伊勢ー白山 道

集団では無く、社会の中で心身の健康を正しく個人で目指します

自然な流れが大切です

2012-03-29 10:27:39 | Weblog

昼食事にチラリと見たテレビに、「大往生したけりゃ医療とかかわるな 」(https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344982487/isehakusandou-22
という過激な題名の本の著者である医師が登場されていました。

この題名だけですと、変わった発言で注目を引きたい御方かと思われますが、その精神には真剣な死に対する覚悟が在る人でした。
この医師は、ご自宅の良い和室に自分の棺桶(かんおけ)を置き、大晦日と元旦は棺桶の中に入り人生を考えるとのことです。
棺桶は、現実に必ず来る「死」を自分に認識させてくれるタイムマシンのようです。
死というものを形からリアルに自覚することで、今の自分の生活に後悔が無いか?を振り返り、今の内にするべき準備をするためなのです。

この医師の理想の死は、老後にガンになって死ぬことだそうです。その理由は、死ぬまでに色んな準備が自分で出来るからです。
長年にわたり多くの患者の死を見続けた結果、まさか死ぬと思っていない人間が死にますと、本人の無念な死に顔と、家族の悲しみには深いものがありました。自分に置き換えて考えても突然に死にますと、色んな手続きや家族に迷惑を掛けずにすむための行動が出来ないのです。死後も心配することが想像出来ます。
しかし、大半の人間は「前向き」に死を考えることを避けています。

医師は長い勤務医経験の間に、治療すればするほど患者が苦しみながら死んで行く矛盾に、自分で苦しんだそうです。いったい自分は何をしているのか?なぜ患者は治らないのか?と。
その頃にある本の中で、釈尊の言葉と出会いました。それは、
思い通りにならないものを、思い通りにしようとするから苦しい。」という言葉でした。
この言葉と出会い、治療にも自然な流れに従うという視点を持たれました。

そして医師は、現代治療から見捨てられた老人の終末医療の病院へと移られて、大きなショックを受けたのです。
それは、まったく治療しない末期症状の老人の死に顔のことでした。
そこには、崇高で安らかな仏のような静かな死に顔が多数あったのでした。以前の最新治療の病院では決して見られなかった、安らかな死に顔でした。
点滴もしない放置する終末医療では、皆さん最後は餓死という自然死に至るそうです。
腹水が溜まって一切の飲食が出来なくなれば、約一週間かけて腹水の水を細胞が消化しながら餓死するそうです。ご遺体には腹水が消えており、元のお腹に戻っているとのことです。
この自然の摂理を見た時に医師は、神様はちゃんと死の準備の流れをされていると確信します。

医師は、この2つの治療の世界を経験した結果、
1.ガンとは、細胞の老化現象に過ぎないということ。
2.ガンとは、神様が残りの貴重な時間をプレゼントしてくれている。
と思われているようです。
この医師自身も、アゴ下の首に大きな腫瘍のカタマリを持たれていました。首が詰まり、呼吸が苦しく成りつつあるようです。
私ならば、手術で切って楽な呼吸を求めることが、与えられた命(内在神)に対する態度だと思います。

この話は、社会でやるべきことが済んだ老人治療のケースでの話です。
子供が居るなど、まだ若い還暦までの人間は、やはり色んな治療を試すことが後悔をしません。
ただ、死に対する大切なヒントが在ることは間違いないと思います。

生かして頂いて ありがとう御座位ます

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