ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

Enemy Of The Enemy / Asian Dub Foundation

2016年03月06日 | ヒップホップ

Enemy Of The Enemy / Asian Dub Foundation (2003)

1993年に結成されたエイジアン・ダブ・ファウンデーション(Asian Dub Foundation)。激しいアジテーションとラップ、ヒップ・ホップを融合して、全盛だったドラムンベースなどを取り入れながら展開した彼ら。アジア系の移民が多いイギリスにおいて独自の主張を繰り広げた個性あふれるインド系イギリス人によるバンド。現在の活動などについては全く知らず。自分は前作の「Communitiy Music」(1998)と、このアルバムの後のライヴ盤しか所有していないが、とても気に入っていた。アジア~アラブっぽい音階のメロディーを取り入れたヒップ・ホップというのが印象的。デビュー当時は、もう出尽くしたかと思われたヒップ・ホップの様々なアイデアにアジアン・テイストが入るとは、と意表を突かれたものだ。でも彼らの言葉がダイレクトに頭に入ってこないネイティヴ・スピーカーでない自分は、彼らの魅力の10分の1も理解していないんだろうな。激しい政治主張をするバンドにありがちな話だが、メンバーの変遷も激しいので、のめり込むまでにはいかなかったが、久しぶりにアルバムを購入。後から調べたらこのアルバムは彼らのキャリアで一番のセールスだったとの事。プロデュースはエイドリアン・シャーウッド(Adrian Sherwood)。

このアルバムもいきなりアラブっぽい旋律から始まる。高速ラップが複数のMCで折り重なり、畳みかけるような勢い。4曲目には意外にもシンニード・オコーナー(Sinéad O'Connor シネイド・オコーナー)が参加していて、ハマっている。ヴォーカルが変わったこともあろうが、よりハードで、前作のある意味「分かり易さ」は後退していて、エイドリアン・シャーウッドらしいダブ寄りの音作り。彼らの場合、政治的な面は絶対に無視出来ないだろうが、同時に「踊れる」ところが重要だろう。ちょっと取っ付きにくいが…。

ブックオフにて購入(¥108) 

  • CD (2003/2/3)
  • Disc : 1
  • Format: Import
  • Label : Virgin
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Original Album Classics / Run DMC

2015年04月22日 | ヒップホップ

Original Album Classics / Run DMC (2008)

ラップ、ヒップ・ホップを世界的にメジャーにしたとも言えるランDMC(Run DMC)。その5枚のアルバムを簡易紙ジャケットに入れたボックス使用の「オリジナル・アルバム・クラシックス」シリーズ。このシリーズは安価に代表作を楽しめるとあって、今までにいくつも購入している。各社から同様の企画で発売されているが、ボーナス・トラックを収録しているものと、そうでないものがあり、このランDMCの作品群にはボーナス・トラックが収録されている。

一番ヒットした作品は、やはり1986年の「Raising Hell」。今をときめくリック・ルービン(Rick Rubin)プロデュースで、エアロスミス(Aerosmith)他のハードロックのサンプリング・ギター・リフとの融合で、世界的な大ヒットとなった。自分が最初に買ったのもコレ。当時自分はそれまでにヒップ・ホップのオリジネーター(Glandmaster FlashやAfrica Banbata)をほとんど聴いたことがなかったので、その斬新な手法には驚いたなァ。高校生だった自分はこのアルバムをアメリカのショッピング・モールで購入し、中西部の片田舎で少し暮らした時に持って行って聴いていたんだけれど、あからさまにみんな拒否反応を示していたのが面白かった。世界的大ヒットだったにも関わらず、アメリカ国内でも当時まだヒップ・ホップはごく一部の都会でしか受け入れられていなくて、白人比率が高く、保守的なアメリカの田舎では全然受け入れられていなかったのだった。

こうして聴いてみると、ファースト「Run DMC」(1984)はスカスカな音ではあれど、スタイルは出来上がっていて、2枚目の「King of Rock」(1985)ではそのスタイルが完成されたと言っても過言ではない。逆に今聴くと、この1、2枚目あたりの音の方が新鮮で面白い。大ヒット作のあとで印象が薄く、バンドの状態としても様々な紆余曲折を経た「Tougher Than Leather」(1988)、「Back From Hell」(1996)も、決してアルバムのクオリティは低くなく、素晴らしい水準を保っているのはさすが。「Tougher Than~」なんて名盤と言ってもいいんじゃないか。ただ90年代も半ばになった「Back From~」辺りになると、巷にサンプリングが氾濫したことによって、あれだけ何をやっても面白かったヒップ・ホップが、「何をやっても面白くない」という状況になってしまったのは皮肉だ。もうこの頃になると、あらゆる方法論は出尽くしてしまった感がある。

オークションにて購入(¥1,414)

  • CD (2008/10/3)
  • Disc: 5
  • Format: Box set, CD, Import
  • Label: Arista Europe
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Blakroc / Blakroc

2015年03月23日 | ヒップホップ

Blakroc / Blakroc (2009)

個人的にはとても待ち遠しい、4月に予定されているブラック・キーズ(The Black Keys)の来日公演。残念ながら東京2公演だけなので、わざわざ東京まで出掛けていかなければならない。世間的に盛り上がりがあるのかないのか全然分からないが、フェスで来日はあれど、単独での公演は初めてなので、今から気分が浮わついている(※)。そのブラック・キーズの2人がヒップ・ホップ・アーティストとの共同作業で作ったアルバムがこちらの「Blakroc」。

ヒップ・ホップというと、バックの音楽はサンプリングなどを駆使して楽器なしで作り出すイメージがあるが、このアルバムはちゃんとスタジオで演奏して作られたとのこと(そうでなきゃブラック・キーズと演る意味がないけど)。自分も最初に聴いた時は、音のやりとりだけで顔も合わせずに作ったのかな、と思っていたが、ちゃんと一緒にスタジオ入りして作られている(→HPでコラボの様子を見る事が出来ます)。参加しているヒップ・ホップの連中には全然詳しくないので、Q-Tip以外は誰が誰やらさっぱり知らないが、ブラック・キーズの2人が演奏するヘヴィーで泥臭いロックとの、単発での共演(たった11日間だとか)と考えると、完成度はなかなかのもの。その場で即興のライム(韻)をのせていくラッパーはさすが。ラップには言葉の壁があり、すんなりと自分の心に入ってこないのは残念だが、ネイティヴ、特に米語ネイティヴの白人ならこういう音楽や歌詞ををどう捉えるんだろう?

オークションにて購入(¥1,022)

  • CD (2010/2/25)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Blakroc

(※ この記事を書いた数日後、チケット購入先から無慈悲なメールが届いた。なんと公演中止だと…涙)

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The Mix-Up / Beastie Boys

2014年10月12日 | ヒップホップ

The Mix-Up / Beastie Boys (2007)

1986年のデビューからファンで、1998年の「Hello Nasty」まではフォローしていたビースティー・ボーイズ(Bestie Boys)。その後疎遠になってほとんど聴いていなかったが、インスト・アルバムを発売していたと知って購入。それがこの7枚目のオリジナル・アルバム「The Mix-Up」。ある種キワモノとして派手にデビューした彼らが、その後、地味ながらセンス抜群のアルバムを連発し、時代を代表するアーティストになった90年代が懐かしい。よく聴いたなァ。その中でもコンピレーション盤でありながら、いまだに愛聴しているのが「The In Sound From Way Out! 」。ハードロック・サンプリングのラップから脱却して、様々な音楽性にチャレンジしていた彼らのディスコグラフィーの中から、かっこいいインスト曲を集めたアルバムだった。なので今回購入したこのアルバムも期待してみる(リリースしてる事さえ知らなかったが…)。

テイストは「The In Sound~」と似て、70年代サスペンスTVドラマのサウンドトラックといった感じ。やっぱりこういうの好きなんだね。もともとパンク・バンドだった彼らだから、技量的なものは別として、楽器を持つことは何の不思議もない訳だけど、そういうイメージが無かったから、当初は驚いた。ライヴを見た事が無いので、彼らの実際の演奏力までは知る由も無いが、ベースラインといい、キーボードの使い方といい、60~70年代のファンキーなオルガン・ジャズっぽい雰囲気がよく出ている。マニ―・マーク(Money Mark)などの取り巻きの連中のセンスもあるのだろうが、アナログ楽器の音の出し方やプロダクションは相変わらず、いちいちかっこいい。寄せ集めとは違うので、アルバムとしての統一感はあるが、ちょっと二番煎じ的な印象は免れないかな。統一感があり過ぎて、こじんまりまとまってしまったというか…。グル―ヴィーなサウンドでかっこいいんだけど。(MCA R.I.P.)

ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (2007/7/4)
  • Disc: 1
  • Label: EMIミュージック・ジャパン

 

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Def Jam's Greatest Hits / Various Artists

2014年01月21日 | ヒップホップ

Def_jam

Def Jam's Greatest Hits / Various Artists (1997)

初期のヒップ・ホップ音楽を聴いたものにとって特別なレーベルだったデフ・ジャム(Def Jam)。LLクールJ(LL Cool J)、ランDMC(Run DMC)、ビースティー・ボーイズ(Beastie Boys)、パブリック・エネミー(Public Enemy)などが次々とヒットを飛ばし、一躍時代の先端を行くレーベルとなった。元は現在レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)をはじめ多くのロック・バンドのプロデューサーとして名を馳せるリック・ルービン(Rick Rubin)が作ったレーベルだ(ちなみにリック・ルービンは白人)。そのデフ・ジャムのグレイテスト・ヒッツとして90年代後半に発売されたCDがこれ。

収録曲を見ても、自分なら「本当にこれがグレイテスト?」と思ってしまう不思議な選曲。ネイティヴの人達なら納得出来る選曲なのだろうか? 一部アーティストは名前さえ知らないが、なんだかバランスの悪い選曲のような気がしてならない。もともと音楽としての革新性には興味があったが、そのメッセージに共感を覚えたり、社会背景に興味が湧いた訳ではないので、時代が90年代半ばにもなるとほとんど聴かないようになってしまい、オールド・スクールなものだけ聴いている。日本でもファッションや粗雑な振る舞いだけ真似する輩が増えて、どちらかというと嫌悪するようになったかな。

音楽的には初期の頃で方法論は出尽くしている気がしてならない。あとはヴァリエーションがあるとはいえ、個人的には「焼き直し」のイメージが拭えない。最初のインパクトは凄かったけどね。 

ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (1997/9/9)
  • Disc: 1
  • Format: Compilation, Import
  • Label: Def Jam
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    Messege From Beat Street : The Best of Grandmaster Flash, Melle Mell & The Furious Five

    2013年12月08日 | ヒップホップ

    Grandmaster250

    Messege From Beat Street : The Best of Grandmaster Flash, Melle Mell & The Furious Five (1994)

    ラップ、ヒップ・ホップの創始の1人でありながら、ここ日本では圧倒的に知名度の低いグランドマスター・フラッシュ(Grandmaster Flash)。そういう自分も完全な後追いで、さまざまなヒップ・ホップのコンピに収録された6や10のような有名曲を、それこそ歴史を勉強するみたいな感じで聴いたのが最初。それから彼らの所属したSugarhill Recordsのコンピ盤(この盤と同様にRHINO製)を購入して聴くようになった。

    日本ではディスコ・ミュージックの延長で、白人アーティストがラップのエッセンスをヒット曲に取り込むようになったり、映画で注目されてやっと認知され始めたと記憶しているので、当時はアフリカ・バンバータ()の名前ぐらいしか知らず、80年代の半ばになってランDMC(Run DMC)やL.L.クールJ(L.L.Cool J)の人気が爆発すると、オリジンである彼らの名前もあまり表に出てこなくなった。少なくとも自分の読んでいた洋楽雑誌に彼らの特集記事を見た覚えはない。アクの強いファッションと容姿だが、彼らの動く姿をビデオで見たのも彼らがヒット曲を出したずっと後だ。

    このアルバムはライノ(RHINO)レーベルの編集。選曲やセンスは飛び抜けていたこのレーベルも大会社に吸収されてからは以前のようなぶっ飛んだパッケージやギミックは減ったかな。このアルバムが発売された90年代前半には1に収録されているようなメガミックスが流行ったが、正直あまりいい出来ではない。蛇足。それでも中古店の棚をチェックしていて「RHINO」のマークを見つけると手に取ってしまうのは、やっぱり今でも一番信頼出来るレーベルだから。そのレーベルの魅力はこのサイトで知ることが出来る。

    ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (1994/4/19)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Rhino
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    Very Necessary / Salt-n-Pepa

    2012年09月27日 | ヒップホップ

    Salt

    Very Necessary / Salt-n-Pepa  (1993)

    オールドスクール! ソルトンペパ(Salt-n-Pepa)の4作目。ランDMC(Run DMC)などのオールドスクールタイプのラップ・ミュージックは好きだった。90年代以降のラップは「ニュースクール」と呼ぶらしいが曲調からいったら彼女らはオールドスクール直系と言って間違いないだろうと思うんだけどどうだろう。

    彼女らを初めて意識して聴いたのはこのアルバム発売後の「ウッドストック’94」のライヴ中継だったか。不細工(失礼)だがセクシー、迫力があるステージでとても印象に残った。女性ばかりで、性的な暗喩が多いのも印象的だった。のめり込むまでには至らなかったけど。

    このアルバムは各曲の出来はすごくいいし大ヒットしたアルバムだが、全体の構成はいまいちしっくりこない。ま、英語がネイティヴでない限りは歌詞の内容はしっかり頭に入ってこないので全体としての印象を語るまでだが…言葉の壁を感じます。

    これ以降のヒップホップは初期にあったシンプルなスタイルが多様化し、抗争だのなんだのと逆に狭い世界になってしまい、初期の新しい発見を見るような新鮮さが無くなって興味が薄れてしまってほとんど聴いていない。ま、もともと歌詞の世界に没頭できない自分は最初から「音」を感じるだけだったから限界もあったけど。どちらかというとヒップホップの方法論はロックの側に採り入れられてミクスチャーと呼ばれる興味深いスタイルをいくつか生み出した。けどヒップホップ・ミュージックそれ自体としては(少なくとも自分には)あまり面白い展開を見せなかったので以降のアーティストに関してはほとんど知識が無い。

    中古店にて購入(¥105)

  • CD (1993/10/12)
  • Disc: 1
  • Format: Import, from US
  • Label: London / Umgd
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