは?」
フランク「まぁまぁ」

その後、裏庭で家族集まってほのぼのと笑顔で会話。
冒頭での不快な家族の集まりとは天と地ほどの差がある。
ベス「私たち一人一人がいつも望んでいた本当の姿がこの午後のひとときの中に。この裏庭にあった。」


おわり


自分が望んでいた本当の姿になれたのはフランクだけではなかった。

母は息子に「そのままの姿で愛してる」と言える自分になれた。

弟は、父をマネて暴力的な男性性を発揮した自分から脱却できそう。

キティ(義理の妹)は弟や義理の父の手前、フランクに愛情を示すことができてなかったけど、ストレートに愛情を示せるようになった。

姉はもしかしたら今まで夫に歯向かえてなかったけど、弟を守るために夫婦対等に戦える自分になれたのかも。

ベスも、今では家族をどこか見下して諦めていたけど、それぞれが愛すべき人物だと知ることができた。

ウォーリーも2年に一度国に帰っているけど、偽の妻の写真を持って帰っていた。そのウォーリーもついに嘘をつくことなく家族を得ることができた。



『復讐者たち』まだまだ知らないことあるのか… ナチス・ホロコースト映画

2021-06-14 | 映画イラスト
復讐者たち(2020年製作の映画)Plan A 上映日:2021年07月23日製作国:ドイツイスラエル上映時間:110分
監督ドロン・パズ ヨアヴ・パズ
脚本ドロン・パズ ヨアヴ・パズ
出演者アウグスト・ディール シルヴィア・フークス マイケル・アローニ


目次
  1. 復讐したい気持ち
  2. 正しい復讐?
  3. ホロコーストとは、
  4. さて、この『復讐者たち』。
  5. キャラクターの描き方
  6. サスペンス映画としての作りが上手いんだと思います。


復讐したい気持ち


まだまだホロコースト関連については知らないことあるんだなと驚きました。。
そりゃ復讐したい気持ち湧き上がるよね。
ナチスドイツは負けましたっつってもナチの残党は残っていて思想も変えずに普通に生活してるのを見たら、
自分や自分の家族をされたことを「お前も体験しろよ」って思うのも無理からぬことだと思いますよ。

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正しい復讐?

『復讐者たち』四コマ映画→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2737




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ホロコーストとは、


ナチス政権とその協力者による約600万人のユダヤ人やロマ、同性愛者などの組織的、官僚的、国家的な迫害および殺戮のこと。

僕が10代の頃に、『シンドラーのリスト』(1994)と『ライフ・イズ・ビューティフル』(1999)が大ヒットしまして、おそらくこれら映画でホロコーストというものが広く知られたんだと思います。

『ベント/堕ちた饗宴』(1997)や『ソフィーの選択』(1983)などもありますがそんなに多くの人が見たとも思えず(僕もまだ見てませんし)。

学校の授業では習ったけれども、映画以外にナチスやホロコーストについて広く知られる機会もそんなにないでしょうし。

その後もナチスやホロコーストを扱った映画はたくさん作られて、どんどん溜まっていって、玉石混交ではありますけど、題材が題材なだけに作り手も本気だからか、名作やサスペンス的に面白い映画も多いです。

エンタメ映画、コメディ映画の皮をかぶってるけど実は結構なナチス映画!ってのも出現してきましたね。
いろんな角度で描かれるのはいいことだと思います。

『サラの鍵』(2010年)、『否定と肯定』(2016年)、『帰ってきたヒトラー』(2015年)、『サウルの息子』(2016年)、『ハンナ・アーレント』(2013)あたりもオススメです。

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さて、この『復讐者たち』。


面白い。
ナチス側はほとんど描かれずに、ナチスに苦しめられたユダヤ人たちの中でも様々な考えの人がいて、その入り組んだ感じが面白い。

ちゃんとした手順で間違いもなく残酷でもない処刑をしていきたい派と、
(↑もちろんこれだって法律違反だし倫理的にもダメだわな)
過激にサクサク殺していくしなんならドイツ人全員を殺す計画を遂行してる派の対立。

***


キャラクターの描き方


ナチス側を描かないのも話に合ってますし
人物がそれぞれ的確で、人数合わせみたいなキャラもいなくて、各々が活躍していたのも良かったです。

過激派ナカムのリーダーのキャラクターも良いですね。

そんなに出番はないんですけど、落ち着いた人物で淡々と喋るので、逆に「この人も辛い目にあったんだなぁ」とか「復讐の鬼に囚われてるんだなぁ」と、こっちが勝手に想像を膨らませるキャラクター。

素晴らしいじゃないですか。
この映画の一番の悪役なはずなのに。


***


サスペンス映画としての作りが上手いんだと思います。


多くの人が許容できる(できそうな)復讐を遂行する側と
さすがにそれはちょっと…と思う復讐を遂行する側の対立が面白いし。

その計画を止めるスパイとして送り込まれた人がそっちに飲み込まれてしまう感情の流れもよくわかる。

なので結局は戦争って100パー絶対ダメだし、人権を軽んじてるといつまで経っても問題は起き続けるんだという思いを新たにしますよ。


***


実話をベースにしてまして、確かにほんとにこの恐ろしい復讐が計画されていてある程度進められていた事実はあるようです。

物語の根幹はリアル。

ネタバレになるかもしれないので言えませんが、エンドロールに「あ、リアルなんだ…」って思わせるあの演出がありますし。

ただ、エンタメ映画としての構造もありまして。
ネタバレせずに書けないや。

公開されたらネタバレ書きます〜。


****


映画『逃げた女』 彼女は何から逃げた?  ネタバレあり

2021-06-13 | ネタバレあり
逃げた女(2019年製作の映画)
도망친 여자/The Woman Who Ran上映日:2021年06月11日製作国:韓国上映時間:77分
監督 ホン・サンス
出演者キム・ミニ ソ・ヨンファ


満点でもいい。


もしも僕が女性で女性として観てたら満点だったと思う。
実はなかなか過酷な状況に置かれた女性の話ですよね。
逃げた方がいいし、シェルター案件かも知れない。

**


初のホンサンス監督作鑑賞。


いやぁ素晴らしかった。。いい映画だったぁ。。
ギヨームブラック っぽさありますね。
ヨーロッパの映画の匂いとお洒落さと攻撃性。



長回しと無機質なズーム


全部で10シーンくらいしかなかったんじゃないだろうか。
全てのシーンが長回しですね。
グイーッと無機質なズームが異様で。。ちょっと怖い。
第三者なんていると思ってない2人が喋ってるシーンなんだけど、あのズームのせいで「2人の会話を聞いてる観客」の存在に気付かされる。
淡々とした会話と映像を見せられ続けるんだけど、観客も映画の中に引き摺り込まれる。


**


解釈はそれぞれ



解釈はそれぞれだろうし、もしかしたら正解の解釈があるのかも知れないけど、なんか自分の解釈とか感じたことを大事にしたい系の映画。
観た後に色々調べたくない映画。
自分だけの鑑賞体験を大事にしたい。

**


ネタバレってか、勝手に感じたことは以下に









ラスト。

わざわざ劇場に戻ってラストシーン観て映画自体も終わりってのは、
終わらせたんでしょうね、自分で。

もしくは
終わらせるぞ!という決意?

夫の監獄に入れられたような生活をしていて
「愛されていて幸せ❤︎」って思いたいんだけど
会う人会う人必ず「私、5年間夫と離れてない」って話すってことは
助けれてくれってことですよね。

私異常なとこにいますよね、と。

でも先輩たちはあんまり助けてくれない。
「この夫婦やべえな」とちょっと思いつつも
惚気てんのかな?とか
そもそもそんなに仲良くないから踏み込んだことも言えないし的な感じ。
渋い小説家先生を恐らく奪った映画館の女性。

そして小説家先生。
なんとなく心の澱になっていたこの2人との再会でまた揺さぶられる。
私にはあんなにも激情した恋があったのに
なんで私は人生上がったみたいな、
全部達観したみたいな、
空気みたいな雰囲気で生きてんだろ、と。

夫に閉じ込められて諦めてる自分を終わらせたい。
長い髪をバッサリ切ったけど、
今時それくらいじゃ「何かあったの?」「まさか!」なんて心配してくれない。

そもそもみんなさほど興味もない感じ。
髪切ったくらいでは私は変われないらしい。

ちなみに、1人目の先輩とルームシェアの女性はレズずビアンカップルですかね。3階が彼女らの寝室なのでしょうか。2人の写真とかがあるから、「3階は汚ない」っつって入れさせてくれなかったんでしょうか。

それを教えてくれない先輩に対して「私を信頼してくれてないの?」と。
寂しいセリフ。

誰も気づいてくれない。
誰もさほど私に親身になってくれない。

こんな空虚な私を終わらせたい。
私自身が終わらせないと。

映画のラストシーンを観ることでこの映画(私)を終わらせたい。


****

そっか5年も夫によって束縛されてたから友達がいないんだ。

だから先輩や旧友を訪ねたわけだ。
で、しかも、数年ぶりに訪ねても疎ましがられるわけでもなく、特段温かく迎えられるわけでもなく、親身になってもらえるわけでもなく、ほんとに空気のように存在する彼女。

夫とっても誰にとってもなんとなく心地よくいられる人。

しかしそれは自分じゃあなかったんだね。


****


「映画を観るということ」ってのも『逃げた女』にはテーマとして含まれてる感じがしました。

劇伴の音が割れてたんですよ。
で、三つ目のシークエンスでの映画の劇伴と同じ音色でした。

だから、彼女(ガミ)のこの数日の冒険自体が映画だったんでしょうね。
映画的な数日。

映画的とは何かというと、
客観の視点があること、
何かしらの決着が付くってことですかね。

今まで自分の人生は夫に占拠されていたけど
客観的に思い返してみることで「あれ?」と思う。

そして、数日(映画としては80分)経過して、終わる。

何かしらの決着がついて、必ず終わる。

特に今回の彼女はわざわざ映画館に戻ってきてラストシーンとエンドロールをやったわけですから、かなり意図的に終わらせた。

何を終わらせたのか、何を終わらせようとしてるのかはわからない。

夫との結婚生活かな?

ほんとに終わらせられるのかもわからない。

でも大事なのは、
彼女が自分で終わらせられることに気づけたこと。

自分の人生を取り戻す第一歩として、人生のこのシークエンスを終わらせた(い)。


過去のLGBTQs関連四コマ映画集④『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれか』『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』『詩人の恋』『天空の結婚式』

2021-06-09 | 映画イラスト
今月はプライド月間! 

過去のLGBTQs関連四コマ映画集⑤🌈




ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから

The Half of It 製作国:アメリカ上映時間:104分
監督 アリス・ウー
脚本 出演者リア・ルイス ダニエル・ディーマー アレクシス・レミール




ジョン・F・ドノヴァンの死と生

The Death and Life of John F. Donovan 上映日:2020年03月13日製作国:カナダイギリス上映時間:123分
監督 グザヴィエ・ドラン
脚本 グザヴィエ・ドラン ジェイコブ・ティアニー
出演者 キット・ハリントン ナタリー・ポートマン スーザン・サランドン ジェイコブ・トレンブレイ





詩人の恋

시인의 사랑/The Poet and the Boy 上映日:2020年11月13日製作国:韓国上映時間:110分
監督 キム・ヤンヒ
脚本 キム・ヤンヒ
出演者 ヤン・イクチュン チョン・ヘジン チョン・カラム




天空の結婚式

Puoi Baciare Lo Sposo 上映日:2021年01月22日製作国:イタリア上映時間:90分
監督 アレッサンドロ・ジェノヴェージ



過去のLGBTQs関連四コマ映画集③『アメリカンスリープオーバー』『ムーンライト』『トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして』『タンジェリン』

2021-06-08 | 映画イラスト
今月はプライド月間!
過去のLGBTQs関連四コマ映画集③





上映日:2016年08月27日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:97分
ジャンル:恋愛
監督デヴィッド・ロバート・ミッチェル
脚本デヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演者クレア・スロマ マーロン・モートン









Moonlight 上映日:2017年03月31日製作国:アメリカ上映時間:111分
ジャンル:ドラマ
監督バリー・ジェンキンス
脚本バリー・ジェンキン スタレル・アルバン・マクレイニー
出演者マハーシャラ・アリ シャリーフ・アープ デュアン・"サンディ"・サンダーソン






Disclosure: Trans Lives on Screen 製作国:アメリカ上映時間:107分
監督サム・フェダー








Tangerine 上映日:2017年01月28日製作国:アメリカ上映時間:88分
監督ショーン・ベイカー
脚本ショーン・ベイカー
出演者ジェームズ・ランソン クルー・ギャラガー マイヤ・テイラー キタナ・キキ・ロドリゲス




過去のLGBTQs関連四コマ映画集② 『女王陛下のお気に入り』『ナチュラルウーマン』『よこがお』

2021-06-06 | 映画イラスト
今月はプライド月間! 

女王陛下のお気に入り 



The Favourite 上映日:2019年02月15日製作国:アイルランドアメリカイギリス上映時間:120分
監督 ヨルゴス・ランティモス
脚本 デボラ・デイビス トニー・マクナマラ
出演者オリヴィア・コールマン レイチェル・ワイズ エマ・ストーン ニコラス・ホルト


ナチュラルウーマン

 


Una Mujer Fantástica/A Fantastic Woman 上映日:2018年02月24日製作国:アメリカドイツスペインチリ上映時間:104分 
監督セバスティアン・レリオ
脚本セバスティアン・レリオ Gonzalo Maza
出演者 ダニエラ・ヴェガ フランシスコ・レジェス





よこがお



よこがお(2019年製作の映画)
上映日:2019年07月26日製作国:日本フランス上映時間:111分
監督 深田晃司
脚本 深田晃司
出演者筒井真理子 市川実日子 池松壮亮




過去のLGBTQs関連四コマ映画集①『シェイプ・オブ・ウォーター』『スリー・ビルボード』『グリーンブック』

2021-06-05 | 映画イラスト
今月はプライド月間!

過去のLGBTQs関連四コマ映画集①🌈

まず、有名映画でゲイの登場人物がいる映画3本。ハッキリと明示されているものもあれば、深読みしないとわからないもの、宣伝の時には隠されていた(ネタバレ厳禁要素として)もの、などです。


シェイプ・オブ・ウォーター


The Shape of Water 上映日:2018年03月01日製作国:アメリカ上映時間:124分
監督
ギレルモ・デル・トロ
脚本
ギレルモ・デル・トロ
出演者
サリー・ホーキンス マイケル・シャノン




スリー・ビルボード


Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 上映日:2018年02月01日製作国:アメリカイギリス上映時間:115分
監督
マーティン・マクドナー
脚本
マーティン・マクドナー
出演者
フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソンサム・ロックウェル




グリーンブック


Green Book 上映日:2019年03月01日製作国:アメリカ上映時間:130分
監督
ピーター・ファレリー
脚本
ニック・ヴァレロンガ ピーター・ファレリー ブライアン・クリー
出演者
ヴィゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ





映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』 意図がイマイチ分からない

2021-06-04 | 映画感想
ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)
Hillbilly Elegy 上映日:2020年11月13日製作国:アメリカ上映時間:115分
監督
ロン・ハワード
出演者
エイミー・アダムス グレン・クローズ


目次
  1. ヒルビリーについての映画かと思いきや
  2. お姉さんがサラリと現れたことであのシーンのクソ感を和らげてるけど
  3. 演技は女優たちの熱演対決っ!


ヒルビリーについての映画かと思いきや


う〜〜〜む。。。
この映画の意図がイマイチ分からない。。

ヒルビリーの歴史や文化や問題を
生々しく語ってくれる映画かと思いきや
なんか、、世界のどこにでもある話になっちゃってない??

ヒルビリーっていうすごいオリジナリティの強い地域の話なのに
全然深く細かく描かれてない。
衰退した地方の貧困の話。
「ある家族が貧困の連鎖を断ち切りました」っていう話にしか受け取れないんだけど。
もっと個性的で情報量の多い映画になってたら
面白かっただろうし
勉強にもなったんだけど。


**


お姉さんがサラリと現れたことであのシーンのクソ感を和らげてるけど

しかもこれ主人公による自伝が原作でしょ。
「貧困の連鎖を断ち切ることに成功した俺っ!」の話。
この主人公、ものすごく良い青少年に描かれてますよね。
(実話なら仕方ないけど…)
純朴で努力家で正義感が強くて家族思いでって、、
よくもまあ自分自身をこんなにも好感度高そうな人物として描けるもんだ。
成功する人ってのはすごいね。

お母さん置いてくシーン、ズルすぎない?????
お姉さんがあのタイミングで現れたのは死ぬほど偶然だよね。。


**


演技は女優たちの熱演対決っ!


グレン・クローズやエイミー・アダムスの演技もそりゃすごいし、
エンドロールに出てくるご本人映像を見るとめっちゃ似てるのでびっくりしますけど、
美味しい役をゲットした演技派スターが自分の技能をアピールしているように見えちゃって、、
それってこの映画の内容と関係ないんよね。。

ていうか
やっぱこの映画が何をしたいのかがよくわかんないから
せっかく素晴らしい演技をしていたとしても
映画自体と歯車があってなくて
熱演すればするほど演技だけが浮くんでしょうね。

**

俺(主人公)って最高だろ!?っていうメッセージは強く発信されていたけど、
ヒルビリー全体についてはあんまよくわかんなかった。。

映画『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』 PrideMonth2021 LGBTs

2021-06-02 | 映画イラスト
ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気(2015年製作の映画)
Freeheld上映日:2016年11月26日製作国:アメリカ上映時間:103分
監督
ピーター・ソレット
脚本
ロン・ナイスワーナー
出演者
エリオット・ペイジ(エレン・ペイジ) ジュリアン・ムーアス ティーヴ・カレル













以下、2016年に書いた感想です



主演の2人の演技が素晴らしい。
ジュリアンムーアはもうこれくらいの名演をしても賞もらえないんですね。。
普通なら総ナメ状態だと思いますが、ジュリアンムーアはこれくらいできて当然だになっちゃうのか。。
エレンペイジも強がった感じがとても可愛かったし、血の通った演技で素晴らしかった。
LGBTってことになると、社会問題風だったり、妙に暗かったり、『禁断の〜』って付いたり、バカみたいに明るかったりするけど、この映画はあくまで自然。
権利運動に巻き込まれては行くけど、中心の2人を落ち着いて描いているのでとても好感がもてました。