映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

公開70周年記念!『羅生門』(1950)四部作!四コマ映画 ネタバレ

2020-11-25 | ネタバレあり
羅生門 デジタル完全版

「羅生門 デジタル完全版」ってのを買いまして、画質も音質も最高でした。

公開当時はこの品質で上映されていたとのことなのでリマスターではなく「完全版」と名付けられた、とのこと。

『羅生門』を観たのはこれで3回目ですけど、やっぱこんなに情報が得られたのは初めて、、って感じです。。

画面からの情報も多いし、音もいい。

***

あと、字幕がありがたかった。

ほんと言うと字幕目的で買ったんですよ。。

当時の録音技術でしょうがないし
この頃の日本映画ってほんとに早口なので、、
3割くらい何言ってんのかわかんかなった。。

それがなんのストレスもなくばっちりセリフがわかりましたよ!!

***


それと「四コマ映画」ってのをコツコツ描いてまして
それがちょうど200本(!)に到達するタイミングでしたので
この羅生門をズバッとネタバレ込みで描いてみました。
お時間ございますればご高覧いただけますとめっちゃ嬉しいです!

公開70周年記念!四コマ映画『羅生門』(1950)四部作!(一切お金もらってません!)


■その0 『導入』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2604
多襄丸:俺が金沢を殺した
真砂(金沢の妻):いやいや私が…
金沢:は?俺は自害したの!





■その1 『証言❶ 多襄丸』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2605
最初は金沢を殺すつもりはなかったけどヤツの妻が「どっちか死ね」って言うから金沢を殺したよ。俺はめっちゃ強い男だからな!まさに俺は漢字の漢と書いて文字数





■その2 『証言❷ 真砂(金沢の妻)』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2606
私が多襄丸に手込めにされてる間も夫はそんなに抵抗しなかったですし、縄解かれても微動だにせず蔑んだ目でじ〜っと見てきたから流石に耐えきれなくて私文字数



■その3 『証言❸ 金沢(真砂の夫)』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2609
多襄丸にキスされた妻はなんかうっとりして完全にヤツに心奪われちゃって「私を連れってって♡」とか言い始めて挙げ句の果てに妻は私を殺せと多襄丸に言うもんだからもう私文字数



↓四コマ映画200本目!! イエ~~イ!!
■その4 『証言❹ 杣(薪)売り→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2610
俺はこの事件を客観的に最初から最後までずっと見てた。俺は関わりたくなくてただただ見てたんだ。俺は第三者だ。嘘をつく理由なんてないんだ。俺が話すことこそ文字数








以下、3年前に見た時の感想のコピペです


20年ぶりくらいに観たけどおっもしろいわ。こんなに面白かったっけ。。
67年前の映画。

日本映画で初めて海外映画祭でグランプリを獲得した作品とのこと。

****

新井浩文似の坊さんの1人語り
「虫ケラのように殺されたり死んだりする人の話はいくらでも聞いた。でも、今日聞いた話ほど恐ろしい話はない。そうだ。恐ろしい話だ。今日という今日は人の心が信じられなくなりそうだ。」
こんなに心を掴むイントロありますかいな。

この時期はまだチャンバラのシーンで刀が当たってもチャキーンチャキーンていう音は鳴らないんだね。

チャップリンかトムとジェリーのように場面に添った音楽。

妻パートではすっとボレロが流れる。

同一リズムでいつ終わるとも知れない女の昼ドラのような話を「嘘っぽいよね〜」とからかっているようにも聞こえる。

****

20年くらい前に見たけどスッカリ忘れてた。

三人目の証言者は誰だったかと思えば、死んだ夫を降ろした巫女だった。。
しかし正確に事件現場を再現できる巫女。

1番ありえそうなのが夫の話だけど、いかんせん喋ってるのは巫女。。

多襄丸の話が1番シンプルだし嘘つくキャラでもなさそうだけど1番つまらない。

妻の話は1番盛り上がるけど同時に1番嘘くさい。

どれがホントなんだ??

などと思っていると、4人目の証言者が!
そして、ものすごく面白くてものすごく情けなくて1番怖い話。。

一体、人間とは信じるに値する存在なのか。

映画のラストには豪雨が止んどる。

証言❹ 杣(薪)売り 『羅生門』(1950) 四コマ映画 その4 ネタバレ

2020-11-25 | ネタバレあり
🎉四コマ映画200本目🎊 イエ〜〜イ!!

『羅生門』四コマ映画 その4(ラスト)

証言❹ 杣(薪)売り


「同じ出来事を複数の登場人物の視点から描く手法は、本作により映画の物語手法の1つとなり国内外の映画で何度も用いられた」とのこと。





『ボーイズ・イン・ザ・バンド』 オカマが自殺するとは限らない。芝居とは違う。 

2020-11-24 | ネタバレあり
The Boys in the Band。 Bandは絆という意味。

ボーイズ・イン・ザ・バンド(2020年製作の映画)
The Boys in the Band
製作国:アメリカ / 上映時間:121分
監督
ジョー・マンテロ
脚本
マート・クロウリーネッド・マーテル
出演者
ジム・パーソンズ ザカリー・クイント マット・ボマー アンドリュー・ラネルズ チャーリー・カーヴァー


「僕たちがこんなにも自分たちを嫌わないでいられればいいのに。そうなれれば楽なのに。」

お前らみたいなもんは自分を憎みながら死んでいけっていうメッセージを発していた映画を先日観て
まだ心が呪われたままだったので
こう言う映画を見て浄化できるのはありがたい。



主要人物9人を演じるのが全員ゲイの俳優さんなんですね。

マット・ボマーとジム・パーソンズがゲイを公表してるのは知ってたけど
そう言えばザカリー・クイントもかぁ。
他の人たちも自然だなぁ上手いなぁと思ってたら
他の6人もそうなんですね!

なんかすごいですね、アメリカは。。
『真夜中のパーティー』(1950)のリメイクやるぞ!
っつって
全員ゲイの俳優でやるぞ!
っつったら
ちゃんとスター俳優が3人集まるし
他の俳優さんも演技がうまくて見た目も良い人をちゃんと揃えられる。。

スター俳優がゲイを公表して
それが成功して
後に続く才能が現れて
どんどん層が厚くなって
こんなにも豊かな作品を作ることが出来る。。。

まずはこの事実が持つパワーがすごい。。

進むべき道を照らしている。
先日見た映画と大違い。
先日観た、
「社会規範から外れた人間はみな非業の死を遂げる映画」とは大大大大違いっ!



「オカマが自殺するとは限らない。芝居とは違う。」

「既婚者は必ずノンケ?」

今作は1968年の舞台、
1970年の同名映画『真夜中のパーティー』のリメイクとのことだけど、
話自体が今でもほんとに面白い。

前半キャンキャンキャンキャン喋りまくるのはちょっと辛いけど、、
電話ゲームが始まってからの地獄展開が良いですね。

主人公はゲイである自分を憎んでいるマイケル。
そのマイケルが電話ゲームを仕掛ける。
ゲイを謳歌してる男を痛めつけたいし
ゲイを隠してノンケのフリして生きてる男も暴きたい。
とにかく自分がゲイなのにゲイを苦しめたい。
なぜなら自分がゲイであることに苦しんでいるから。
普通に生きてたり、
ましてや幸せそうにしてるゲイが憎い。


もとの『真夜中のパーティー』(1970年)は観ていないのですが、
80.03.05放送「真夜中のパーティー」 https://youtu.be/k3AoCpiDq08
 ↑ ↑ ↑
大塚隆史さんが1980年のラジオ「スネークマンショー」でパーソナリティーをやられていた時の録音を聴きますと、
大きな改変はないようですし
割と寂しい感じでラストも同じようですね。
ただ今回のラストは
パーティーが終わった各人の様子をコラージュで見せていくんですが
なかなかそれぞれに含みがあって面白い。

とくに
マット・ボマー演じるのドナルドはソファで本を読むんですけど
それが女性解放運動の本なのです。
それを読んでスッと部屋の外を見る。
「僕たちゲイもまだまだ大変だけど、彼女らもどうだろうか?」とこの部屋の外にいる〝女性たち〟へ視線を送る。
こんな繊細な演出も元の映画にあったんだろうか。
やっぱ観てみないとなぁ。

字幕担当者の力量(愛?)もすごい。

電話で
ハローって3回繰り返すだけなのに
1回目は
もしもし
2回目は
デルバード(相手の名前)
3回目は
ねえ
ものすごく登場人物の感情に寄り添った訳。
素晴らしい。
ありがとう。


ラストネタバレは以下に。





マイケルは、アランは大学時代の友人ジャスティンのことを愛していたと主張。
マイケル「ジャスティンは言っていた。アランと何度も寝たことがある、と」
アラン「それは嘘だ」
マイケル「今ジャスティンに電話して、愛してると言え」
アランは電話をかける。
そしてアランは電話に出た相手に「愛してる」と言った。
マイケルは受話器を奪って
「ジャスティン、聞いたか!このクソ野郎は君のことを愛してる、と…」
しかし、電話の相手はアランの妻だった。
アランは妻に電話して「愛してる」と言ったのだった。
アランは電話を切り、部屋を出ていく。
ハロルド「マイケル、君はゲイである自分を憎んでいる。どれだけ神に祈ろうとも、カウンセリングを受けようとも、君は永遠にゲイだ。死ぬまでずっと。」
ハロルド、カウボーイと一緒に退出。
タクシーでいい雰囲気のふたり。
エモリーとバーナードも退出。
バーナードは電話をしたことを後悔している。
コーヒーショップでふたりでコーヒーを飲む。
エモリーが鼻血を流す。
マイケル、パニックになる。
ドナルドがマイケルを抱きしめる。
マイケル「誰の言葉だっけ。〝幸せなゲイがいるとしたらそれは死んだゲイだ。〟」 
ドナルド「そんなの誰が言ってた?」
マイケル「僕たちがこんなにも自分たちを嫌わないでいられればいいのに。そうなれれば楽なのに。」
ドナルド「わかるよ」
ドナルド「アランはどうして泣きながら君に電話してきたんだろう」
マイケル「父が死に際に言っていた〝人生が分からない〟」
マイケルは一人で深夜のミサへ。
ハンクとラリーは仲直りしてセックス。
アランはバーで一人、頭を抱えつつ酒を一口飲む。
ドナルドはソファに寝転びながら本を読む。
1962年に出版されたドリス・レッシングの「ゴールデンノートブック」。
女性の自立をテーマにした作品で女権拡大運動のバイブルになっていた、とのこと。
ドナルドは本を読みつつ、窓の外に目をやる。
苦しいのはゲイだけじゃない。
この部屋の外にいる女性たちもだ。
マイケルは、ここにはこたえはないとばかりにミサを早々に抜け出し、夜の住宅街を走る。
道の真ん中を走る。

終わり

証言❸ 金沢 『羅生門』(1950) 四コマ映画 その3 ネタバレ

2020-11-24 | ネタバレあり


証言❸ 金沢(真砂の夫)

多襄丸にキスされた妻はなんかうっとりして完全にヤツに心奪われちゃって挙げ句の果てに妻は私を殺せと多襄丸に言い始めたからもう私もろもろイヤになっちゃって………






証言❷ 真砂『羅生門』(1950) 四コマ映画 その2 ネタバレ

2020-11-21 | ネタバレあり

四コマ映画  『羅生門』 その2

証言❷ 真砂(金沢の妻)

私が多襄丸に手込めにされてる間も夫はそんなに抵抗しなかったですし、縄解かれても微動だにせず蔑んだ目で見てきたから耐えきれなくて私、夫を…





 

公開70周年記念

映画「泣く子はいねぇが」ネタバレあり

2020-11-21 | ネタバレあり
泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)
上映日:2020年11月20日 / 製作国:日本

監督
佐藤快磨
脚本
佐藤快磨
主題歌/挿入歌
折坂悠太
出演者
仲野太賀(太賀)吉岡里帆 寛 一 郎 山中崇 田村健太郎 古川琴音 松浦祐也 師岡広明 高橋周平 板橋駿谷


素晴らしい。
気になる箇所がないわけじゃない。
でも良い箇所、好きな箇所がそれを凌駕する。
いやぁぁぁぁぁぁ。。


古臭い邦画じゃない。

ねっとりしたてカビくさい邦画じゃない。
かと言って嘘くさいキラキラドンチャン邦画でも、
ほっこり薄っぺら邦画でももちろん、ない。
ネオ日本映画ですよ!

**
ギャグもいちいち笑っちゃった。
ゲラゲラ笑いじゃないですけどね、クスクスと。
日本映画のギャグ=大袈裟で臭くて滑ってて寒くて気まずい
ものだったけど
ちゃんと面白いなんて。。
ありがとう。。。マジで。。。

**

罠が仕掛けられてますね、前半に。
でもまこれはネタバレだろうからぐっと我慢。
ネタバレは下の方に。

まず観光映画なんですね。

男鹿の。秋田の。
上映前に男鹿のCMが流れたので
ゲッ観光映画か…と。。
観光映画って、、かなり期待値下がりますよね。。。
その土地の文化に良いイメージ持ってもらうために
無駄に景勝地を回ったり
無駄に賛美したり。。
物語や登場人物はそのためにしか存在しないから、映画としてはイマイチなのが多いイメージ。

**

ネオ観光映画。
景勝地は回りますけど、
そこでめちゃくちゃやっちゃいけないこととかするし、、
そこを背景になかなか最悪な会話をしたりする。。

この映画の大モチーフである〝なまはげ〟自体も
ちょっとイジってる感あるし
結構マイナスイメージもちゃんと映してる。

で結局、僕が今どう思っているかというと
「男鹿に行きたい」
「男鹿にふるさと納税したい」
ですよ。

観光映画としても成立しちゃってる。
こんなにも○○な映画なのに。。。
これを許した男鹿の人たちに拍手っっ!
**
1989年生まれの若手監督

ネオ日本映画。
観光映画なんてのはこの映画の些細な要素です。
どちらかと言うと
1989年生まれの若手監督が作った日本映画ぶっこわし日本映画ですよ。

めちゃくちゃ日本映画ではある。
男鹿だし。
余貴美子出てるし。
しかし、
この映画がそのままスウェーデン映画だったり
キルギス映画だったり
チリ映画だったりしても
何の不思議もない。
どういうことなんだろな。
うまく言えないんだけど。。
距離感がいいのかな。


けして
よくある「新感覚ムービー」とかでは全然ないですよ。
褒め方わかんなくて「新感覚」って言わざるを得ない映画とは全っっっっ然違う。

**

ネタバレせずに書くのむずいんで、ネタバレ込みの褒めは下の方に。
この難しいバランスの映画を成立されたのは俳優の力です。
(つまりは監督の演出力っっっ!!!)
仲野太賀はもっっっっっちろんのこと、
吉岡里帆素晴らしかったですよ。
セリフなくてもじゅうにぶんに感情や事情を伝えられる女優さんなんですね。
『見えない目撃者』の演技も良かったけど、いやぁちょっとこれから恐ろしいですよ、この人は。

ネオ日本映画って言葉、ダサくてごめんね!





ネタバレは以下に!







こんなにも残酷な映画にしたのを、よく男鹿の人は許したもんだ。
でも、
この映画が素晴らしい人間讃歌であり、人生讃歌であることをちゃんと理解してくれたんだよね!
もうホントにありがとう、男鹿!
ただただ無残な状況を描きさえすれば良いと思ってる昨日観た映画とは全然違うよっ!!
仲野太賀のラストの「泣く子はいねえか!」の叫び。
そしてそれを許した吉岡里帆。
そしてなにより、〝なまはげ〟という〝願い〟がそれまでに描けていたから実現できたラストよ。
ラストの切れ味もホント最高。
映画として最高じゃん。
**
冒頭でこの映画の着地点が示されちゃったのかと思った。
罠でしたね。
なまはげってのは父と子の絆なのだと。
男はなまはげをやることで父親としての自覚を得る。
てことは、、
結局は仲野太賀と吉岡里帆がヨリを戻して
ちゃんとした家族になりましたぁっていう話かと思った。
観光映画だし。
もしもそうなったら、またくっだらねえ日本映画見ちまったなぁ!とイライラするとこだった。。
が、違った!!
すごい。
ネオ日本映画めっ!
こんにゃろ!
結局吉岡里帆は大学時代ラグビーやってましたみたいな強くて優しそうな男とそのままおそらく再婚。
仲野太賀は幼稚園に侵入してもどれが凪なのかわかんない。
(このシーンの残酷さっっ!)
成長した自分の娘がどれかわかんない。
なまはげとして
完全な〝他人〟として吉岡里帆と新しい旦那の家族が宴会やってるとこに侵入。
(どうやってあの家を割り出したの??)
吉岡里帆素晴らしいですね。いい女優になりましたよ。
ガラッと戸を開けて娘の顔を見せることを許可する。
この男はもう私の幸せを壊すような男ではないと吉岡里帆も判断したのでしょう。
なまはげと化した仲野太賀は
自分の正体を明かすこともなく
人間としての会話など一切できないけど
「泣く子はいねぇか!」と
何度も凪ちゃんの健康と幸せを願う。
あ、もうこれ書きながらまた泣きそう。
叫びながら
ギリギリ判別できないくらいに何度も
「な〜ぎ〜!」と繰り返す。
おわり
エンドロール
(折坂悠太の音楽、歌良かったですねぇ。折坂悠太も監督と同じ31歳。若い才能!ありがとう!)
エンドロールのあと、森の中を松明を持って歩くなまはげの一団。
神さまっ!


**


新感覚ムービー!とかでもなく
ちゃんと日本映画でありながら
こんな日本映画観たことない。。
ネオ日本映画ですよ。
ネオ日本映画って言葉、ダサくてほんとごめんね。。



証言❶ 多襄丸 『羅生門』(1950) 四コマ映画 その1 ネタバレ

2020-11-20 | ネタバレあり




証言❶ 多襄丸
最初は金沢を殺すつもりはなかったけどヤツの妻が「どっちか死ね」って言うから金沢を殺したよ。俺はめっちゃ強い男だからな!漢字の漢と書いて…





  
公開70周年記念

公開70周年記念『羅生門』(1950) 四コマ映画 その0

2020-11-18 | ネタバレあり

公開70周年記念『羅生門』(1950)


平安時代を舞台にした武士殺人事件の法廷劇

盗賊「俺が殺した」

武士の妻「いやいや私が…」

武士「は?俺は自害したの!」


真実は、藪の中 www








映画『タイトル、拒絶』恒松祐里のサイコパスっぷり最高 

2020-11-13 | 映画感想
伊藤沙莉目当てで観に行きましたが、
恒松祐里に持っていかれました。


恒松祐里のサイコパスっぷりが良かったです。。。

あの笑顔怖い。。。

破綻しそうになるんだけど、結局はずっとサイコパスのまま。

いいですねぇ。『ジョーカー』演ればいいのに。


**


片岡礼子の存在感が素晴らしくて、
セリフなくてもちゃんと映画と観客を繋いでくれます。

さすが。
顔映しときゃいい。


**


もともと舞台だったんですね。
そのパワーは感じました。

各人のエネルギーがぶつかり合ってブーストした舞台作品だったのでしょう。


**


映画にするとなると、、、、注意点が必要でしたかね。。


誰か一人が喋っている間、他の人は棒立ち。

舞台はカット割もズームもないので、
今喋ってる人に注目を集めるために他の人を止めておく、っては効果のある演出なんだと思いますが、


映画は舞台よりはリアルな世界ですし、
カット割もズームもある中で
さっきまで自由に動いていた人たちが微動だにしないってのはなかなか不自然。


**


こういう不自然さを承知でそのままゴリゴリのギザギザした映画に仕上げたのなら
この映画はとてもエネルギーに満ちた怪作になったかと思いますが、、

今回は逆に大人しい作品になってしまってました。。

殴り合いのシーンでもちゃーんと相手のセリフを待っちゃってる。

で、周りの人は棒立ち。
自分の番が来るまで待っている。


なんか「みんな仲良しだな」って感じがしちゃう。


『タイトル、拒絶』というパンチのあるタイトルの割には、、普通の感じ。。。




**


謎が謎のまま残っていたり
かなり薄く匂わせたまま終わってる部分もあったし
その「粗さ」はとても魅力的でした。

謎のバット男の演出も、若々しくていいじゃない。

感動なんてさせてくれなくて良かったのに。


**



重ね重ね申しますが
恒松祐里がほんとにサイコパスで素晴らしかった。。

けして大味の演技ではなく
微細な表情や声色も使い分けてらっしゃったので、

で、まだ22歳ですってよ!


いやぁぁ素晴らしいっ!!


劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 ネタバレあり 善逸さんの無意識領域真っ暗! 

2020-11-12 | ネタバレあり

炭治郎はすごい喋ってくれるんですが、人物紹介はあんましてくれないので
人物情報は入れといた方がいいですよ。

猪半裸男が最後まで謎の存在だったので。。





*****


漫画読んでません。
(『ゴールデンカムイ』は20巻まで読んでます)

アニメは1話だけ見ました。

炭治郎がすごい喋っていました。
自分が思ってること、
今起きてること、
これから起きそうなこと、
これからしようとしてること、
したいけどできない理由、
などなど全部セリフで喋っていました。

どうやら第一話だけではなくずっと喋っているとのことですので
映画をいきなり見てもきっと彼が全部説明してくれるだろうと思いまして、
安心して映画館へ足を運びました。


***

思いの外、それまでの説明がないですね。
黄色い少年や謎の猪半裸少年などキャラ紹介がない。。

コアファン向けの映画の作りでした。

でも、設定がわからない分、セリフを一生懸命聞くことになるので
いっぱい喋ってることはそんなに気にならなかったです。

ありがとう、喋ってくれてという気持ちでした(前半は)。

全容が掴めてからはちょっと。。。。
もうちょいポイント絞って喋って欲しかったですが。。


***


戦いのシーンはやっぱかっこいい。
列車も3Dを使ってダイナミックってかっこいいですね。

アクションは本当にカッコ良かったです。

漫画では動かなかったものが動くってのは、
やはりそれだけでとんでもない価値のあることですね。


***


冒頭が本当に面白かったです。迫力あった。

列車がズア〜ッと画面を横切るところで
アニメ制作会社のufotableの名前がズバーンと出る。
かっこいい。。
覚悟が伝わりました。
「かっこいいの見せるぜ」と。


***

煉獄さんも面白いですね。笑った。。
弁当ずっと食ってて欲しかった。

あの出だしで全員が煉獄さんを好きになりますもんね。
大成功です。

大成功のイントロ。








以下はけして読まないでください




列車の中に鬼がいるってわかった時点で
「200人の一般の乗客が人質に取られている!」という状態になっているかと思いきや、

鬼が列車と融合した時点で初めて
「200人の乗客が人質に取られたようなもの」になったとのことで

え~そうだったんだ…
まぁこれから乗客は殺されちゃうかもしれないわけか…
恐ろしい展開になるぞ…と思ってたら

鬼が
「まず鬼殺隊を殺してから、ゆっくり乗客200人食べよう」って言っちゃうから

え~じゃあ乗客は一人も死なないこと決定なんだぁ…と思って
サスペンス度がすごく下がりました。

(鬼殺隊が全員殺されることはないでしょうから)


**


夜の広場でビーム対決ってのはDCっぽかったですね。


***


「鬼から乗客を逃がしたいけど
猛スピードで走る列車から乗客を降ろすことができないっ!!」
みたいな描写や説明セリフもなかったよね。。

なんで列車だったんだろ。
なんで移動してなきゃいけなかったんだろ。


列車の絵的な迫力はあったけど。



**



連載もので、
原作がこういう話なんだろうからしょうがないんだろうけど

列車の鬼と上弦の鬼が無関係過ぎて、、
前半ほとんど寝てた煉獄さんが
いきなり「何故か」出てきた上弦の鬼に殺されちゃうってのは、、、

なんか「あぁ連載画の途中を観てるんだなぁ」と思い知らされました。


連載漫画でならこの展開はわかるんですけど。
こっちは2時間前に初めて煉獄さんと出会ってるんで。

(でも普通の映画も初対面の登場人物に感情移入してラストで一緒に感情爆発させたりしてるんですけどね、、、今作は話の途中を切り取った感が強くて、、感情移入できなかったんですよね。。)


コアファン向けの映画ですもんね。失礼しました。


**


煉獄さんの登場シーンがほんとに面白かったし、
あれで一気に煉獄さんを好きになるんですけど
後半から全然普通の人になっちゃった。。

終盤なんてほんとに真っ当な人間になっちゃったので、、、
死ぬとかの以前に「最初の煉獄さんに戻って!弁当食って!」って思いました。


ずっと一貫して変な人だった方がむしろラストは泣けたと思いますよ。
やっぱね、あんなに喋っちゃダメよ。。

で、
もう少しで死ぬから話をしようってシーンで
「弟と父にありがとうを伝えてくれ」とかをまず言ってから
「ねずこは立派な鬼殺隊だ!」って言うんだけど、、

いつ喋れなくなるかわかんないんだから
まずねずこの件について喋ってから
自分の気持ち「弟と父への思い」を語った方がかっこよかったと思いますよ。

まず自分のこと喋っちゃうのはちょっとね。。



あと
炭次郎も煉獄さんも揺るがな過ぎるので
鬼が精神的な揺さぶりをかけてきても揺るがないので、、
面白さが減る。。。

家族仲良しの夢を見せられている炭次郎はこの夢から覚めることにもっっっっと葛藤して欲しいし、

セリフでいくつかこの葛藤について喋るんだけど、ずっと喋ってるから、、ポイントが絞れない。




上弦の鬼が
「その強さが寿命で終わるのはもったいない。鬼になれば永久にその強さを鍛錬できるんだぞ!」的なことを言って

あぁなるほど剣士であればちょっと惹かれる理屈かも、煉獄さん揺らぐのかな?
と思ったんですけど、、
煉獄さんの意思はとても固い。。



せっかく鬼がいい話の盛り上がり作ってくれてるのに主役たちは割とスルーしちゃう。




やっぱね、喋りすぎなんだと思う。


映画『82年生まれ、キム・ジヨン』ラストネタバレあり 映画版のラストは「ぬるい」のか 

2020-11-03 | ネタバレあり








映画版は「ぬるい」か

何代にもわたって続いてきた女性差別を淡々と箇条書きしていく文体が、怖い。。
物語性(虚構性)を排して「こんなの作り話だ!」と突っ込まれる隙を与えない作り。
事例一つ一つに注釈をつけて本のラストで「全部事実です」とハンコを押す。
このスマートさ、クールさ、ソリッドさ。
そしてやっぱラストの衝撃ですよね。。。

お前、今までの話聞いてた???って言いたくなるくらい、、全部ひっくり返すセリフ。。
目の前真っ暗になりますね、あのセリフは。

***

なので、
この小説に胸撃たれた人は、確かにこの映画は「ぬるい」と感じても仕方ないと思いました。
違和感を感じたり、怒りが湧いてくる人もいるんだろうなと思います。

映画はまず映像が綺麗だし、この夫婦が超絶美形だし、物語性も高かったですからね。
(それでも普通の映画よりはかな〜り淡々としてましたけどね)



映画での改変


小説では「ママ虫」と陰口を言ってたのがおそらく男だったのに対して
映画版ではその中に女性がいたことで「男 VS 女」の構造が揺らいだ、的なことも言われておりますが
「ママ」や「専業主婦」を揶揄する声は女性からも発せられていると言う事実はありますから
ここに女性が加わるのは事実により近い改変ですので、正しいと思いますし、
小説が「男 VS 女」の構造を描いていたと〝仮定〟すると
映画版でその単純な対立構造を崩した描写をしていると言えるわけで、より良い改変だったと思います。




ラストの希望

一番の問題は、やっぱラストですよね。。
小説では「今まで読んで来たのは何だったの???」っていう絶望のラストだったのが、
映画版では希望の光を見せたラストになっていました。

これはやはり大きな改変ですので賛否両論必至でしょう。
制作側はそれもわかっていて、希望の光を見せたんだと思います。

しかも、そんなに明るい光でもないでしょ。。
普通のことでしょ、あれ。
あんなことが「希望の光」としてラストで描かれるってことは、
それまで118分かけて描いてきたことがいかに地獄だったのかが際立つと思います。

***

原作小説は
韓国で特大ヒットを飛ばし、社会現象を起こした、と。
その波は世界にも波及している、と。
小説はきっとこれからも売れ続け、世界にインパクトを与え続ける。
だったらもう同じことやんなくて良いのでは。
これを原作にして映画を作るなら、一歩先を示すものにしたいと思ったんじゃないでしょうか。
「こんなに地獄なんです。真っ暗闇なんです。」という衝撃のラストだった小説、
のその先、
「こっちへ進みましょうよ。まずこれくらいできません?」と指し示すようなラスト
にしたかったんだと思いますよ。
変化を促すようなラスト。
明るい方へ変化しましょうよ、と。
5年、10年後に若い人がこの映画を観て
「このラストが希望のラストだったんだって!この時代地獄じゃね?」って思ってくれる状況になってなきゃ困るわけだから。


原作小説と映画版のラストネタバレは一番下の方に。





以下は原作読む前の感想

女性差別の釣瓶打ち!
日常生活を普通に送ってるだけでこれだけ出てくる。。物凄いのさ。
画面で行われていることは『第三夫人と髪飾り』と同じ。
ただ
『第三夫人と髪飾り』は1800年代のベトナムの話だったので
「現代でも変わらないのではないでしょうか?」という脳内変換が必要だったんですが。

この映画は、思いっきり現代劇。
生活水準も低くもなくそんなに高くもなくって感じ。
ほとんどの人が自分と合致してしまう。
まさに「今」の差別問題としてゴンゴンガンガン羅列していく。
****

これが韓国映画のすごいとこですよね。
『 パラサイト 半地下の家族』でもそうだったけど、
現代社会の問題提起を
「昔話」として描いて「今でも通じるのでは?」と投げかけたりするのでもなく、
怪奇映画として描いて「現実社会でも起きていることでは?」と投げかけるのでもなく、
現代劇としてストレート描いておきながらも、
絵的な美しさや迫力は十分あって、
登場人物のキャラクターも面白く描ける。
****

主演のチョン・ユミが超絶美人でしかも旦那がコンユ、それでもこれだけ追い詰められている、というのが表現できている点で、
美男美女であることの意味もわかる。
「幸せなはず」という圧力が思いっきりかけられてる分、もしかしたら不自由かもしれない。

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チョン・ユミさんは超絶美しいし可愛いんですけどちょっと顔に個性がない(失礼…)。。
それも今回の映画ではぴったり。
基本的に松本若菜に見えるし、
たまに松岡茉優にも見えるし、
蓮佛美沙子にも見えるし、
麻生久美子に見えたりもする。
しかも彼女はたまに体を乗っ取られて、他の女性の言葉を代弁する役でもある。
巫女的な存在であり、今で言うとリツイッターのようなことをやってる。
彼女の独自の存在感てのがない。

空虚さを抱えていながらも感情を押し殺した演技が素晴らしかった。

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この人物は「女性」という大きなカテゴリーに苦しめられている。
キム・ジヨンだから苦しいのではなく、「女性」だから苦しい。
個人である前に「女性」ってことで道が絶たれる。
ラストで希望を掴むまでそれは続く。

ラストに希望があることで、それまでの苦しみが際立つと思うので、希望のあるラストはいいと思いますけどね。
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あと、
原作小説よりも男性が優しく描かれているそうですね。

旦那の好人物ぶりはちょっとSF(空想科学小説)レベルでしたけど、
他の男たちは十分クソでしたが。。
クソっていうかアホ?
見えない力によってアホにされてるって感じでしたよ、男たち。
これよりもひどいの?小説での描写は。。
で、
旦那がこれだけ好人物であっても苦しみは軽減されない、ってことの方が地獄じゃない?
だから映画の方が地獄なのではないかと思ってしまう(原作まだ読んでない状態なので)。
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レディースデイってこともあって客席はほとんど女性。

姑とか差別意識バリバリのスポンサーとかがあまりにも言動がひどいので
僕はちょっと笑っちゃたりしたんですが、
全然笑いが起きない。。
たぶん笑えないんでしょうね。。。
現実と重なり過ぎて笑う余裕もきっとなかったんでしょう。。

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なんか、
結婚がゴールっていう考え方も弱まってきてはいるけど
まだ結婚したら「おめでとう〜!」「幸せ〜!」ってこの世の終わりみたいにお祝いしてますよね。。
代わりにこの映画を一族郎党で鑑賞したらええねん。








原作小説と映画版のラストネタバレ



映画版では、
夫が育児休暇を取ったっぽくてジヨンさんは再就職したっぽい感じで終わります。
原作小説では、
ずっとジヨンさんの歴史と症状を聞いてきた精神科医(男)が、部下の優秀な女性スタッフが出産を理由に退職することになったので、「いくら良い人でも、育児の問題を抱えた女性スタッフは色々と難しい。後任には未婚の人を探さなくては…」という独り言で終了。


映画『本気のしるし 劇場版』  ラストネタバレあり 

2020-11-03 | 映画感想

いやぁ圧倒されたし笑った。。
森崎ウィンの「は?」と「え?」が絶妙で。。




↑一コマ目の「なぐさめてあげる❤️」 は『電影少女』からの引用です。
〝あい〟のビデオのタイトルです。


 



「青年誌での恋愛漫画」を批評的に描いた漫画

『本気のしるし』は、青年誌での恋愛漫画であり同時に「青年誌での恋愛漫画」を批評的に描いた漫画である、とのこと。

読者層である男性を喜ばせる(困らせたり惑わせたりじらしたりするのも含む)ために生産された女性キャラが、現実世界に存在したらそれって結構悲しい存在じゃない?
というのが『本気のしるし 劇場版』。
(これも『本気のしるし 劇場版』の一側面に過ぎないのですが)



たしかに僕が子供の頃読んでた漫画にもそういうキャラが出てきてたなぁと
『電影少女』の〝あい〟とか
『ろくでなしBLUES』の千秋などを思い出しました。

千秋なんかはトロフィー(マクガフィン)として話の盛り上がりのために何回も拉致されて、あまりにも拉致されるから次第に読者からも「アイツすぐ拉致されんじゃん!」と嫌われていってしまう…という悲しき存在。。

『電影少女』の〝あい〟にいたっては「感情を持ってしまった」女性キャラ。。
「感情を持ってしまった女性」ってすごいですよね。。






おれはバカな男とバカな女が地獄に落ちるのを見たいだけだよ

この映画は、
ほとんど球体?ってくらいの多面性を持っているので、
何か一つ語るといやそうじゃない、それだけじゃないってグルグルと逡巡してしまう。


観ている最中も
登場人物たちの行動に対してある感想を抱くと
「その感想ってどうなの?」と他の登場人物が揺るがしてくる。

心をどこかに落ち着かせたい、こいつが悪いんだ!と結論づけて楽になりたいのに
一人として同じキャラのいないこの映画の中では
「あぁ!おれってなんて浅はかな人間なんだ!」と価値観が何度も揺るがされる。

そんな中で、一番自分と合致したセリフは、
事もあろうに反社会勢力の脇田が言う
「おれはバカな男とバカな女が地獄に落ちるのを見たいだけだよ」。。
脇田という役は観客代表だなぁと思って観ていたら
このセリフ言われちゃって、あ、同じこと思ってたわ、、って
僕も反社と同じなのか…と。。




簡単にまとめることのできないテーマを描いてそのままの状態で提示される

3時間52分あるんですが
もともと10話の30分テレビドラマなので
コンスタントに盛り上がりや〝ひき〟が来ますから
ほんとに飽きることはないですよ。


『サタンタンゴ』みたいに10分待つシーンでは10分待ってる様子を見せられたりはしませんので、ご安心を。
ドラマを全話一気見する贅沢さ、興奮がありますよ。


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簡単にまとめることのできないテーマを描いてそのままの状態で提示される。

あいつが悪でした、チャンチャン♪とはいかない。

ものすごく微妙なところを突いてくる。
観てる側の価値観を何度も揺るがし続けてくる。
こっちはただ映画観てるだけなのに。。
深田晃司はスタンド使いなのか?
遠隔操作型か?




明らかな悪者がいない

この映画、どうかしてる人はいっぱいいますし、全員ヤバいんですけど、、この物語の責任を背負わされる「ひとり」はいない。

悪者がいない、というのは『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』がそうでしたね。

オリヴィア・ワイルド監督曰く
映画の中にかならず悪者を登場させると現実世界にもかならず悪者がいると思ってしまう。
とのこと。

現実世界で自分がうまくいかないのは誰か悪者がいるからに違いない。

悪者は誰だ、と悪者探しを始めてしまう。
悪者がいると楽。

対立構造は単純で頭使わなくて良い。

大人になってくると
明らかな悪者なんてそうそういないということがわかっています。
相手が抱える事情やタイミングを慮れるようになる。

「アイツは悪者だ、アッチは敵だ」と仮想敵を作っていくのは
すごく単純でもしかしたらその都度快感なのかもしれないけど、
大人であればわかるけど
それの行き着く先はポジティブなものではない。

そう考えるとさすが深田晃司!
最先端ですよ。
こんなにもぬるぬるのぐちゅぐちゅした内容なのに、映画の外形は鋭い!!







ラストネタバレ

失踪した辻を探し当てた浮世は辻を追う。
逃げる辻。
映画冒頭の踏切。
浮世は踏切の真ん中に立つ。
電車が来る。
自分を人質にとって辻をおびき寄せる浮世。
猟奇殺人鬼でもない普通の人間ならそりゃ浮世の元に駆け寄りますよ。
辻は浮世を踏切から引っ張り出す。
浮世は「愛してる」的なことを言いながら辻を抱きしめる。
辻の手が浮世に伸びて抱きしめ…
おわり

警報機の音が鳴り続ける。
辻が浮世を抱きしめる手前で映画はおわり。
辻が浮世に「愛してる」と言ったことは一度もない。